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とてもちいさなまち

栃木県の壬生町というところに「おもちゃのまち」という地名があります。
ここはアニメファンの聖地のひとつみたいになってまして…バンダイミュージアムがある場所なのですね。
等身大の(といっても、一部だけ)のガンダムや、アムロの等身大フィギュアとかがあります。
発明家のエジソンのミュージアムとかもあります。

…しかし、それ以外となると…倉庫や会社の建物があるだけ。
何だか全体がネズミ色です(汗)。
あとは住宅や郵便局や…どこにでもあるような場所でした。

何故そんなところに出向いたか?というと、実は「さだまさし」さんが昔「神出鬼没こんさあと」なる企画をやってて、この町でもそれが行われていたんですね。
「神出鬼没…」なるコンサートは、特に詳しい宣伝も打たないまま、ゲリラ的に小規模コンサートをやってしまおう、というものです。
泉谷しげるさんのフォークゲリラと似てますね。

私はこのコンサートには行っていません。
どこでやるかの事前告知も限定的なので、知りようがないですから。
それと…確かこのコンサートの時には闘病中で、知っていてもいけませんでした。

コンサートと、おもちゃのまちの存在を知ったのは「噺歌集」という本でした。
さださんのステージトーク集です。
歌われた歌詞も載っていて、その中に「とてもちいさなまち」も載っていたのです。

この曲、私の中で場面展開がコロコロ変わるのです。
歌詞から見えてくるのは、やはり最初は、さださんの故郷、長崎。
ただ、さださんのリアルな物語を写したようには、どうも思えない。
これはどうも違うんじゃないか。

ならば創作だろうと。
しかし、無から有を捻り出そうとすると、歌詞の中での整合性が保ちづらくなります。
うーん、これはどんな曲だろう?と考え続け、ハッ!と気付いたことがありました。

これは「反戦歌」じゃないだろうか?。
ごめんね、と恋人に謝り、もう決めたんだ、と告げる。
温かな故郷…家族の居ます処…恋人の想いを絶ち切ってまでいく場所は、自分の想いひとつだけでは無いだろうということです。

そうです。
それは戦場です。

二次戦のとき、出兵していった兵士たちは、故郷の人々に見送られて旅立ちます。
自分一人の想いだけではない、使命とも言える激情。
恋歌に変えて歌っているけれど、家族や恋人の真実の気持ちは「行くな!!」でしょう。
日本の国のためと良いながら、本当は本人も、家族も、恋人も…大事にしていたいのは、小さな暮らしであり、小さな町なのです。

だからこそ「とても小さな」なのではないでしょうか?。
世界規模の戦いが起こり、数えきれない命が消えていく、世界大戦という現実。
その大きさと、自分が大事にしたいものたちの重さと。
天秤にかけることも能わず、激情に背中を押されながら死地へと向かっていく自分。
最後の「もう戻れない」の意味するところは、永遠の別れということでしょう。

随分と時間が経ってから、そういう読み方もあるかと思った次第。
…えと、因みに「U字工事さん」の「ごめんね、ごめんねー!」は、これが元ネタなんでしょうか?。

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