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中国トップPEファンドイベントログ第一弾

YJ Capitalの李路成でございます。YJ Capitalは海外のスタートアップ&ユニコーンと交流する場を作るために、一連のイベントを企画しております。今後のイベントの告知はこちらにチェックしてくださいー@LukeLee

今回は9月14日に行われた中国トップPEファンドGenBridgeとコラボしたイベント第一回目のログを文字化したものをお届きします。中国Tier2〜3の都市、何があってどう変化しているか、といったような最前線な情報に富んだイベントです。そして10月に実施した第二弾は整理付き次第noteに公開します。とにかく第一弾をぜひご一読ください。

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(始まり)

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深センや上海、アリババ、テンセントなど、中国の先進的な部分は、巨大なマーケットにある後進的な部分があるからこそ成り立っている。中国が手本になったり、ベンチマークになったりするとは限らないと感じる。今回は、リアルな中国について、ライブコマースなどを紹介する。



第三の消費


日本の消費は4つに分けられる。この枠組みで中国の発展を見ていく。中国はより多様性に富んでおり、都市は5つに分けられる。3、4、5線都市が中国の多くを占める。中国の本当の指標はこうした地方都市であり、同国のECを支えていると思う。日本よりも3、4、5線都市の人口が多い。便利をメインに打ち出すのは、時間と効率を重視する1線都市がメインになる。


中国の地方都市

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河南省安陽市を例に出そう。人口は150万人前後で可処分所得水準は一年で約40万円。地方だけに存在するチェーン店などもある。中国にとってコーヒーは外国のもので、まだ抵抗があるものなので、アイスティーなどの方が受け入れられやすく、メインとなっている。地方都市で見かけるピザハットの前で並んで待つ光景は、20年前の北京や上海の様子と同じだ。地方都市は都市部よりも数十年遅れているイメージ。中国の経済発展は、貧富の差から来ているため、そこを改善しようと政府が積極的になることはあまりないだろう。



2、中国の消費形態

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同じ時間帯に違う世界が広がっている。先述の地方都市と都市部の「時差」などにも現れている。例えば、都市部では他人と差別化を図れるファッションなどに需要が集まっている。スタジオのしっかりした写真感を残しながら、snsでシェアしやすいようデータとして写真を消費者にすぐ送るビジネスモデルが流行っている。一方で、流通の効率が悪いため、ファッション製品など、地方都市の方が都市部より価格が高いものがある。また、所得は地方都市が低い。そこでD2Cのチャンスが生まれる。地方のマンションは安く、そのため可処分所得が多い人も多い。これも地方都市の特徴の一つだ。基礎的な電化製品から少し便利な家電製品、そして最近はカラフルな家電製品が登場してきた。安くても見栄えが良くなるような家電製品を販売する動きがある。都市部では、耐久消費財もより個性的なものが登場し始めてきている。コードレス掃除機を取り扱い出してバズった会社もある。

3、D2C

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トラフィックをいかに取るかが重要だ。商品を買ったことない人にどう買わせるかが鍵となる。チャネル、トラフィック、コストパフォーマンスが最優先。デザインはそこそこで充分なのだ。中国の中で、3つの時代が同時に進んでいるので、マーケティングの可能性は非常に大きく、商品販売のポテンシャルも高い。拼多多は、地方都市向けサービスで、いかに都市部に進出するかが今後の課題となる。jdは都市部に限られたサービスになるため、地方都市にどう進出するかが課題になる。中国の人件費は安いという側面が大きく、こういったECの配送料は安い。5kg以下の商品は送料無料になるが、その理由は配達員が足で蹴られる重さが5kg以下であるためだ。
中国では、店舗と消費者の距離がまだ遠い。国の体制として、建物や道路が大きかったり広かったりする。そうすると、物理的な店舗と消費者の距離も遠くなる。利用頻度の高い消費財は住宅群の近くに集められるが、頻度の低い商品は、オンラインでの購入となる。
消費者カテゴリーによって配送に対する期待度は変わる。すぐに商品が欲しい層は、jdが強い。中国では、配送された商品は家の玄関前に置いていかれるシステムとなっている。住宅群のマンションに住むことが中国では一般的だ。住宅群のコミュニティーに入るのにも警備が厳重で、コミュニティー間の信頼も高いため、商品を置いておいても不安を感じない。
中国の製造業のうち、外資系企業などに対し製品を製造するところは、中国企業と仕事をしたくない。支払いの滞りなど、中国企業の支払いにおける問題が懸念材料なのだ。そのため、日本で流通しているメイドインチャイナは、中国でも最上級の質を誇り、中国では流通しない。ただ今回のコロナでそれが変わるかもしれない。最近工場が自らブランドを作ったり、フランチャイズしたりするケースも増えている。toBの人からすると、toCの仕事をするのが永遠の夢、というところもある。


