毒の強弱など関係ない。勝負の別れ目は俺とお前のどっちが強いかだ。2019 J1リーグ第33節マリノスVS川崎フロンターレ プレビュー

ついに、今シーズンのラストアウェイ。相手は前年王者の川崎フロンターレ。最終戦がFC東京である事を考えると、あのド〇ク〇Ⅱのラスボス連戦が始まる直前の様な感覚になります。

川崎は、マリノス戦まで3週間空いています。このブランクは、マリノスにとって有利に働くかもしれません。川崎の直近3試合のプレースピードは低く、疲れがあるとしても、このスピード感のイメージのまま、試合に入ってくれれば、攻撃も守備もうちのスピードについて来るのは大変です。

蹴るのは忘れないし、体は動くだろうけど、目と思考はそう簡単には慣れない。前陣速効で、序盤に得点を奪いたいところです。

さて、今回のプレビューですが、いつもと書き方を変更しました。前回対戦の振り返りよりも、同じ様に攻撃的と言われる『マリノス』と『フロンターレ』の違いを記述した方が、より理解が深まるだろうと考えました。ここからは私の考察ですので、そう思うか思わないかは、どうぞ自由に受け取ってください。

1,【マリノスとフロンターレの違い】

マリノスと川崎の違いで、最も分かりやすい指標は『スピード』でしょう。速い遅いの違いではなく、種類そのものが違います。

Ⅰ,ビルドアップの違いによるハイプレスの意図の違い

マリノスに関しては、もう説明は不要かと思いますが、マリノスは『全てにおけるスピードが速い』チームです。
押し込むとかはどうでもよく、何度も攻めたいし、何度もチャンスを作りたいので、最終ラインから縦パスを何度も入れて、相手を動かし隙を作り攻めます。
相手を崩せる状態に出来たらというよりも、攻める道筋が見えたら、時間をかけずに攻めます。
何度も攻めるには、守備の時間を減らそうという事で、即時奪回とハイプレスを行うわけです。
ショートカウンターは結果であって、何度も質の高い攻めをしたいというのが基本軸です。

一方の川崎は、『パス交換・パス判断(コースメイク含む)、そしてパスそのもののスピードが速い』チームです。この部分に長所があるのは、よく知られている事だと思います。

鬼木さんになってからは、これに加え『押し込むスピードが速い』チームにもなりました。風間さん時代から徐々にメンバーが代わった事もあり、後方から丁寧に剥がして崩すよりも、自陣ゴールよりも遠い位置にあるファイナルサードまで早々にボールを押し込み、安全な場所でオーバーロードを行い、細かいパス&ゴーで崩します。

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ただし、この様に人数をかけてオーバーロードを行って押し込んでから崩すと、相手にボールを奪われたら後方がスカスカになりやすく、ロングカウンターを狙われます。
かつジェジエウを除いて、最終ラインにスピードがあるわけではありません。
このリスクを軽減するために、奪われたら即時奪回を行う必要があります。その即時奪回の原則のまま、ハイプレスも行います。

また、人数かけるのが怖い時は、オーバーロードすら行わない時もあります。サイドに侵入したら、簡単にクロス。もちろん、単純に中で競り勝てる状況なのもありますが。

風間さんの時は、中央攻略偏重のチームでしたが、鬼木さんになってから、このクロスを使うようになりましたし、幅をSBが取るようにもなりました。今年は、ダミアンが入った事もあり、ハイクロスからの得点パターンも増えています。

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鬼木サッカーは、この押し込む状況を早く作りたいので、ロングパスを入れる事も多いです。その時の出し手は、基本CHですが、CHが封鎖されると最終ラインから出してきます。

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この鬼木さんの、出来るだけ自分達のゴールからボールを遠ざけたいという思想は、押し込む事で実現されるのですが、押し込み過ぎると相手を崩すのが非効率になるので、即時奪回やハイプレスは、ショートカウンターからの得点を増やそうという意図もあるでしょう。

Ⅱ,ボール奪還後の違い

ボール奪還後にも、スピードの違いは顕著です。

マリノスは、前線に足の速い選手が多いので、ボールを奪ったらまずは縦に行きます。ドリブルでもパスでも、ロングカウンターでもショートカウンターでも等しく同じです。相手が整う前に攻め切って、チャンスを多く作る事を主としています。

