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パチンコ業界


お久しぶりです。
フリーランスの簿記講師、おしばです。

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毎日ボクシングに明け暮れておりまして、気付けば夏になっておりました。

さて、今回ファイナンスラボの勉強会で何をテーマにお話ししようかと業界地図をパラパラめくっていたら…

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市場規模が20兆円にもなるパチスロ業界が目に留まりましたので、調べてみようではないかと。

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20兆円ってすごいですよね。
本日はパチスロ、特にパチンコ業界の「規模」と「構造」この2点に焦点を当ててお話しできればと思います。

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先程もご紹介しましたが、パチスロ業界は20兆円にも上ります。

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世界のゲームコンテンツ市場だけでも15兆円ですので膨大な規模ですよね。
パチンコは「遊技」と称されますが、この遊技人口は890万人とこれまたすごい数。

しかし、年々規模も参加人口も減少傾向にあるという状況ではあります。

20兆円という規模から、世界的にも日本はギャンブル大国?と言われることもありますが、

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どうでしょうか?
ギャンブルというと競馬や競輪なども思い浮かびますが、大きなお金が動くカジノに焦点を当ててみると、世界のカジノ市場は12兆円、シェアトップのマカオだけで3兆円と言われています。
こう見るとギャンブル大国といわれる所以が少し分かる気が…

だなんて、すぐに納得せずに、

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業界を紐解いてから再度考えてみることに致しましょう。

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パチンコ業界の仕組みを説明したいと思います。
パチンコというビジネスが成り立っていことが不思議ではないかと思いませんか?
まずは違法性の有無や、なぜビジネスとして成立しているのかを説明させていただきます。

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まず、結論から申し上げますと違法ではございません。


一般的にはギャンブルと言われていますから、懸念される罪状としては賭博罪が考えられますが、賭博罪の構成要件は2つ。

①偶然の勝ち負けで損得が生じる
②モノやお金を掛けること

この2つを満たしてしまうと賭博罪に当たります。
ではパチスロがこの2つに抵触するのでしょうか?まず1つ目の構成要件から見てみましょう。

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アウトです。
偶然の勝ち負けでお金を失ったり、景品を得たりしますので、1つ目の構成要件に該当します。

では2つ目の構成要件は、

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利益を賭けることですが、完全に該当しますよね。
でも、注目すべきは但し書きで「一時の娯楽に供する物を除く」とあります。

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パチスロは一時の娯楽に供する物ですから構成要件②に「該当しない」ということになります。


はい?一時の娯楽に供する物は何かと?

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「その場限り」という意味です。
ボーリング大会やビンゴ大会、じゃんけんごちまで賭博罪になるなら、人間やってられません。
パチンコもその場限りの勝ち負けですから該当しないという訳です。

それでもやはり腑に落ちないのは、パチンコで勝つと景品だけではなく「現金がもらえる」という点に違法性を感じるからではないでしょうか?

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風営法でも禁止行為として現金や有価証券を商品として提供してはいけないと書いてあります。
でも確かにパチンコで勝てば現金がもらえる。
なぜ違法ではないのでしょうか?

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それにはパチスロが違法ではないという一番の根拠になっている、画期的な仕組み「3店方式」があります。

<3点方式とは>
①まずパチンコ店は貸し玉料をお客様から頂戴し、パチンコ玉を渡します。
②お客様はそのパチンコ玉を元手に遊び、球を増やします。
③遊び終えたら手元にある貸し玉(出玉)を景品に交換します。
景品は、ティッシュペーパーや洗剤、お菓子だけでなく特殊景品というものに引き換えることができます。
④洗剤などはその場で受け取り終わりですが、GOLDと言われる特殊景品は、たまたまパチンコ店の近くにあるお店にもっていくと、買い取ってくれます。ここがミソで、「景品交換所で」換金できるんです。
(たまたま偶然にもパチンコ店の近くにあるだけなので、パチンコ店の店員さんに「換金したいんですけど、景品交換所どこですか?」と聞いてもすっとぼけられますよん)
⑤景品交換所は買い取ったGOLDを景品卸業者という問屋に私買い取ってもらいます。
⑥景品卸業者は買い取ったGOLDをパチンコ店に買い取ってもらいます。

これが3店方式です。

パチンコ店はお客様からお金をもらい、道具を貸して、結果に応じて景品を渡すという、一時の娯楽性ゲームを提供していますし、
パチンコ店は景品をとして現金を渡してもいませんので、合法という訳です。

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だからギャンブルじゃなくてパチンコは遊技と呼ばれているんですよ!
ギャンブル性が高いって言わないでください!射幸性が高いと言ってください!(白目


ということで、

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パチ屋の仕組みは説明しましたので、パチスロ店の売上とはどちらで計算していると思いますか?

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パチンコ店の売上とは「貸し玉料」を指しています。

冒頭ご紹介したカジノの市場規模などゲーミング業界おいて

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プレイヤーが投じたお金から、獲得したお金を差し引いた金額(粗利)を売上として計算することが一般的です。

日本のパチスロ業界も同じように計算してみると…

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20兆円から景品分16.8兆円をマイナスした3.2兆円が粗利となります。

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比較する数字を合わせて比べることが重要です。
同じ売上の概念で見ると印象は変わりますね。
ただ、依然規模が大きいことは分かります。

さて、規模のお話しもう一つ、業界の中のプレイヤーごとの決算書から読み取れる業界構造についてお話ししたいと思います。

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先程お伝えした3点方式によって、ユーザー、パチンコホール、景品交換所、景品問屋の4つの背後には、パチンコ台を製造・販売する企業がいるわけです。

