明石市長は左派メディアと距離をとったほうがいい

ワクチン不足でどこの自治体も頭を抱えているようなのだが,ブチ切れリベラル市長こと明石市の泉市長がまたまたこのような記事に登場していた.

はっきりいってこの記事は昨今問題になっている「陰謀論」ではないか?

「ワクチンマフィア」に関する裏取りはどこまで行われているのだろうか?政府関係者といっても官邸に出入りする高級官僚から下っ端の役人まで色々なレベルがある.少なくともどのレベルの人間かぐらいは示さなければ信用できる情報源とは言えないだろう.しかもワクチン不足は大都市を中心に官邸と近い立場の自治体でも発生していることで,それを「マフィア」の問題に帰結しようとしている段階でどうかと思う.

市長が悪いわけではない.市長の発言を織り交ぜて陰謀論を展開する記者と編集部が全面的にこのいい加減な記事の責任を追うべきなのだが,単に「ワクチンが足りないからなんとかしてほしい」という趣旨でメディアに語った発言をこのような陰謀論に利用されるようでは市長として脇が甘すぎると言わざるを得ない.

私は明石市長の目指す理念自体には賛同する立場だ.弱者や取り残されがちな人を支援する活動には敬意を表するし,自分が関与する現場でもその精神は最大限尊重して活動しているつもりだ.しかし,最近の泉市長は自分の言いたいことをすぐに取り上げてくれる左派系メディアの神輿に担がれ,かなり危ない橋を渡っているように思う.

AERAやBuzzfeedなどに代表されるような左派系・進歩系メディアの最も危険な点は何かを「正しい」と決めたら,他の物語や立ち位置にいる人々,ものごとの例外を認めようとしない「排他性」にある.一見矛盾するようだが,彼らは「多様性」を謳うようでいて実際は《多様性》という名の「均一性」を求めていることが多い.厄介なことに現実世界では「正しさ」だけでは解決しきれない問題があり,そこに現場の知恵として「例外」や「妥協」を持ち込んだ瞬間に彼らは均一性に背いたと判断し,強大な敵に寝返ってしまう.均一性や排他性を無自覚ながらも常に指向する結果,左派はいつも「内ゲバ」の危機と隣合わせにある.

歴史的に見ても「左」と結びついたコミュニティや人々はその後不幸な転帰をたどることが多い.成田闘争は数十年にも渡って地域の分断とテロリズムに悩まされることになったし,辺野古も「左」の人々が外から介入したことで地元民との間で多くの問題を引き起こすことになった.大規模な事故や事件の被害者団体でも「左」系の活動家が入ることで,遺族の間で活動方針を巡って分断や分裂が生じてしまったという例には事欠かない(詳細は避けるが,そういう事例を私は真近で見たことがある).「右」系の人々はなんだかんだ言って個人主義的な側面が強く,一部メンバーのケンカ別れはあったとしても,大規模な分断トラブルは耳にしないものだ.

取材された本人たちはそのつもりはなくても,言いたいことを取り上げてくれるからと安易に左派系メディアを利用すれば,かならずしっぺ返しが来る.

すでに新型コロナに関しては良き前例がある.「8割おじさん」こと西浦博は数理疫学の専門家として政府の政策決定に影響を及ぼしていたが,政治の強権的な介入に嫌気が差して左派系メディアに不満を何度となく語っていた.私が慎重に見ている限り,彼の思想自体には左派性を余り感じないが,左派系メディアへの露出が過度になってしまった結果,右派のみならず多くの国民や医師たちからも,思想に偏りのある専門家として見られるようになり,その予測を信じようとする人は極端に減ってしまった.もはや専門家として彼に絶大な信頼を寄せている人は3分の1にも満たないだろう.むしろ政治色を出さない東大経済学研究科のグループの推計のほうが多くの人の信頼を得ているように見える.

岩永直子などに取材を受けているような医療人や専門家は,はっきり言って今後が危ない.誘導をかわしつつ,うまく距離を取りながらインタビューを受けている専門家もいるが,一歩間違えれば今回のAERAの記事のように「思想記事」に利用され,他の「ふつう」の人々から信頼を失いかねない.ワクチン不足のフラストレーション自体へは大いに理解できるとしても,明石市長にその危険性への自覚はあるのだろうか.

「左派」がもたらす次の犠牲者は,彼らが現在えこ贔屓しているLGBTや明石市なのではないか・・・最近私はそんな予感がしている.

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