Turnのオーバーベット戦略について
(8/26追記 誤字を修正しました。)
Ludensと申します。初めてnoteに寄稿します。
普段は25nlzでレクリエーショナルプレイをしつつ、時々ポーカー関連の洋書やpiosolverとにらめっこしています。
この記事では、今ではすっかり有名になっているGTO戦略のTurnのオーバーベット戦略について備忘録を兼ねて綴っていきます。
間違っている点などございましたらご指摘いただけると幸いです。
今回の想定シチュエーション:6max BTN 3bb open vs BB cold call (eff:100bb)
ハンドレンジは以下から参照しました。精度はともかく、叩き台としては丁度良いと思います。(有料のpreflop solutionは所持していませんが、いつか買いたいと思っています。)
IPのopen range
OOPのcall range
ベットサイズは今回は以下のものを使用しました。ドンクなし、ベットサイズは最低限の設定で物足りなく感じられると思いますが、ご容赦ください。
以下より本題です。
flop:9s3s2d
flop OOP check のときのIPのCB戦略は、下図のようににレンジ全体で35% sizeのCBを打つことができます。Ad8dなどは高頻度でXするようですが、ベットしたとしてもEV lossにはならないと思います。
このようにレンジ全体でCBが打てるわけは、下図右側の折れ線グラフが示すように、レンジ全体でIP側のEQがOOP側のそれを僅かに上回っているためです。
IPの高頻度35%PSBに対しては、OOPは下図のようにディフェンスします。セットやA9のバリューとOESD、ガットなどのブラフを混ぜたxrを約15%用意して、レンジの約70%をturnへと持ち越します。
Turnカードが落ちると本番です。
Turn:Tc
TurnもOOPはcheckしました。これに対してIP側は驚きの『レンジの約半分で140%PSB』という戦略を取っています。セット、オーバーペア、トップペアなどのバリューレンジ、フラドロ、ストレートドロー、EQがかなり減ってしまったコンボなどのブラフレンジでベットレンジは構成されており、9ヒットやミドルポケットなどのショーダウンバリューのあるハンドでチェックレンジは構成されています。
どうしてこのようなことになるのかというと、下図の折れ線グラフの示すように、Turnの時点でIP側のEQがOOPに対して大きく勝っているか大きく負けているかの両極化(ポラライズ)されているためです。両極化されたレンジでのオーバーベットは、バリュー、ブラフのどちらの観点でも効果的です。
これに対しOOPもレンジの約40%でしぶとくディフェンスします。(GTO戦略を勉強していない実際の対戦相手は、これよりもずっと狭いレンジでディフェンスしてくると予想されます。この時点で相手のミスプレイを誘い、一方的に利益をあげられます。)
別のターンカードのときも見てみましょう。
Turn:Ks
今度はフラッシュが完成するカードが落ちました。OOPがcheckしたときのIPの戦略は下図のとおりです。今度は70%PSB、35%PSBが主に選択され、140%PSBはほとんど選択されません。さっきよりおとなしいですね。
両者のEQを見比べると、先程のTdのときと似ていますが今度はナッツ部分でのEQが拮抗しています。つまり、フラッシュドロー完成というナッツ級ハンドは両者に存在しえるということです。このようにフラドロ完成ボードではオーバーベットは基本的に打ちません。
結論
Turn時点でレンジがポラライズされている場合はオーバーベットが打てる。ただし、フラドロ完成ボードのようにナッツが両方に存在するときはオーバーベットは打てない。
いかがだったでしょうか?オンラインやライブでこれが使いこなせるときっとドヤ顔できます。しかし、ポーカーのシナリオはユニークであり、それぞれの僅かな条件の違いで似たシチュエーションでもミスプレイになることがあります。solverを使った座学の時間を増やし、あらゆるシチュエーションに対応できる力を身に着けましょう。