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【23/24シーズン総集編】ASモナコ
【23/24シーズン総集編】として、今季のASモナコを振り返る。
総合成績
リーグアン:38試合20勝7分7敗(67) 総得点68 総失点42
クープ・ドゥ・フランス:11回戦敗退
【総評】
"質実剛健" 旧SDの最高の置き土産
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2年連続最終節で涙を呑んできたASモナコ。勝負事に弱いクレマンを解任し、ドイツで実績のあるアディ・ヒュッターを招聘。彼の信仰する「ラングニック学派」を体現すべく、ザカリア・シンゴ・サリス・ケーラーなどの実力者を揃えた。
これはまさに、昨年10月に退任したポール・ミチェル旧SDの最後の仕事。レッドブル系とイングランド方面のコネクションを持つ彼の主導のもと、個々のレベルが高いメンツが集まった。
「ハイライン×ハイテンポ」のアタッキングフットボールは確かに猛威を振るったが、それに失点数が比例してしまう課題があった。時に最終ラインに残っているのが1人だけになる状況が散見されたように、"殴り勝つ強さ"の弱点が徐に浮き彫りになっていた。
アフリカ選手権とアジアカップで複数の主力が離脱する1月を境に、ヒュッターはシステムを3バックから4バックに変更。「ラングニック学派」の面影はありながらも、ソリッドかつコンパクトなゾーンディフェンスを体現した結果、守備の安定と共に大一番での勝負強さが芽生え、終わってみれば堂々の2位フィニッシュ。
34試合でPSGの22勝に次ぐ20勝を挙げることができたのも、ヒュッターの方針転換並びに選手たちの適応力が優れていたのは間違いない。18/19シーズン以来のCL本選に向けて、さらなる活躍に期待したいところ。
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【年間成績・個人成績】
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【シーズンハイライト】
①"俺らが待ってたタキの復活"
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リーグアン第2節 vsストラスブール ◯3-0
アディ・ヒュッターが就任した恩恵を最大限に受けているのは、南野拓実で間違いないだろう。PSMから躍動していた南野は、開幕戦でヴァンデルソンのゴールをアシストし、翌週に迎えたホーム開幕戦で全得点に絡む2ゴール1アシストの活躍。後に「(周りから)やっと本物のタキが帰ってきたなと冗談で言われたりします」と振り返ったように、雪辱に燃える南野拓実の復活を予感させるゲームとなった。
②方針転換でライバルにリベンジ
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リーグアン第21節 vsニース ◯3-2
失点数を減らすべく、年明けから4バックにトライしていた最中に迎えた、宿敵ニースとのコートダジュールダービー。前回対戦は内容・結果共に完敗という悔しい結果に終わったが、伏兵ザカリアが2得点を挙げ、相手が数的不利ながら必死に喰らい付いていた展開の中で77分にゴロヴィンが値千金の決勝点。オープンな戦いを制し、チームは上昇気流に再び昇った。
③おいしいとこを持っていくのはやはりこの男
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リーグアン第33節 vsモンペリエ ◯2-0
春以降に復調し、4位以上が確定している状況で第33節に待っていたのはモンペリエ。前半から数多の決定的なチャンスを決めきれずにいた中で、52分にウアッタラのゴールで先制。13分後にチームの心臓、フォファナがダメ押しの追加点を決める。チュアメニ退団以降、プレイヤーとしての凄みをますます増していった彼の活躍でチームは最終節を残して6年ぶりのCL出場を確定させた。
【サポーターが選ぶ年間MVP】
#19 ユスフ・フォファナ
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35試合4ゴール4アシスト
たしかに想定外の活躍…という意味では南野とシンゴはかなり印象深いものはありましたが、シーズンを通してのチームへの貢献という観点で見た時にはフォファナが一番だと思います。
フォファナの居る居ないでは中盤での構成力に大きな違いがありましたし、先のモンペリエ戦も含め、重要なゴールでの貢献もありました。ヒュッターにとってフォファナが代えがきかない存在だという事が出場時間数チーム断トツのトップという数字にも表れていると思います。
ルアーヴル戦の試合終了間際に不必要な警告を受け、彼がファンだったと公言している次節のPSG戦で出場停止処分を受けた事で、ファンからは疑惑の目を向けられてはいましたが、それを差し引いても今シーズンのチームへの貢献度が他の追随を許さぬものであったと思います。
2018年夏にファビーニョが抜けた事でその後、低迷期を迎えてしまいましたが、フォファナの去就もそれに匹敵するくらいモナコの今後の浮沈に関わる問題になるかもしれません。
【個人的選手&監督評価】
ここからは、主観で選手と監督評価(10点満点)を行う。
Good Job👍
#99 ウィルフリード・シンゴ
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25試合1ゴール1アシスト
アフリカ選手権で離脱していた時期を除いて、唯一ディフェンスラインでフル稼働していたのはこの男。圧倒的なアスリート能力で、幾度となくチャンス演出&ピンチ回避に貢献してきた。時に背後の広大なスペースを1人でカバーする彼の活躍がなければ、失点はもっと増えていたに違いない。より世間に評価される未来はそう遠くないだろう。
#6 デニス・ザカリア
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28試合4ゴール
彼もまた、恩師と再会したうちの1人。ヒュッターとドイツ語での意思疎通が可能であるため、「ラングニック学派」を体現するチームを後方から、時に前方にも参加して支えた。ハイライトは驚きの2得点を決めた、第21節のニース戦。キャリアハイの公式戦4ゴールを塗り替えることが期待されが、5月にハムストリングを負傷し、残りの数試合&EUROを棒に振ってしまったのは無念だった。
Good Surprise👏
#18 南野拓実
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31試合9ゴール6アシスト