一方の川崎は、前線に足の速い選手が少ないため、優位な状況であればカウンターを遂行しますが、そうでなければ、まずはボールを持つ事を主とします。そのため、プレスなどがキツければ、後方ビルドアップでもオーバーロードをして来るでしょう。

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ただ、ここら辺がだいぶ弱くなっており、後方ビルドアップでボールを奪われる事が増えてきました。そのため、ロングカウンターというよりかは、前述の通り、前線に預けるためのボールを運びをするようになっている印象です。ロングカウンターで仕留めようではなく、陣地を回復しようなわけです。

勘違いをして欲しくないのは、ロングカウンターもしてきます。だって、早く前線に持って行きたいんだから。ただ、マリノス相手に通じるかと言われれば、疑問が残ります。もっとエグいカウンター受けて来たしね。うちは特に。
ロングカウンターをされても、マリノスのディフェンス陣ならば、気にしなくても良さそうです。

という事で、ここまでの情報が頭にあれば、川崎の事は結構理解したと思います。
ここからはいつも通りに。

2,【川崎フロンターレの守備】

では、川崎フロンターレの守備です。ブロック時は高めの424ブロックで、このままハイプレスもしてきます。人に付く守備です。

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ハイプレスをしてきた場合は、WGでSBを釣ってSB裏にボールを出せればチャンスが作れるでしょう。

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SBが釣れるのは鳥栖に近いかな。

相手のハイプレス時、GKも使ってビルドアップをするマリノスにとっては、川崎がGKまで追ってきてくれれば、フリーな選手が必ず出来ます。

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GKまで来ない場合は、流動的なポジションチェンジでズレを能動的に作る事が求められます。

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フリーな選手を作るか、マークのズレを少しでも作れたら、SB裏で勝負です。特にプレス合戦では、CHでの奪い合いになりそうなので、マリノスが良くやっているSBとCHのポジションチェンジでいなして、ズレを作るのは有効です。

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次にブロックで来た場合ですが、これも人に付いて来てくれるので、まず狙って良いのは裏のスペース。

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この時、川崎の最終ラインは、フィジカルが強い選手への対応に弱いところがあるので、マテウスの活躍の場は多いのではないかと思います。

仮に、ボールの出し手を押さえられて、裏が狙えない様なら、地道にビルドアップで崩しましょう。大島、田中の中央が堅いので、基本はサイドで攻めると思いますが、SBが幅を取るとSHが付いてくるので、ハーフレーンくらいは崩せそうです。

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また放っておくと、マリノスは押し込めてしまいます。スピード速いからね。この時、川崎の最終ラインは横幅圧縮なので、SHやCHが押し込まれやすくなっており、6バック化する事があります。

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これが堅いのですよ。とはいえ、押し込むと一人あたりの守備エリアも圧縮されて、頭の切り替えが必要な状況になります。大概こういう時は、ボールウォッチしやすくなるため、川崎の選手の間を通すマイナスクロスが効くでしょう。

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実際に、前回対戦でも1-1同点ゴールはこの形から。マイナスクロスの意識付けが川崎の最終ラインに出来れば、今度はGKと最終ラインに隙間が出来ます。そうすれば、あのクロスで崩せます。

そうそう、SHが戻り切れず4バックのままであれば、横幅圧縮なので、ファーサイドにハイクロスというのも狙いどころになります。

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あまりやらないとは思うけどね。

個人的な予想としては、川崎は即時奪回はしても、初めからハイプレスはしないんじゃないかと思います。リスクが高いので。しっかり中央を閉めて、ブロックをちょいミドルゾーンより高め位の位置に作るのではなかろうか。というか、ブロックの高さを臨機応変に調整するのではないかと見ています。試合の中で最適解を出そうとする。まぁ、実に鹿島的なやつ。

最後に、前回対戦から変化のない川崎のセットプレーの弱点に関しては、言及しません。チームは理解をしています。タカのゴールが証左です。直近の試合でも、傾向は変わっていません。ひょっとすると、久しぶりにセットプレーからのヘッドゴールが見られるかもしれません。

3,【川崎フロンターレの攻撃】

続いて、川崎フロンターレの攻撃ですが、基本陣形は、CHが1枚降りて、SHが内に絞り、SBが幅を取る3313です。

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この陣形で行う初撃は、前述のとおり、オーバーロードでのビルドアップと、前線にシンプルにボールを預ける方法が主です。