4、地方都市の実態


湖南省のある都市の話をしよう。ここは120万人を超す都市で、都市化はやや進んだところだ。モノは安くなく、品揃えも悪い。前述の物流の悪さが現れている。ある家庭を取材したのでその話をシェアする。旦那の収入は10万円ほどで悪くはない。ただ、車に支出が集中しているのだ。収入が安定していて両親が地主ではあるが、ホテル勤務のシェフである旦那は職場までが遠い。自身の面子の問題もある。家には何もないが、消費意欲は非常に高い。オンラインショッピングでの返品率が30%以上と高い。小額の商品返品もあるが、小額とはいえ、彼らにとっては大きな出費だ。サンプル品の購入が多い。キャッシュが少ないので、品質を見極めるため、サンプル品で様子見といったところだ。ただ、奥さんはランコムの420元の化粧水を自分の誕生日に買うなど消費意欲は高い。原因としては、スマホを使用することで情報格差が減ったことが挙げられる。格差の解消やスマホの普及で、誰もがオンラインで商品購入をするようになった。この家庭、実は家にpcがなく、スマホしか持っていない。スマホの普及によって地方も消費に目覚めた例である。サンプル品を知るルートはコミュニティの人経由だ。コミュニティの人が知り合いにすすめ、購入するとキックバックが入る仕組みになっている。
マイクロビジネスがd2cを育てる
日本にもアムウェイなど類似サービスはあったり、snsの普及で効率的なモノの見方ができるようになった。悪くいえばマルチ商法と同じではある。しかし、中国の法律上三回以上の転売がマルチ商法とされ、上記のような中国のマイクロビジネスでは最大二回までの転売(メーカーから紹介者、紹介者から知人)なので、違法ではなくイメージも悪くない。日本にも来る可能性はあるが、コンビニやドラッグストア中国ほどメジャーにはならないだろう。
日本では消費者がメディアから情報を見て、店舗で商品を探すが、中国では、様々なマルチメディアが入り口となり、タオバオなどのプラットフォームに繋がる。そこで商品を購入するという流れだ。こうして中国次世代のd2cの国産ブランドが育ち、我々はそこに投資している。


5、TikTokと消費システム


ウェブマーケとしてはやはりTikTokなどのライブコマースにお金を一番かけるだろう。ライブコマースは宣伝と販売を同時に行うためであるし、地方の人にとって一種のエンタメだ。エンタメのあるところに人は集まる。実際に利用者も利用時間も増加している。kolが一言商品を勧めるだけで商品が飛ぶように売れる。これも地方と都市の情報格差をよく表している。TikTokにどのチャネルからどれくらい流入があるのかはカテゴリーによるところが大きく、我々もはっきりとは把握していない。プラットフォーム内部では、例えばまずtモールに入って商品カテゴリーで商品を選ぶといった手順が一般的だろう。ただ、これもカテゴリーによるところが大きい。
今年に入ってからTikTokはECを始めた。自身のサービス内で完結するためだ。タオバオなどにも飛べるが相応のマージンを求める。また、TikTokだけで売ってるブランドもある。例えば、TikTokで流行ったシャンプーブランドで、2億円ほどの売り上げを確保しているd2cブランドもある。tモールで3位にランクインできる売上高だ。中国の人が作ったイギリス的なデザインが特徴だ。地方の人はデザインが似ていればグローバルなブランドという認識になる。周りの友達との差別化を図れるためだ。商品は、日本のボタニストと同じ値段帯だが、中国のECでは3位になるほどの人気を博している。こうしたd2cブランドをメインに投資している。メディアやプラットフォームはもうすでに成熟してきている。
TikTok自体のアルゴリズムはバズりやすく、かつバズりにくい。一部にアクセスが集中する仕組みになっている。人気が出るとよく見られるのだ。そこで、TikTokの中でのトラフィックを稼ぐよう力を入れるのではなく、wechatなどみんなが使っている外部のサービスからトラフィックを稼ぐ方に力を入れる。マイクロビジネスでは紹介者にとって商品のマージンは40%ほどあるため、一生懸命トラフィックを稼ぐ。そこで再生数上位に入ってくると、アルゴリズムでもアクセスが集中するようになる。


6、品質向上


商品の質も上がっている。D2Cブランドの商品では、商品の紹介者はお客さんのフィードバックを毎日直接聞ける。そのため、商品改良のスピードが非常に早い。商品を卸して販売する手法とは大きく違う。

7、情報格差

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1級都市は情報量が多いので自分で調べるという人が多く、マイクロビジネスがメインになりにくい。一方、地方都市では情報が少なく、消費者間の信頼が重要になる。そこを狙ったビジネスモデルがマイクロビジネスなのだ。また、中国ではナショナルブランドが色々と問題を起こしてきたので、ナショナルブランドとはいえ信頼できない。信頼できるのは消費者という認識が強い。コーヒーや化粧品のD2Cブランドで急成長しているところもある。海外のデザインをそのままコピーしたようなものもあるが、それは地方都市の人にとってはあまり重要ではない。都市部ではファッションにそれを求めるように、都市部でも重要なのは他人と差別化を図れるデザインなのだ。

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以上がイベントの記録でした。今後のイベントの参加についてぜひフォローしてください。そして第二回目の記録は整理付き次第投稿します。

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