さよなら、ありがとう

桜が咲く5月。

わたしは、大失恋をした。失恋をしたのは、去年の冬。
10年間、片思いだった。
こいつは、10年間付き合う事を口約束する意味や自分の結婚感の必要性をただただ無意味だと言い聞かせてくれる人。
あたしも、どんどん浸食されてまるでべつにそれが
素敵な言葉のようにさえ感じていた。
どんどんどんどん、その言葉が美化されてあたしの心を浸食して、今現在のあたしができあがったという訳。
10年間ほぼ毎日、といっていいほどご飯を食べに来たり、お風呂に入ったり、寝たり、抱き合ったり。
考えれば、完全に紐行為。でもね、最後の、、いや、最初の1年目から分かってたことだったけど止められなかったんだ。

彼は、あの日どしゃぶりの雨の中を歩くわたしを迎えに来た。あたしは、自分の生い立ちに目眩を覚えるくらい悩んでいたから。あたしのこと探して迎えに来たんだ。泣きわめくわたしに、生い立ちを恨むわたしにこう言ったの。
それは、家族が悪いって。
今考えれば、わたしもあなたもクソガキだったからすべて誰かのせいにしないと泣けもしないやつだったからただのクソガキだけど。
あなたは、今でもそれは家族がおかしいっていってくれる。

そんなやつとの恋が終わって、寒い冬を1人で過ごし、雪解けもつくしも生えだした5月。
あたしは、また恋をする。