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あれもこれもやりたいだろうけれど、最初は顧客ターゲットを絞った方が良いと言う話その2

この内容は、起業を考えている学生、社会人、または事業立ち上げ期の起業家向けの内容となっています。2回に分けて説明をしていますが、今回はその2回目となります。

ではVol.1でご紹介した概念図をベース(下記参照)に、ドイツのフード系スタートアップYFoodを事例に顧客ターゲットの絞り方を考えていきたいと思います。

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YFoodは、忙しいライフスタイルに合わせてデザインされたドリンク、バー、パウダーなどの形で”完全食品”を販売しているスタートアップです。同社のウェブサイトによると、バランスの取れた栄養と風味を合わせ、最大5時間もお腹を満たしてくれるとのことです。(5時間ってすごいですね。。。)

共同代表のBollmanとKremerのインタビュー記事を参考に、彼らが初期にどのような顧客にターゲットを絞っていたかを検証したいと思います。
*ここから先はあくまでも記事を参考に筆者が予想しながら概念図に落とし込んで分析したものになります。実際の戦略は違う可能性もある事はご了承ください。

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①自社の対象市場の中でセグメントを設定
インタビューでは、1990年代生まれのジェネレーションYを対象にしていると言っています。

②セグメントの中からターゲットを絞り、同時にやらないターゲットを決める
創業者が起業前に働いていた金融業界では、忙しすぎる事がデフォルトで、ジャンクフード中心の食生活で体調をくずしていたと自身の振り返りをしています。その結果、自分と同じ様な課題を抱えているオフィスワーカーがいるはずだと言うことで、ジェネレーションY世代の男性をターゲットに絞っていきます。

③ペルソナの設定
今回は②とニアリーイコールになっていますが、ご自身の経験上、”仕事が忙し過ぎて、手軽に取れるジャンクフードをつい食べてしまうが、本当は代替品があればそちらを選びたいと思っているオフィスワーカー”として設定した様です。

④ペルソナが抱える課題を洗い出し、打ち手を一つずつ試す
具体的なペルソナに対して、彼らが抱えている「時間、お金、健康」の三つの問題を解決すると言っています。

1)忙しくて食べる時間がない (解決策:簡単に摂取できる)
  手軽に取れる様々なプロダクト(ドリンク、粉末、バーなど)を提供。

2)高すぎるものは買えない(解決策:買いやすい値段設定)
   ドリンクは1本420円で提供(EUのビックマック単品と同じ値段)。
   同じ値段でお腹を満たせるなら健康なものを選びたくなる。

3)不健康は嫌だ(解決策:オシャレなプロダクトで健康意識が高い自分を演出)
  ジャンクフードの代わりに食べることのできる代替品として提供。オシャレな
  見た目と、生活に必要な栄養素がまとめて補給でき、しかもお腹も一杯にな
  る。周囲には健康意識が高い人を演出できる。

以上の課題を解決することで、忙しい会社員の日々をサクセスフルにする事ができると言っています。

個人的に面白いなと思ったのはここからです。創業者は具体的なペルソナを通じて、サービスを展開して行き、その後ユーザーに様々なインタビューをして行きました。その中で見えてきたのは初期の顧客ターゲットに狙った会社員だけではなく、出張が多いビジネスマン、シフト勤務制の業種の人やストレスを抱えている子育てに忙しいお母さんなど、あらゆる年代の人が抱えていた課題にも対応していたのです。

おそらく最初からあらゆるターゲットに仕掛けていたら、それぞれの打ち手に効果があるかどうかがわからなかったかもしれません。ついサービスを立ち上げると、あれもこれもやりたくなるのはわかりますが、とにかく事業立ち上げ時で、資金的にもそれほど余裕があるわけでもないので、検証すべき判断軸をきちんと設けて、一つ一つ実践して試していくことを強くお勧めします。

最後までお読み頂きありがとうございます。筆者は朝日メディアラボベンチャーズと言う朝日新聞社のCVCで働いています。起業を考えている学生、社会人の方で「事業の壁打ち」や「相談」をしたい方がいれば、ぜひDM頂ければと思います。またはその他の起業家の方、資金調達のご相談、またはスターウォーズかコーヒーの話をしたい方もご連絡下さい(笑)

https://twitter.com/ShiraishiK2

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