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【23/24シーズン総集編】LOSCリール

【23/24シーズン総集編】と題して、今季のLOSCリールを振り返る。

総合成績:34試合16勝11分7敗(59) 総得点52 総失点34
クープ・ドゥ・フランス:11回戦敗退
ヨーロッパコンファレンスリーグ: 準々決勝敗退



【総評】

選手の伸びしろ×2年間の思い出

パウロ・フォンセカとの2年契約の2年目。10位という地獄から復活した昨季のチームに、ベンタレブやウンティティらベテランと、実力未知数のハラルドソンやチアゴ・サントスら若手有望株が揃った。

序盤はECLとの並行に加え、リビルド及び相手にだいぶ研究されたがためにどこか安定感に欠ける様が見られた。しかし、若手選手らの適応を糧にチームの方向性が固まった10月から再び調子は上向きに。

今季もまた上位に安定していたが、PSGやOL, モナコといった同等以上の相手に負けが込んだのは悔やまれるところ。ほぼ同じメンバーで1年を戦ってきた疲労がやや隠せない時期もあったが、最終的に来季のCL出場の可能性を得たことで、全員がかなり大きなステップを歩むことができたはずだ。

23/24 基本布陣



【年間成績・個人成績】

リーグアン成績
クープ・ドゥ・フランス成績
ヨーロッパコンファレンスリーグ成績
リーグアン個人成績



【シーズンハイライト】

①習熟ぶりは絶対王者にも匹敵するほど

2023/12/18
リーグアン第16節 vs PSG △1-1

9/27のスタッド・ランス戦から公式戦14試合無敗を維持し、前半戦も残すところあと2試合という場面でPSGをホームに迎える。前半はお互いに睨み合うような時間が続いていたが、30分から後半にかけて徐々にリールのジャブが効いていく。66分に余計なファールから先制点を献上するも、デイビッドやカベラを投入して押せ押せムードの中、ATに相手のミスから途中投入のその2人が同点弾に絡む。絶対王者相手と渡り合える地力の強さを証明してみせた。


②エデン・アザールに捧げる執念の勝ち点1

2024/03/11
リーグアン第25節 vsレンヌ △2-2

今夏誰もが彼の復帰を望んだが、本人は「体の一部が邪魔をした」として引退を決意。かつて10番を背負い、10/11シーズンに戴冠をもたらしたエデン・アザールが12年ぶりにリールに帰還した。かつてのエースの前でいい格好を見せたかったチームだが、無情にも80分の時点で2点ビハインドを背負うことに。これに奮起したのが、現エースのデイビッド。84分に1点を返し、ATに同点弾。不甲斐ない姿を見せれないという執念に、最も頼りになる男が期待に応えてみせた。


③絶対に負けられないダービーがそこにはある

2024/03/30
リーグアン第27節 vs RCランス ◯2-1

リーグアン内にも数多のライバル関係は存在するが、近年のフランスフットボール史においてこの戦い以上に実力が拮抗して、なおかつ熱く燃える戦いは存在しない。3月の終わりに、絶対負けられない相手との一戦で輝いたのは今季急成長を果たしたジェグロヴァ。前半に代名詞のカットインからのシュートを決めると、後半はお得意のゴールキックからの展開で、シュートのこぼれを流しこんで追加点。ダービーを制して勢いに乗ったチームは、次節のOM戦でも実力の違いを発揮してみせた。



【個人的選手&監督評価】

ここからは、主観で選手と監督評価(10点満点)を行う。

Good Job👍

#9 ジョナサン・デイビッド

Jonathan David🇨🇦
47試合26ゴール7アシスト

チームが昨季からのリビルドに挑戦している最中にうまく適応できず、序盤においては途中出場も珍しくなかった。しかしながら、リーグ内随一の論理的なストライカーは11月以降はうまく適応し、本来の持ち味を出すことに成功。終わってみれば、昨季と同じ26得点を記録。やはり、デイビッドはデイビッドだった。


#8 エンジェル・ゴメス

Angel Gomes🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
45試合2ゴール10アシスト

フォンセカに高く評価され、今季ついにチームに絶対欠かせない中心的存在に急成長。ゲームメイクだけでなく、プレス回避能力も成長の証が見られた。フル稼働した今季は、自身初の公式戦二桁アシスト(年間)を達成。かつてフォーデンやサンチョら化け物揃いのイングランドU17代表で10番を背負っていた役者に、より明るい未来が開けてきた予感。


