10代の恋愛(6)
あたしは書き溜めていた詩を発表する場所を求めて、
文芸部に入った。
さして活動もしていない文芸部だったけど、
文化祭のときだけ、個人個人で書いた詩をまとめて、
小冊子を発売するという活動だけしていた。
卒業アルバムでは、
文芸部に写っているのだが、
卒業間近に、吹奏楽部の後輩たちに、
送迎会に呼んでもらえた。
嬉しかった。
卒業アルバムの吹奏楽部の写真には、
あたしは写っていないけど、
見るたびに想い出す。
写ってないところに、あたしはいた。
文芸部に写っているからと遠慮して、
フレームからはずれているのだ。
中2のときに、
初めてかみひこーきさんに出逢い、
片想いして、
何も始まらずに終わった。
高校を卒業して、
実家を出て、
専門学校へ行くために、
1年間寮に入った。
学校卒業後は、
実家へは戻らず、
地元外で就職して、
一人暮らしした。
実家も地元も、
戻る気はなかった。
田舎は、
聞きたくもない噂話が流れてくる。
町を歩くと、
〇〇さんの娘さん、と身元バレする。
かみひこーきさんは、
タバコを吸う人を嫌っていた。
だからタバコを覚えた。
さだまさしの交響曲という曲の、
『タバコを咥えたら、』
で始まる歌詞に続いて、
『あなたのことを、突然想い出したから』
というのに影響されて、
日常的に吸っているのに、
ほんのたまに
突然思い出して涙することもあった。
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