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モウリーニョがPSGにくるメリット 強豪復活に欠かせないスペシャル・ワン

エンバペの契約延長、補強方針転換、メッシのサウジアラビア渡航など昨シーズンの終わりから現在にかけてもほぼ毎月何かしらの話題になるPSG。

特に1月以降は離脱者と補強のアンバランスから成績が低迷し、ガルティエの解任報道もエスカレートしては消え、また負けると再発といった具合になっていました。そして、現地メディアでは「最終節クレルモン戦がガルティエのPSGでの最後」と報道されました。

後任候補として今シーズンの初めからアプローチをかけていたジダンは地元マルセイユへの愛を貫き何度もオファーを断り続け、今季監督業を一度離れたアントニオ・コンテやユリアン・ナーゲルスマン、ルイス・エンリケなどにも触手が伸びていると報じられています。

しかしながら、ここ最近来季の監督候補として現実味を帯びてきているのが「スペシャル・ワン」ことジョゼ・モウリーニョです。現在はASローマを率いて直近では来季のチャンピオンズリーグを目指すべく熾烈な争いをしていた最中でフランスのメディアでは彼の名前を見る機会がかなり増えてきました。

PSGの現状を踏まえて、モウリーニョがPSGに来るべき理由とその他の様々な話題について綴って行こうと思います。



そもそもなぜガルティエを監督に選んだのか?

これまでセビージャをヨーロッパリーグ3連覇に導いたウナイ・エメリ、ドイツで名を上げたトーマス・トゥヘル、トッテナムで一時代を築いたマウリシオ・ポチェッティーノなど数々の欧州の名将を監督に就任させてきたPSGですが、今季は一転、国内で優秀な成績を収めてきたクリストフ・ガルティエを招聘しました。

QSIがPSGに投資した背景にはカタールワールドカップを盛り上げるための広告塔の役割として花の都パリをホームタウンとするPSGに白羽の矢が立ちました。知名度を上げるべく、ズラタン・イブラヒモヴィッチ、エディンソン・カヴァーニ、チアゴ・シウバ、ネイマールなどのスター選手を集めて国内では無双したものの、最大の目標であるチャンピオンズリーグ制覇には手が届きませんでした。

冬にワールドカップを迎えるにあたって、広告塔の役割を十分に果たしたと認識したナセル=アル・ケライフィ会長は持続化を目指すためフランス人とりわけパリ出身の選手でチームを編成していく方針を明言しました。

いわゆるドイツ代表だらけのバイエルンのようなクラブを目指す上で重要な補強部門を任されたのはルイス・カンポスでした。彼はモナコではリーグ優勝とCLベスト4、リールでは優勝に導きました。完全なフランス人化は成し得ませんでしたが、地中海市場に目利きのきく彼のもとでファビアン・ルイスやカルロス・ソレール、ヴィティーニャなどの若手選手が加入しました。

いわゆるフランス人化を目指す初年度に土台を作るべく、国内で実績があり、若手育成にも定評のあるクリストフ・ガルティエを招聘しました。ワールドカップを迎えるまではMNMの好調もあって無敗を維持していましたが、年明けから離脱者の急増、選手層の薄さ、補強選手の弱点が重なるといった具合で紆余曲折のシーズンを送ってしまったというのが現状です。



モウリーニョに期待すべき強いPSGのアイデンティティの復活に向けて

先ほど述べたように補強方針を変えたPSGはQSIが投資して以降、最悪の選手層の薄さを感じさせるような体たらくで、ウルトラスの怒りも過去一番高い状態にあるのではないかと思います。

QSIがやらかした一番のことは、「名将やスター選手が集い、強いチーム=PSG」というアイデンティティを形成してしまったことに尽きると思います。補強方針転換により今季補強した選手たちは過去の選手と比べて劣る部分が大きく、冷遇した選手たちの方がレベル的に優れているのではないかという思想を生みました。

補強方針を段階を踏まずにガラッと変えてしまったことでサポーターからしてみれば「こんなのはPSGじゃない」という“麻痺した状態“に陥ってしまいました。

今季の体たらくを払拭すべく、強いPSGのアイデンティティ復活を目指して色々な選手も獲得の噂が上がっていますが、中でも監督人事は個人的にも注目度がより高い方であると感じています。

そこで、数ある名将の中から同じポルトガル人であるルイス・カンポスとの繋がりから名前が上がっているのがジョゼ・モウリーニョ。名将中の名将であり、選手の根性を叩き直すためにもうってつけの人物であること間違いなしです。

ローマに来る前、プレミアリーグではユナイテッドやトッテナムで躓いた過去があったで選手との対立を生むのではという危険性がありますが、後にポグバやデレ・アリなどのスター選手が堕落していった事実を踏まえるとモウリーニョの問題ではなかったことが分かります。個人的にドキュメントも見ましたが、一度問題を抱えた選手でも挽回のチャンスをしっかり与える彼のマネジメントはかなり優れている印象がありました。



エンバペを活かす戦い方ではモウリーニョが最適?