#23 エドン・ジェグロヴァ

Edon Zhegrova🇽🇰
47試合12ゴール10アシスト

彼もまた今季急成長を果たした1人。昨季までは同ポジションを争うウナスとどっこいどっこいだったが、今季は主にフィジカル面を磨いてライバルに差をつけた。深い懐ドリブルはあのエデン・アザールを彷彿させるもので、幾度となく右サイドから決定的なシーンを演出してきた。チーム唯一の二桁得点・アシストを達成し、来季はもう1ステップ上の舞台で活躍が期待される。


Good Surprise👏

#6 ナビル・ベンタレブ

Nabil Bentaleb🇩🇿
34試合3アシスト

アンジェで披露していたプレス回避能力やビルドアップ能力の高さ、安定感を新天地でも披露。アンドレやエンジェルと並ぶ中盤はリーグトップレベルのクオリティを誇っていた。来季も彼の役者ぶりにお任せしたいところだったが、6/18に悲報が。5人制のゲームをしていたときに、彼が心臓発作を起こして病院に搬送される事態が発生。急遽行われた手術は成功したものの、現状では彼のキャリアに終止符が打たれる可能性が高いとのこと。悔しいが、いまは朗報を待つのみだ。


Break Out🙌

#15 レニー・ヨロ

Leny Yoro🇫🇷
44試合3ゴール

今季リーグ内で株が爆上がりした若手有望株。フォンテとジャロの退団により、手薄となった右利きのCBとしてフォンセカに確固たるスタメンの座を任された。チームが攻撃的なスタイルに踏み込みたのも、彼の高いカバー能力・裏ケアがあってこそ。プレースタイルがますますヴァラヌにそっくりになってきた。ビルドアップは主に中盤に肩代わりしてもらっていたが、来季の居場所がどこであれ、総合的な伸びしろをまだ秘めている。


#22 チアゴ・サントス

Tiago Santos🇵🇹
43試合3ゴール2アシスト

同郷のフォンセカが獲得を熱望した逸材。まだプロデビュー2年目ながら、早くも異国の地に慣れてみせた。フォンセカとの内外関係が特徴で、ハイライトは13節リヨン戦の弾丸ミドル。陽気な性格をピッチ上でも発揮し、持ち前の推進力にさらなる磨きがかかることを願いたい。


Disappointed👎

#14 サミュエル・ウンティティ

Samuel Umtiti🇫🇷
13試合

ジョゼ・フォンテに代わる、新たなディフェンスリーダー及び経験値の注入が期待されたが、またしても負傷続きでリーグ戦の先発はたったの2試合。復帰したところで、彼の必要性が全く無かった。リヨン時代の恩師であるジェネジオと再タッグを組む来季は本当の意味の"復活"がマストである。


#20 イグナシオ・ミラモン

Ignacio Miramon🇦🇷
4試合

母国アルゼンチンを発ち、初めての国外挑戦はホームシックも相まって戦力になれず。第3節ロリアン戦で失点に繋がるミスを犯し、前半途中で交代ないし無言の実力不足を言い渡される。冬にボカが手を差し伸べたとされているが、2028年までの契約を残す彼を見限るか、包容するかはレタン会長の裁量次第。


【監督評価】
パウロ・フォンセカ

Paulo Fonseca🇵🇹

修行のための2年契約の2年目はやや新陳代謝を図りながら、ほぼ固定したメンバーで上位に安定。最後の最後でCLストレートイン出場圏を逃したことは痛手だったが、ピッチで具現化してみせたスタイルは間違いなくサポーターの心を鷲掴みにした。切望していた復帰が叶ったイタリア方面では、未だ拒否反応が多いが、結果で示すことのプレッシャーに打ち克つことはできるはず。今季の評価は10点満点中7点



【来季の注目ポイント】

①新監督は3年ぶりのフランス人

フォンセカの2年間の修行が終わり、後任は前レンヌ監督のブルーノ・ジェネジオに決定。チーム内に敵を作らないマネジメントに優れており、選手キャスティング型でOLでもレンヌでも特徴的なチームを作ってきた名将。ただ、試合中の戦術的アプローチ能力が乏しく、一度狂い出した歯車を止められない難点も兼ね備えている。来季はスカッドの刷新も起こりえるため、未知数なチームをどうまとめるのか注目。


②新陳代謝の歯痒さと鳴り物入りのあの弟

優勝を知るヤズジュは正式に退団が決まり、ヨロ・エンジェル・デイビッドは引き抜きの噂が加熱している現在。若返りを果たしたチームはほぼ全員が退団の可能性を残しており、これはCLストレートインの出場圏を逃したことが大きな痛手となっている。特に要の中盤は出場が叶いそうにないベンタレブ含め入れ替えが必須であるものの、逸材ブアディの契約延長に成功。さらについ先日PSGからの退団が発表された、エタン・エンバペの加入も大きな可能性を秘めている。

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