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なんでもない場所

前回「どこまで青春18きっぷで日帰りできるか?」を一寸探ってみたわけですが、新潟県の直江津までは行けると書きました 

それと同時に
「現地で何処に立ち寄れるか」
…という事も考えてみたのですが、食事時間は抜きにしたとして(車内でオニギリとか)も、ほとんど皆無だという結論になったのです。
駅周辺だけですね。

…それでも行きたいか?と他人に問われたとして、答えは「はい」になります。
それでもいい、行きたいというのがanswerです。

葉山に出かけた時、大雨の中を歩いていると、波の打ち寄せる音と、雨が傘を叩く音の他に、蝉時雨が降るように聞こえていました。

雨の中の蝉時雨。
恐らくは初めての体験。
緑色に塗られたような小山には、果たして何百匹の蝉が居たんだろう。
成じて僅かな生の時間を、雨に打たれる事も厭わずに鳴き続けている。

…そんな瞬間に立ち会えるということは、幸運な事だと思います。
外に出なければ出会うことすら出来ない。
ただ歩いていただけなのに、心に刻まれる風景に会えたのだから、無為なことでは無いのです。

あの大雨の中を歩こうと決めたのは、間違いでは無かった。
時に他人から後ろ指を指され、嘲笑われたり哀れに思われたりしたとしても、強がりではなく胸を張って笑顔になれ、情景を話すことが出来るのは、心に刻まれた記憶がただただ美しかったからに他なりません。

私は「なんでもない場所」が好きです。
小さなカメラを持ち、観光地でも無いような路地裏を歩くのも、どこかシンパシーを感じられるような情景に出会えることを期待しての事です。





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