かみひこーき(10代の恋愛(2)
最初から苦しいと書いてしまったのは、
始まりそうで何も始まらず、
始まっていなかったにもかかわらず、
意に反して終わって、いや、
終わらされてしまい、
しかも、
どん底に突き落とされてしまったから。
あたしを気に入らない、ただそれだけの理由で、
全く関係のない人が。
これは後々書こう。
とにかく、
あたしの幸せな高校生活が始まった。
彼のことは、
彼のペンネーム『かみひこ―き』と呼ぼう。
ほぼ毎週かみひこーきさんに逢える。
「逢える」と書くのもかみひこーきさんの影響。
週末が待ち遠しくて待ち遠しくて、
普段の勉強にも身が入る。
そう、あたしは恋愛体質なのだそうだ。
恋愛がうまくいっていると、他のこともうまくいくのだ。
それは片思いでもおなじこと。
成績が下がって恥ずかしい思いをしないように頑張れるのだ。
親や先生の言うこともよく聞くし、
友達や周りの人に気を使ったり、優しくできる。
逆に恋愛がうまくいかないと、全てがうまくいかない。
考えてもしょうがないことで頭が一杯になり、
何も手がつかなくなるし、
誰の言葉も耳に入ってこなくなる。
あたしはそれまで習っていたピアノをやめて、部活に打ち込むことにした。
ピアノも続けられたのだけど、そのために部活を休むことになる。
部活に打ち込むというよりは、逢える日がわからないから、
ピアノの習い事で逢えるチャンスを失いたくなかった。
かみひこーきさんの同期のオオタさんって人は、
家が学校の裏手で、仕事がない日はほとんど部室に来ていた。
あとで知ったのだが、
オオタさんは、女子高生を物色しに来ていたらしく、
あわよくば誰かとつきあったり出来たらいいとか思っていたらしい。
そうとは知らず、あたしとイカルとタカはオオタさんと仲良くなり、
遅くなった日には車で送ってもらったりしていた。
かみひこーきさんとも仲良くなり、オオタさんがいないときは、
同じく車で送ってもらことが多々あった。
そのうち、5人で休みの日に遊ぶようになったりした。
ルパン三世の初めての映画化のとき(年代が古すぎ)、
5人で立ち見したり、
OBの人たちでよくいくボウリングを5人でしたり。
あたしは、
逢えるだけでなく、一緒に遊びに行けることも嬉しくて、
かなり幸せな日々が続いていた。
もちろん、
イカルもタカも、あたしのかみひこーきさんへの気持ちは知っていた。
というか、バレバレだったらしい。
遊びに行った帰りに、オオタさんの家に行ったり、
かみひこーきさんの家にも行ったりした。
先輩2人の実家では、
女子高生3人が遊びに行くことにも寛容で、
飲み物やお菓子を出してもらったり、
まあ、やましいことはあたしの気持ちだけでw
先輩の部屋の物色をしたり、トランプの大富豪したり。
初めてかみひこーきさんの部屋を訪ねたときは、
かなり緊張した。
かわいいノートやきれいなノートがたくさんあって、
そのノートに詩が書いてあり、それにイラストが添えてあった。
全部かみひこーきさんの手書き。
グレープとさだまさしのLPがあって、驚いた。
あたしも好きだったから。
その詩集ノートを見て、かみひこーきさんのペンネームを知った。
「いいなあ。あたしにもなんか書いて欲しい。。。」
みんなの前で堂々とアピール!
「いいよ。好きなノート持ってきな。」
やった!!
本当に幸せだった。
思い出すと今でも涙が出るほど、あのときは幸せだった。
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