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ふとんのダニ退治

去年の夏、ふとんにダニがわいた。
そんなに不潔にしていたつもりはない。思い当たる理由といえば、春先に上の階から水が降ってきて部屋が湿気に包まれたことぐらいである。あれから部屋全体がなんとなくじっとりしているような気はしていた……。

最初は何の影響もなかった。刺されても「ん?赤いな。何だろう」程度だったので気が付かなかったが、回数を重ねるごとに赤みが増して、それと同時にかゆみもひどくなっていった。これが猛烈にかゆいんだ!100匹の巨大な蚊が休みなく刺し続けているぐらいかゆい!とにかくかかずにはいられない。しかも、かけばかくほどかゆくなる。血が滲んでもやめられない。もう傷だらけだ。対処法を調べればどの記事も「かいてはいけません」と書いてあるが、そんなの無理だって!執筆者に「じゃあお前、我慢してみろ」と殴りかかりたくなるほどかゆい。かゆみは生活を崩壊させる。ダニでこれだからアトピーの人はもう大変だろう。デュピクセントを無償化すべきだ。

あまりにかゆくて怒りながら泣くほどだったので病院へ行った。最初は抗ヒスタミン薬入りの軟膏が処方されたが、まったく何も効果がなかった。逆に塗る刺激でかゆくなって引っ掻きまくってしまう。次にステロイド入り軟膏が出た。これは気休め程度には効いたが、それでも気休めである。やはりかゆみとの戦いは続いた。
もちろん薬のほかにも対策はしている。ダニは高温で死ぬというのでシーツを洗ってふとんにアイロンをかけまくった(毛布はアイロンを当てると化学的な焦げ臭さが立ちのぼったので怖くてやめた)。これでもかとふとんを干し、服はみんな乾燥機にかけた。「ダニ死ね~~!」と叫びながら滅亡を祈った。

それでもやつらはしぶとい。毎日ダニ刺されが増えていく。柔らかい場所がお好みのようで、二の腕やお腹、太ももの裏などを重点的に刺す。へその内側を刺されたのには参った。かゆくてもかけない場所だからだ。耐えられず耳かきを突っ込んでグチャグチャかき回したら真っ赤に腫れあがってしまった。あいつら人の血を吸っているのかと思ったら餌と間違えて咬むらしい。まったく迷惑な話だ。脳ミソが入っていないにも程がある。

かゆい、かゆい、ダニはいなくならない。もうノイローゼになってちょっとでも皮膚に刺激を感じると「ダニか!?」と疑心暗鬼になり、シーツにうごめくダニを幻視するようになった頃、実家からすごいアイテムが届いた。
ふとん乾燥機である。
それもただのふとん乾燥機ではなく、業界最強でとにかくダニが死ぬという機種だ(三菱ふとん乾燥機「AD-X80」)。見た目はぽってりと可愛らしいフォルムだが「ダニパンチ」モードの名前が心強い。レビューには「他の乾燥機では効果がなかったが、これを使ったらいなくなった」という喜びの声が続々寄せられていた。もうこれでダメなら私はダニに食いつくされて死ぬんだ……と、縋るような気持ちでスイッチを入れた。

最初の数日は「ん?刺される場所が減ったような気がしなくもない……」程度だったが、しつこくしつこく乾燥し続けて、一緒に送られてきたふとん用掃除機を「ダニ死ね~~!」と叫びながらかけていたら、だんだん刺されなくなり、ついにはいなくなった。季節が夏から秋へと移り変わって湿度が下がったことも大きいように思う。

この乾燥機、とにかくパワフル。洗ったシーツもこの上に乗せておけば乾く(面積の都合上、端っこがはみ出すのでずらしながら乾かす必要あり)。カバーは上からかぶせて横に折りこみ、ふとんをすっぽり覆うタイプなので着脱も楽々。カバーの内側に枕やサブちゃんのぬいぐるみを入れてみたら問題なく乾いた。湿った服を乗せてもいいし、冬場は軽くかけるだけでふとん全体が暖まって豊かな気持ちになれる。使い方もそんなに難しくない。カバーがつけにくいという声もあるが、2回も使えば慣れる。本体のジャバラとコードが内側に収納できるのが嬉しい。作動中はまあそれなりに音はするが、かけながら通話できる程度。
私には1円も入らないが熱心に褒めてしまった。それほど良い製品なのだ。

そして私vsダニの戦い2019は終わった……のだが、引っ掻いた傷がなかなか治らない。お風呂に入るともうしみてしみて……しかも刺された部分のかゆみが完全に消えるのに数ヶ月を要した。今も刺し口の跡が残っている。


こうしてとりあえずダニの危機は去ったが、油断はできない。2020年も夏は確実にやってくるのだから。実際、5月に入ってから3ヶ所、明らかにダニと思われる刺し傷があった。今年もやはりかゆい。ふとん乾燥機を2回かけたら刺されなくなったので、熱心にかけて2020年はダニに悩まされない夏を送りたいものだ。

フルツとか医学書とか買います