グノーシア感想(途中からネタバレ)

以前から気になっていたグノーシアがSwitchで発売、ということでプレイしました!いや〜〜面白かった〜〜!以前から評判は聞いていたのですが、ループ物、かつ主人公=自分型のゲームとして完全にツボツボのツボをお出しされてしまった。最高……。
何が最高かというと、シナリオとシステムとゲーム体験の融合性がもの凄い高いんですよこのゲーム。プレイヤー=主人公のゲームって、自分がゲームの中の世界に入り、自分として世界を体験し、自分として世界を変革できるのが良さの一つだと思うんですけど、グノーシアはその点もうすっごい。シナリオにも設定にも完全に「プレイヤーがやったゲーム体験」が組み込まれている。最高〜〜〜!!
プレイヤーが主人公だからこそ至れる真エンドは好きですか?お好きならぜひグノーシアをプレイしてください。あなたが思うままに、会いたい人へ会いに行こう。

ループ物としての好き要素は……私はホロウアタラクシアが好きなので……1分先に死ぬとしても、知らない10秒先が見たいなので……はい……。


以下ネタバレ



【ゲーム全体について】

もういろんなところで散々言われていることだと思いますが、グノーシア、設定とゲーム性のかみ合わせ方がうますぎる。バグの発生理由は主人公がループによって世界に二人存在するせいであるし、人狼を楽しむために配役の設定を変えることすら数多の可能性を食らう銀の鍵を埋めることに結びつく。そして我々は「プレイヤー」だから、本来越えられない宇宙すら越えて、あの子の元へ会いに行ける……。いやサイコ〜〜〜〜〜だな?!ゲーム体験とシナリオの融合が気持ち良い〜〜〜!!

もしこれが小説なら、流石に主人公が体験するループを全て描写することは出来ないでしょう。大体100周くらいはやってる訳ですし、その中身を延々と語るなんていくらなんでも無茶です。でもこれはゲームで、「人狼を何度も楽しくプレイしてもらう」ということに心血注がれて出来ているから、プレイヤーは気がついたら100周している。100周以上ループする主人公の体験をそのまま味わうという、稀有な体験ができる。そして情報のカケラが集まりきった時、新しい宇宙への扉が開かれる=良く似ているけどまだ何も始まっていないまっさらな世界で、NEW GAMEを始められる……。熱い!!!
もう最初から最後まで「ゲームだからこそ」可能な体験でいっぱいで、ゲームが大好きな私はもうたまらなかったです。ゲーム、「その世界の中にいる自分」になれるのが楽しくて仕方ないので、その世界にいる自分の行った体験がシナリオで大事にされるとワクワクになってしまうのだ。FF14漆黒のヴィランズとかもそれだ……。
しかもさ〜〜、あの子だけがいないEDの中、みんなの言葉の通りに「もう一度会いたい」と思うまま新しい世界へ手を伸ばしたらあの子がいて、私のことを覚えていてくれて、そして他の誰でもない、画面の外で「キミに会いたい」と願った「わたし」を見つけてくれたのがさ〜〜〜!!!あまりにも嬉しくて愛しくて、ベロンベロンに泣いてしまいました。ありがとう。「わたし」を見つけてくれてありがとう。キミとまた出会えてよかった。キミが寂しくなったら何度でも会いに行くから、どうかキミに光あれ。


【バグとかいうエモ生命体】

グノーシア世界におけるバグ、存在しているだけで世界を壊すのでグノーシアにも人間にも命を狙われるけれど、本人はそうなりたくてなった訳ではないから必死に生きようとするし、でも生き残ると世界は壊れるし、どうしようもなく詰み存在でめちゃくちゃ良いです。
詰んでいると自覚しながらそれでも、他の船員すべて騙してでも生き残ろうとするのが最高。バグという生命体なだけで、彼らは今この瞬間ちゃんと生きているし、感情があって、世界が壊れても死にたくないって思ってるんですよね。すごく人間味があるなあ……と感慨深くなります。
そして人間味があるからこそ、自分が生き残る罪深さに耐えられずコールドスリープを選ぶバグもいる、というのがまたニクい!死にたくないというだけで世界を壊すのが人なら、死にたくないけどこの宇宙を壊したくない、と思うのもまたヒト(感情を持ち、意思があり、当たり前に生きているモノを指す)なのだな。

元の人狼ゲームからそうだと言えばそうなのですが、グノーシアもバグも「悪人」という訳ではないのが味わい深く思います。ただの人間からすれば、彼らは自分たちを害する意思のあるモノ達なので間違いなく「害」で「悪」と定義されるモノではあるのですけど、でも彼らが悪人かと言われると、そうではない。ただ「そういうモノ」である。だからこそループごとに敵味方はあるけれど、どのキャラへもわりとフラットに関わっていけるのかな〜と感じました。

