アンゼルム・キーファーさんのドキュメンタリー見てきました
昨日、映画「アンゼルム 〜"傷ついた世界"の芸術家」を見に行ってきました。これはアンゼルムさんの作品・生涯を追ったドキュメンタリー映画で、監督は役所広司さんが主演した「PERFET DAYS」も手がけたヴィム・ヴェンダースさんです。この映画、カンヌではPERFECT DAYSと同時に上映されていたそうです。
アンゼルムさんは1945年生まれで現在79歳、戦後ドイツを代表する美術家で、ナチスを題材にした作品などを多く作っています。絵画・建築・インスタレーションなどさまざまな作品があるのですが、絵画でもウィーンと動く機械に乗って巨大な壁に立体的に描いていたりします。今回、3D上映の映画館を選んだので作品のそばに立っているような感覚を味わうことができました!
アンゼルムさんの作品は重たく、戦争で損なわれてしまったものを見せつけるような激しさがあり、その作風は第二次世界大戦が終わって70年以上経つ今日になっても変わっていません。アーティストさんによってはテーマや作風が変遷していく方もいると思いますが、アンゼルムさんは実は産まれたのは終戦の年ですが、「傷ついたものへの鎮魂」とある通り、ずっと一貫して戦争に向き合ってきました。
何でこのことをnoteで書こうかと思ったかというと、先日れいなさんの「成仏してもらおうの話」という記事を読ませていただき「戦争をしちゃいけないのは、人々の辛い感情や記憶が100年残ってしまうから・・・」という文章に感銘を受けていたところ、まさにそんな映画だったからでした。
この記事を読んだ直後に映画を見たので、アンゼルムさんは自分の分だけでなく、多くの人々の想いを生涯かけて癒そうとしているんだと感じました。
最近、この映画や「オッペンハイマー」、「関心領域」など戦争をテーマにした映画が多いなあと思ったのですが、映画に誘ってくれた友人が「最近の世界情勢が関係しているのではないか」と言ってました。イギリスは保守党が徴兵制復活を表明している、ドイツでは兵役再開の是非が議論されているなど。。
誰かを敵と認識する気持ちが集団的に極限まで大きくなると戦争が肯定されてしまう。いったん始まると長期にわたり終わらない。いつの時代もアーティストは戦争に反対してきたし、このような映画が多くなっているのも忘れないでほしいと願っている制作者がいるのだと思います。
大きな力が働いている不気味さ、無力さを感じてたところ、このカードが出てきました。まず自分の心から出発することですよね。
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