サプライチェーンはこんな感じ。

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パチスロ台を製造する企業以外にも、周辺機器メーカーもあるのですが、今回は時間の関係上パチスロ機器の製造メーカー、販売メーカー、ホールの3点で見ていきたいと思います。

まず、パチンコ台製造メーカーのシェアトップはSANKYOを見てみましょう。

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製造業であるSANKYOさんは現金を豊富にもち、その他流動資産のうち多くを占めるのが有価証券ですね。
豊富な資産を持ち、利益率も16%と非常に高いことから純資産の中はほとんどが利益剰余金なので、がっぽがっぽな状況です。

次に販売メーカー

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フィールズさんは販売代行を行うメーカーですが、円谷プロダクションを傘下に収めるなどしてコンテンツ企画にも力を入れています。
ただ主軸はあくまでもメーカーからパチンコ台を仕入れて、ホールに売るという販売代理店業ですから利益率は低めです。
その他流動資産のうち多くを占めるのは売上債権ですね。

コンテンツ事業などを強化すべく企業買収にも動いているため無形固定資産(のれん)も他の企業と比べると大きくなっているのはフィールズの特徴です。
パチンコは魅力的な台を企画することが重要で、特にどのコンテンツをパチンコ台にするかというのはヒットのカギになります。
そんな重要な商品企画開発ですが、コンテンツを商品化するというコンテンツ事業を手掛けるフィールズ。

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このように、商品化権を取得して、製造メーカーにコンテンツを販売することで、MGと呼ばれる最低保証使用料と、OGと呼ばれる変動型のロイヤルティの利ザヤで稼いでいます。


MGに関しては先にライセンス元にを支払ってから製造メーカーからビジネスのため、額はそこまで大きくないですが、商品化権前前渡金という資産も流動資産に計上されています。

一方主軸の販売代理店業です。

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パチンコ台の市場販売価格はおおよそ30~50万といわれていますが、
代理店はだいたい8割くらいで仕入れて販売しています。

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一方もう一つ代行販売というビジネスモデルですと、代行販売手数が売上になります。

スライド34ということで、販売を行うフィーズの説明でした。


ラストは、やはり一番大きな市場となるパチンコホールです。

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業界地図を見るとホール大手は日本では上場していないですね(先に説明した3店方式という謎理論によるグレーゾーンが懸念材料になっているようです)


最大手はマルハン、香港市場に上場してはいますね。
最大の特徴はP/Lの圧倒的な大きさ、原価率の高さ、利益率の低さですよね。
原価は景品代が多くを占めているといわれていますが、他にもパチスロ台やら、ホールの人件費やらが維持コストが嵩むので利益は非常に少ないです。


B/Sの特徴としてはやはりパチ屋最大の特徴で、「有形固定資産」と「有利子負債」の大きさです。
理由はお分かりですよね?
パチ屋は駅前の一等地に土地を保有しています。ビックマネーが動く業界ですし、銀行もなんやかんや手をつかってお金を貸しているようですし、その金で一等地をごそっと買うわけです。
まぁこんなことできるのも大手のホールになるわけですが、分かりやすく表れていますね。

ということで、B/Sをサプライチェーン別に並べるとこんな感じ。

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大きさに合わせてみるとやはりホールが莫大な大きさになっています。

次にP/Lです。

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やはり製造メーカー強いですね。
パチスロ業界というのはやはり「パチンコ台」が重要で、ホールは新しくて、ヒットする台が欲しいわけです。
通常、家電量販店など実際にお客様に売る小売業が製造メーカーより立場が強いですが、この業界では製造メーカーが強いのが特徴です。
集客のカギになる重要な台を企画製造していることはもちろん、警察をOBを多く顧問として抱えており、圧倒的な権力を持っているので、製造メーカーが強いのです。
だから新しい台がとにかく早くほしいホールに対して、「たくさん買ってくれるホールに優先的に販売してあげる」というスタンスのため、大量に売ることができ、原価も安く製造して利益も確保し、大手ホールが働いてくれりゃあ儲かるという仕組みなのです。

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大きさに合わせてみるとやはりホールが莫大な大きさになっています。

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ここまで「誰得だよ!」な情報を説明してきましたが、パチスロ業界はコロナはもちろん、余暇の楽しみ方が広がっていることもあり厳しい状況です。
あと最近パチンコの商品企画力が指摘されていてマニアが離れているのも痛手になっていますね。

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何よりも業界の業績にも大きく響いているのが、法規制です。
射幸性、いわゆるギャンブル性を抑えるために段階的に法規制が厳しくなっています。

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ま、いうてもお伝えした通り、メーカーと警察はずぶずぶな関係で、警察の天下り先となっているといわれていいますから、パチスロ業界を無くすことはできません。

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そんな中、企画販売のフィールズの子会社がネットフリックスと業務提携したニュースには驚きました。

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ネットフリックスが東宝スタジオを拠点にするというニュースは大々的に報道されていましたが、私は1か月後にネットニュースで知りましたね。
東宝スタジオと円谷プロダクションの関係もあっての提携だと思いますが、日本で初めて業務提携したのがパチスロ販売会社の子会社というのは驚きでした。

フィールズ以外も含め、各社の動きが気になるところです。

最後に闇が見える情報を1点、パチンコユーザー=消費者金融ユーザーというのはイメージあるかと思いますが…

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データで見ても完全に流れがリンクしているようでおもしろいですね。最近また貸付残高が増えているようなので‥(無言

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今後の動向が気になる業界です!

もっとパチスロ業界を知りたい方のために、参考文献です!

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最後までお読みいただきありがとうございました^^

8月は業界地図2022年が発売になります!楽しみですね^^

文中に出てきた会計用語が分からない!という方は、決算書の読み方を学べるアプリがおすすめです↓




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