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「檸檬」から見る、日本人と色

…この記事を見て少し気になったのだが

さだまさしの「檸檬」。
曲中に国鉄当時の中央線快速と各駅停車の二本が出てくるのだが「中央線の快速はオレンジ色ではないか?」という疑問が書かれている。
所謂国鉄201系というものを指しての事らしい。

「檸檬」には快速の色は赤だと書かれている。

しかし、よく歌詞を見ていただきたい。
歌詞には赤、と書かれているのではなく「赤い色」と書かれているのだ。

普通列車に比較しての赤色、という意味だ。
オレンジ色という比喩では、黄色である普通列車との差別化が出来ず、曖昧になる。
実際、当時は赤い色は快速電車という喩えが通っていた。

詞の内容を見てもそれは理解る。
レモンの黄色と濃いオレンジ色とは完全には馴染まない。
赤色ならば尚更のこと。

街に染まりきらない色でいる自分。
染まりきる事が出来ぬ男女。
男に染まりきる事も出来ず、街に溶けていくことも出来ない中途半端な自分が、川面に落ちていく。

女は、男から離れようとしている。
記事中にあるように、女は檸檬を買う事無く盗んだ。
自分を悪く見せることで、恐らくは生真面目かつ一本気な男から遠ざかろうとしているのだ。
…捨て去る時には、出来るだけ遠くに。
それは優しい、女性らしい気遣いだろう。

さだという人は、歌詞に色を多用する人だ。
金糸雀色(かなりあいろ)や浅黄色(あさぎいろ)等の言葉を駆使することも多い。
野鳥の「トキ」を「桃花鳥」と書き表しているのも、その一つと言えるだろう。
(前夜(桃花鳥))
…因みにトキは「鴇」や「朱鷺」とも書く。
どの書き方も好きだが、桃花鳥はいかにも、さだまさしらしいな、と思う。

赤も紅も「あか」と読む。
緑も青も蒼も「あお」である。
茜色や紺碧等も混ぜて言えば、日本人の色に関しての感受性は世界一と言えるだろう。
実際には各々異なる色を指すのだが、一纏めの言葉で言い表しつつ、尚且つ正確にその色を伝えられるという能力は、日本人が自然の民であり、その感覚の鋭敏さが飛び抜けて優秀であるという証左だ。

努々それを忘れ、欧米的実利主義に傾倒をしてはいけない。
日本人は素晴らしい民なのだ。








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