グノーシアやバグが悪人じゃないかわりに根っからの「悪人」がいるのもデカい。おお、みよ、あの邪悪を……かなり純粋に悪……人生楽しそう……。
マジで永遠を得ていまだにそれを飽きずに楽しんでいそうな悪、なかなか見ないのでドキドキしてしまいます。彼女の能力値に関して、キャラ造形としてそういうことか……!と納得させて来たときは唸りました。納得しかねえ!怖いよ!
久しぶりに自分と「おしゃべり」できるオトメと出会って楽しかったんだろうなー。彼女はどこまで行くのだろうか。どこまででも行けそうだな。



【登場人物達への感情】

グノーシアの登場人物たちはみんなかなり満遍なく好きなのですが、特に好きなのはせっちゃんとレムナン、沙明、ラキオあたりです。
沙明とラキオはおもしれー奴らなので……好き……。沙明、土下座は勿論なんですけど、女主人公との粘菌イベントもよかったです。せっかくいい感じだったし、クソ野郎が当たり前に持ってた善性が発揮されるのすごいよかったのに、最後よくわからんおっさんとサウナEDになるの完璧でしたね。
ラキオは優秀で後半輝くスキルが多いのに序盤でヘイトためて早口で釣られていくところを見すぎてなんだか愛しくなってしまった。俺が守護ってやるからな。だから喋るな。夕里子様に喧嘩を売るな。
あとククルシカは別枠というか、完全にラスボス(ラスボスではない)として良い……となりましたね。あんなんずるいよ!先ほども似たようなことを書きましたが、最後の最後で伏線が回収されククルシカの不思議だったところが全部わかるの、気持ちいいですね。

せっちゃんはさすが相棒、好きにならざるを得なかった。せっちゃんにあまり思い入れがない人とはグノーシアの評価とか感想全然変わってくるんだろうなあ。それはそれで聞いてみたいです。
せっちゃんの真面目さやひたむきさが好ましいのは勿論、自分たちが知らない「みんな笑ってる」明日を手に入れたいと望んでいること、そしてその「みんな」の中に自分はいなくても良い、それよりあなたを助けにいくと決めたとこ、すごく好きだな……。
あと映画館イベント死ぬほどよかったです。優しい人が許した優しい時間の中、ただ穏やかな眠りにつく。あんな張り詰めた状況でこんな穏やかな休憩をしたら心折れそうなものですが、これを糧にしてまた次から頑張ろうと笑い合うのもよかったな。

レムナンに関してはですね、好きになったのが完全に自分のゲーム体験由来なので、ゲーム体験の申し子みたいなイメージが自分の中であります。
レムナン、ほんと最後の方まで嗜虐心唆られるかわいい子(粘菌イベントで襲われる描写入るのがレムナンなの超わかる。この子はそういう描写が似合う(大体公式))としか思っていなかったんですけど、最後に残ったイベントがレムナンの特記事項5で……。
主人公の性別を女にしてたので、二人揃って生還勝利したら告白が発生するわけですよ。「好き」という感情にあれだけ拒否反応を起こしてた子が、あの生死かかった状況で取るに足らない(とレムナンは思っている)自分を庇ってくれた人に心を開き、心を開いた瞬間に最後のループが起こって自分一人が置いていかれるの………………興奮しますが?!?!(最悪)
このイベントが最後のピースじゃなかったらまた違う感想を抱いていた気がするのですが、私が体験したのはこれが最後のピースとして完成する世界線なのでもうぐちゃぐちゃになっちゃったよ。あのかわいそうな子の精一杯の「好きです」を超えた先にしかこのゲームの終わりはないの良すぎる。
セツの描写的に世界線を越えると越えた人の記憶(存在)はその世界線の人からはなくなるっぽいですが、置いていかれたレムナンの胸に行き場のない熱と覚えのない空虚が残っていたりしたら最高だな。
でも記憶消えないのも見たい!!地獄なので!!!後日談的にレムナンくんが執念深いのは確定してるので、置いてかれたレムナンくんが銀の鍵持ってED後の主人公の前に現れて世界がバグりはじめるとこ、見たいなー!


というわけで感想でした。いやー良いゲームだった!まだ細かいイベント(グノーシア側のキャラと協力者になってエンドするとか噂の水そうめんとか)は全然見れてないので回収したいです。


※8/8 なんか色々追記

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