チームメイト以上に、視聴者である我々が彼の奮起を期待していただろう。不完全燃焼に終わった昨季から鍛え直し、PSMからの好調ぶりを途絶することなく、1年間走り続けた。恩師との再会は復活の一因であることに相違ないが、この結果は彼の弛まぬ努力によるもの。欲を言えば2桁ゴールに乗せてほしかったが、攻撃陣で最年長となる来季のさらなる邁進に期待したい。
#1 ラドスラウ・マイェツキ
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15試合
昨季は兄弟クラブのセルクル・ブリュージュに修行に出されていた眠れる獅子が、期待を大きく裏切ったケーンに代わって守護神に抜擢。春以降の巻き返しに大きく貢献し、リーグ戦12試合で無失点7試合と数字も前任者を大きく上回った(前任者は22試合で無失点5試合)。何よりどっしりと構えるその貫禄は、バックスに安心感をもたらした。来季はフルシーズンで見ることができるのが楽しみで仕方ない。
Break Out🙌
#88 スングトゥ・マガサ
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22試合
本職は守備的ミッドフィルダーながら、足元の巧みな技術と身体能力を買われて、PSMから3バックの左で採用。当初は負傷で出遅れていたサリスの穴埋めのはずが、終わってみれば前半戦のほとんどをピッチ上で過ごした。さすがにCBを任せられるほどの対人能力が備わっていなかったため、4バック以降後はベンチを温めて続けたが、ポリバレントな彼はいずれチームの核になれるだろう。
#20 カスム・ウアッタラ
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17試合1ゴール2アシスト
カイオ・エンリケの長期離脱と、ヤコブスのアフリカ選手権参加により手薄となったLBの補強として、アミアンから今冬に加入。自慢はヌーノ・メンデスばりのスピードであり、半ば強引に狭いスペースを打開する。ただ、彼もまた対人能力を磨く必要があり、選手としてのポテンシャルを発揮しきれてないのは来季への課題。
Disappointed👎
#29 ファラリン・バログン
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32試合8ゴール5アシスト
スタッド・ランスで公式戦22得点と大爆発した昨季。アーセナルに一度レンタルバックされたものの、自身のさらなる飛躍に向けて、総額約57億円のオファーをもらったモナコに移籍。しかしながら、自分が得点する世界線しか描くことができないという昨季までは隠れていた弱みが浮き彫りになり、最後までチームに適応することはできなかった。来季はベン・イェデルという最大の得点源が去るため、約57億円に見合った結果を残すために改善に期待したい。
#4 モハメド・カマラ
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20試合1ゴール2アシスト
昨季のクレマン政権下では絶対的な存在だったが、ヒュッター政権ではザカリアとフォファナの壁に阻まれて不完全燃焼の1年に。守備のポジショニングが絶望的であり、、チーム全体でゾーンディフェンスを体現する上で常に足枷となっていた。出番が限られたことで、終盤戦は特に自信を失っていたような印象。同性愛嫌悪反対のバナーをわざと隠した疑惑が浮上しており、来季は開幕から4試合の出場停止の制裁を喰らった。
#16 フィリップ・ケーン
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22試合
ニューベルに代わる新守護神候補としてレッドブル系から加入。期待値はさほど大きくなかったが、予想通り安心してゴールマウスを任せられるほどの実力は無かった。セービングやハイボール処理の不安定さに加え、守備範囲の狭さはハイラインを敷くチームのスタイルには不適合だった。後半戦から年下のマイェツキにゴールマウスを譲り、来季はカップ戦を中心に首脳陣の信頼を勝ち取らなければならない。
【監督評価】
アディ・ヒュッター
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ポール・ミチェル旧SDがレッドブル系のコネクションを活かして迎え入れた実績のある指揮官。信仰する「ラングニック学派」を体現すべく、かつての教え子である南野やザカリアをチームの中心に据え、「失点しても殴り勝つ」スタイルで上位争いに喰らい付いていた。チームのバランスが完全に崩壊しかけた年明け以降から4バックに変更し、ソリッドなゾーンディフェンスを軸にチームを蘇らせて目標のCL出場に導いた。方針転換をスムーズに遂行させたその手腕は、10点満点中8点。
【来季の注目ポイント】
①最大の得点源にしてチームの顔の退団
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国外挑戦を経て、19/20シーズンから常にモナコの最前線を支えてきたウィサム・ベン・イェデルの今季限りでの退団が発表された。5年間で公式戦通算118得点(201試合)という記録は、デリオ・オニス(193)に次ぐ、クラブ歴代2位の記録。スロースターターという難点はありながらも、背中で魅せるその勇姿は得点以上にチームに欠かせないものだった。後任として獲得レースを引っ張っているとされている、同タイプのジョルジュ・ミカウタゼの獲得はマスト案件だろう。
②止まぬサウジ買収とルイス・カンポスの復帰!?
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昨年末に、現在約66%の株式を持つリボロフレフ会長がクラブ売却の意向を示しているとの噂が立った。この噂に当初は寝耳に水だったアルベール大公(約33%の株式保有)だったが、向かった先はサウジアラビア王室。王室も買収に前向きであり、2月には保有率の調整及び最終的な金額交渉のみとされていたが、一転してリボロフレフ会長が春先からアウェー戦にも赴くなどクラブ愛を積極的に行動で示すように。
サウジ買収の話は流れたかと思われていたが、ここ最近は再浮上しており、仮にサウジアラビア王室の買収が完了した際には、プロジェクトの責任者を務めるのは、現PSGのフットボールアドバイザー(実質SD)を務めるルイス・カンポス。かつてSD時代にあのミラクル・モナコをもたらした人物が舞い戻ってくる空想は現実になるかならないかは、誰も読めない。
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