特徴的なのは、どちらの攻撃方法でも狙っているのは、SBの裏(厳密に言えばファイナルサード)のサイドゾーンです。ここを狙うために、SHが絞ってわざと空けていると言っても過言ではありません。

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これは、彼らのやりたい押し込んでからのオーバーロードを発動するためです。川崎のボールを繋ぐ能力が分かっているチームならば、このゾーンにボールが入れば、皆一様に引くよね。押し込みます。

また、相手の人数が揃っていない時には、このゾーンを使って、こちらのSBを広げ、ハーフスペースを攻略したいという意図です。

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ハーフスペースというよりも、川崎の場合はペナ内かな。
この時、CHがスペースを埋めに来ると、今度は空いたバイタルでミドルを狙ってきます。

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当然押し込むので、セカンドボール回収の意識は強く、何度もミドルを狙ってくるでしょう。

これらの攻撃は確かに嫌ですが、人数をかけて攻めてくれるなら、こちらにはロングカウンターのチャンスが生まれます。
ジェジエウがいる時は、ここら辺のリスクを担保していたんですけどね。さらに、マリノス相手だと、ジェジエウだけで前線3枚を監視出来るわけはなく、仮にジェジエウが出てきても、ロングカウンターはチャンスになるでしょう。

反対に、アーリークロスなどで人数かけてこないなら、川崎の攻撃の威力は減退します。なので、点を取りに行きたい時は、人数が少なくても攻められるダミアンを使ってくると思うのですが、どうかな。マリノス右サイドからファーサイドにダミアンとか嫌だけどね。今回は、そこまで持って行かせないつもりだけど。

最後に、家長はボールのある所に自由に動きだすため、オーバーロードが顕著になります。サイドに置くと歪な陣形になりやすいです。

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このオーバーロードは、幅をとるのがSBのため、アイソレーションがあまり有効活用されていません。柔軟な対応が求められます。

これらの状況を考えると、普通なら、家長はトップ下でフリーマンになった方が効率的だと思いますが、まぁ、マークのズレを作るためにわざとやってるでしょうね。家長がサイドにいる場合は、彼がアイソレーションして、大島がロングパスをするとかが嫌です。

まぁ、大島は誰が前線にいても、ビシっと縦パスを付けられますし、それが中央でもサイドでも変わらないので、対面の喜田には大島を徹底的にマークする事が求められます。なんなら、田中とポジションチェンジをするかもしれません。いずれにせよ、自由にはやらせんよ。

マリノスとしては、ポゼッションに自信のある相手に対して、即時奪回やハイプレスを行い、ロングパスはオフサイドにし、常に地上戦でCHでの潰し合い上等に持ち込む俺達のやり方を貫くだけです。というか、それが1番効きます。
川崎も、ここまで速い即時奪回と、ハイプレスには出会っていないでしょう。ハイプレスの本質的な怖さは、身体の強度に左右されるのではなく、そのスピードです。脳から時間を奪う速さ。

このプレスに耐えかねて、川崎が3枚ビルドにしてくれれば、CHは1枚なので、こちらの2CHで大島を封鎖する事が出来るでしょう。

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大島は頭が良いですからね。この自分を越えさせて、戻させるとか普通にやるので、セカンド回収の意識も高くする必要があります。

4,【最後に】

さて、スタメン。

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川崎に関して色々言いましたが、両チームとも連勝してるんだから、スタメンは変えない!

今回をまとめると、単純です。
スピード攻略vs押し込み攻略。
どちらがより多くの芽を潰して、主導権を握るのか。この試合も、序盤からよそ見は厳禁です。

俺には、誰かが言うマリノスにとっての悪いデータみたいなのは、突き詰めると、良いデータにしか見えないです。
注目されると変な事を言う外野は増えるけど、気にする必要なんてない。
J1で32試合、ルヴァンで6試合、天皇杯で3試合。今年、みんなでずっと見てきたマリノスが全てだ。過去も気にするな。マリノスも相手も、今までとは違うチームだ。
俺達は強い!と心の底から信じよう。今年、そう思わせてくれる試合を、選手から一番多く見せてもらっているのは、間違いなく俺達だ。
この試合をどこで見ようとも、心は共にピッチへ。
さぁ、勝って俺たちのビッグなホームに帰ろうぜ!

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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