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同調率99%の少女1~13

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 1~13巻分まで
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2015年11月の記事一覧

同調率99%の少女(5) : 幕間:見学(更衣室)

--- 9 幕間:見学(更衣室)  本館へと戻ってきた6人。那珂・五月雨・村雨は提督のところに行く前に着替えることにした。 「じゃあ私達着替えてきます。」  五月雨と村雨は三千花らに会釈をして更衣室に向かっていった。 「そんなに急がないからのんびり着替えてきていいよ。」  三千花がそう言うと、ふと那珂が言い出した。 「そーだみっちゃん。更衣室一緒に来ない?中を案内するよ?」 「いや、見てもいいけど、更衣室なんてどこも変わらないでしょ?」 「気分の問題だよ!それ

同調率99%の少女(5) : 見学(演習)

--- 8 見学(演習)  訓練施設はおもに演習用のプールが大半を占めており、開閉する可動型の壁で仕切られた隣には空母艦娘用の艦載機の発射練習場がある。この2つはすべての鎮守府に設置が義務付けられており、鎮守府Aでも所属人数や本館の大きさに似合わぬしっかりとした設備が用意されている。  ……が、艦載機の発射練習場は工事中である。また、鎮守府Aでは通常の演習用プールと空母艦娘用の施設は共用であり、壁を外せば一つの巨大なプールとなる。最優先に建設されたのは通常の演習用プール側

同調率99%の少女(5) : 五月雨と村雨、到着

--- 7 五月雨と村雨、到着  3人が工廠の前まで戻ってくると、そこには長い髪の少女がぽつんと立っていた。誰かを待っている様子が伺えた。お互いに気づいた当人たちは、特に言葉を発するわけでもなく軽く会釈をする。  3人の後ろから来た提督に気づくと、その少女はまっしぐらに提督に駆け寄ってやっと声を出した。 「あの、提督! 遅くなってゴメンなさい!」 「あぁいやいや、大丈夫。それよりも自分の用事はもう大丈夫なのかい、五月雨?」 「はい!今日は私や真純ちゃんのクラスが体育

同調率99%の少女(5) : 見学(出撃デモ)

--- 6 見学(出撃デモ) 「……ということで、工廠の案内を終わりたいと思います。○○高校の皆さん、お疲れ様でした。服や頭は入り口でさっとホコリを払って行ってくださいね。そのままだと汚れちゃいますよ。」  明石からの工廠の説明が終わった。このあとはどこへ行くのか三千花らが楽しみにして待っていると、提督は明石と何かを話し始めた。二人は時々視線を那珂のほうへ向けている。那珂はその視線に気づくと?を頭に浮かべた。那珂本人にも何が始まるのかわかっていない。  明石と話し終わっ

同調率99%の少女(5) : 見学(工廠)

--- 5 見学(工廠)  グラウンドを横切り東門から出ると、道路を挟んだ向かいに工廠や訓練場、出撃用水路のある、艦娘にとっては必須となる施設が揃う区画になっている。  門をくぐり入るやいなや、提督が三千花らに一言注意する。 「ここからは俺が指示した場所でのみ、撮影をお願いします。あなた方も勉強されてきておわかりでしょうが、国家機密・防衛上の機密になる部分が少なからずあるので、くれぐれも注意して下さい。まあぶっちゃけ俺もよくわかっていないんだけど、どれがまずいかは一応聞

同調率99%の少女(5) : 見学(倉庫群~グラウンド)

--- 4 見学(倉庫群~グラウンド)  本館の外に出た那珂たちは、提督の案内にしたがって本館の周辺を回り始めた。鎮守府Aは北向きに本館の玄関が向き、その他の施設が本館の背後に来るように設置されている。本館の正面は表門があり、表門に向かって歩いた場合の左側、つまり本館の左側では大規模な工事が2箇所で行われている。反対側は植林された木々のある、自然のスペースとなっている。木々の間にはテーブルやベンチが置かれており、憩いの場としても活用される。  工事区画のある方は、提督の話

同調率99%の少女(5) : 見学(本館)

--- 3 見学(本館)  まずは本館の見学ということで、提督は今全員がいるロビーから開始してすぐに2階へ三千花たちを案内した。各部屋を案内してその役割を解説する。いくつか部屋が紹介される間、書記の二人は解説をメモしたりデジカメで撮影している。副会長の三千花は那珂と会話をはさんで各部屋を熱心に見ている。  一般的に雑誌等で紹介される、艦娘と彼女らの勤務する華やかな鎮守府と称される基地はかなり目立つ大きなところである。それに比べて鎮守府Aはぱっと見それなりの広さなのだが、全