Twitterのトレンドにモウリーニョの名前が上がると同時に関連づけられているのがエンバペの名前。PSGでは最も欠かせない人物であるからこそ、モウリーニョと彼との共闘が注目度を高めています。

いろんな見解がありますが、個人的には今のPSGの戦い方を見ている限り、モウリーニョが好む戦い方に適しているのではないかと感じます。

というのも負傷者の続出により、ガルティエは春先からフォーメーションを固定。5-3-2のフォーメーションで守備時は中盤3枚でスライドを丁寧に行いながら、2トップの守備負担を軽減し、攻撃は主に2トップを軸に組み立てていくという戦い方が定着しています。

カウンターで世界最高峰のクオリティをもたらしてくれるのはやはりエンバペ。2トップになってからは得意の左サイドでプレーする機会が増え、相棒のメッシとの関係性も高まっています。将来どんな人が来ようとも、地元のスーパースターであるエンバペはクラブに最も欠かせないプレーヤーであり、彼が好むポジション・役割の整備は必須です。

ただ、独特のカリスマ性で幾多のスター選手を抱えてきたモウリーニョが監督となるとエンバペにも多少の影響は出るでしょう。求められてくるものが増える可能性もありますが、今のエンバペなら素直に受け入れて実行できるだけのパーソナリティも備えています。個人的にはこの化学反応が非常に楽しみです。



ローマでの名残惜しさ

モウリーニョがリーグアンに来るとなると嬉しい気持ちがある反面、個人的にヨーロッパのフットボールを長年楽しんでいる身からすれば、まだローマというクラブでのモウリーニョの余生が見たいという気持ちがあります。

ASローマも経営陣や監督によって成績不振が続いていた状況から、クラブだけでなく都市全土含めてローマを熱くさせてくれたモウリーニョの功績は言葉では言い表せないほどの大きいものがあると思います。

これまでビッグクラブを率いてきたモウリーニョが、古豪復活という仕事を任されたのは当時は衝撃的な感情がありましたが、結果的に2年連続で欧州決勝の舞台に立たせたことでその役割は大いに果たしました。

最初にPSGとモウリーニョについて記事が出た今年の2月頃は「また飛ばし記事だ」と思っていましたが、どうも近頃ローマとの来季続投に不透明な状況が目立ってきました。日本一のロマニスタであり情報通である某アナウンサーの情報によると、GMであるチアゴ・ピント氏との関係性に陰りが生じているようです。

本人は公式会見で来季もローマにいたい思いがあること・どこからもオファーをもらっていないことを明言しましたが、関係性の話を聞いた後にピッチ内でどこかしら重いような表情が目立つようになっており、様々な憶測が飛び交う事態となりました。

オーナーも公にコメントをあまり出さない方らしいので、謎が深まるばかりです。普段セリエAの視聴が限定的な私は客観的な事実しか述べることができませんが、今のローマにとってモウリーニョ以上の監督はどこにもおらず、仮に誰かがその後を引き継ぐことになっても相当厳しい仕事を任されることになると思います。

ただ、ルイス・カンポスと代理人のジョルジュ・メンデスのつながりが深いこと、チアゴ・ピント氏との憶測、さらにはガルティエが今季限りで退任濃厚となった今は去ることの可能性も簡単に否定できません。




最近はルイス・エンリケにもプッシュしていると報じられるPSGですが、正直今のクラブ状況から考えればモウリーニョが最適であると思います。ただし今回の記事ではモウリーニョが来ることを確信しているわけではなく、ただ彼がPSGに来るメリットを紹介したいがために書きました。

PSGでの現状をよく知らずに「モウリーニョだとPSGでは無理」「双方にとってもったいない」などの否定的なコメントが溢れているのを見て、一個人として情報を発信しなければならないと感じました。おそらくモウリーニョがPSGに来ることにはデメリットもあるかとは思いますが、来季に向けて少しでもタメになる話題を提供しようと思いました。ご覧いただきありがとうございました。

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