夏の夜空にトリコロールの銀河が輝いた後、水沼の裏のスペースから勝ち点3を奪いに参上します。怪盗マリノス。2019 J1リーグ第23節マリノスVSセレッソ大阪 プレビュー

前節、鬼門カシマサッカースタジアムは攻略できず。それでも4213の成長は感じられ、段階的ビルドアップの階段を上がれそうだったマリノス。きっと後悔はないはず、そんなステージにまだ立ってはいない。今は全ての経験を糧にしなければならない時。前を向こう!

この1週間でマリノスは、マテウスの加入、プリンスのレンタル発表、天皇杯3回戦、三好の海外移籍、椿の育成型レンタル発表と話題に事欠かず、16日の登録期限前に慌ただしい動きとなりました。
天皇杯ではパギが怪我をしているし、三好の移籍と合わせて痛い状態。
ただパギに関しては、そもそも代わりはいない陣容だったので割り切るしかないし、杉本は杉本の良さを出せる様に周りに要求をすれば良い。三好においては、渡辺皓太やエリキ、マテウスなどを獲得したので、また別の形やビジョンをボスは描いていると思われ、チームの変化・進化を楽しむ心積もりは既に出来ているよね。

そんな中で戦うのは、442シリーズの3戦目となるセレッソ大阪。アウェイでは完敗。この試合、私は現地で見る事が出来ませんでしたし、結果を知ってからDAZN観戦をしているため、バイアス盛り盛りの印象論しかありません。
そのため、前回対戦の振り返りに関しては、マリノスレビュ―ワーであるOJさんのレビュ―記事を引用させていただき、紐解いて行きたいと思います。

では、セレッソ大阪との前回対戦を振り返りましょう。

1,【11節アウェイC大阪戦の振り返り】

前回対戦のプレビューでも書きましたが、見事に10節までのマリノスが持つ傾向をしっかり分析し、対策に落とし込んできたセレッソ大阪。もう、間違いなく奴の仕業ですよ。ロティーナにとってのキルヒアイス。その名もイバン!おのれイバン。

まずは、OJさんのレビューを見てください。簡潔にこの試合の特徴がまとめられていますので、すぐ読めます。完成度が高く、図だけでも状況が分かります。

読みましたね。読まないと振り返れませんよ。
まず、セレッソ大阪が行った対策は大雑把に言えば攻守において1つずつ。しかも連動した対策。

守備においては、奪いどころの設定。この時のマリノスは4123の布陣で、IHがCHの位置に落ちたり、SBがCHの脇に構えて、CBからのボールを引き出す事が主なビルドアップの方法でした。

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OJさんのレビューにも書かれていた様に、セレッソ大阪側から見れば、必ずマリノスが44ブロックの前方に楔を入れてくるので、ボールの通り道になるこのエリアを封鎖してしまえば良い状態。
もう一つのビルドアップ手法であるWGに入れるボールには、ブロックをスライドして守備をすれば、人数としては足りているので怖さはあります。

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これに対して、マリノスはサイドチェンジを多用すべきでした。それだけで局面を変えられたでしょう。これは現在まで続く、サイドチェンジ問題です。

次にセレッソ大阪の攻撃の対策は、守備の狙いと連動しており、奪ったら即マリノスSBの裏を狙うというのが徹底されていました。

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シンプルではあるものの、1つの連動した落とし込みで、2つの狙いを実現できるマリノス対策。全ての失点は、この一連の流れで起きています。

そして、この対策が効いた1つの要因として、マリノスCBコンビの疲労が考えられます。直前のルヴァンアウェイ札幌戦に、畠中チアゴのCBコンビがフル出場しており、中2日で長居での決戦となりました。これは相当しんどかったはずです。ここまでを考えてイバンが設計したとしたら・・・。

いやぁ、燃えるよ。燃える。マリノスの分析班はワクワクしているはず。
現在は、この時とは違う4213布陣のマリノス。思う存分、腹の探り合いをしようじゃないか。

2,【セレッソ大阪の守備】

まずは、セレッソ大阪の守備です。マリノスにとっては、リーグ直近2試合の対戦相手同様に、442のブロックを自陣ゾーン2あたりに組み、ボールサイドにスライドするゾーンディフェンスを行うのは変わりません。
基本的には、前回対戦の様な前4枚の極端なマッチアップゾーンは、直近の試合では見られませんでした。1名を除いては。やはり、あの戦術はマリノス対策。
また、ネガティブトランジションは速く、44ブロックの中央4枚は強固な統率があり、守備が整理されています。ブロックのライン間は狭く、ブロック内は全員守備の様相。

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うん、最少失点は伊達じゃない。これは先制しないといけない試合です。
前述したマリノス対策である44ブロックの前への守備は、前回と同じ事を試合開始10分くらいはやって来るのではと考えます。ハマれば続行。ダメなら撤退。マリノスは、序盤だけでも後ろに重くして、数的優位を作り、冷静に対処してビルドアップのファーストフェイズを行い、徹夜させたいです。
また、今回のマリノスは4213の布陣のため、前回よりもビルドアップはやりやすいはず。中間ポジションでDFをずらしてボールを受けるところまでは行けるはずです。FC戦でもやれてたしね。

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ブロックに入ってセレッソCHを釣れれば、マルコスは浮きますし、マリノスCHはそのまま上がれば、セレッソ最終ラインのチャンネルも突けます。チャンスは作りやすくなるでしょう。段階的ビルドアップの第3フェイズをいかに作り出すかが大事です。それも素早く。

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まあ、ここまで出来れば苦労はしない訳ですが…。とりあえず、清水や鹿島同様の守備をして来ることは、見えてきたと思います。
これをベースに、前回対戦からセレッソ大阪の守り方に特徴が出てきました。イバンよろしく相手の特徴を弱点として突くなら『これ』だなというのをひとつ。

それは、『水沼オラオラ問題』。

右SHの水沼は442ブロック時に、1人だけ前に出過ぎる傾向があります。つまり、彼の裏は空きます。

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そこに誰かが入ると、今度は右SBの松田が食いつきます。広大にチャンネルを空けてくれます。もちろん、セレッソも対策をしていないわけではなく、SBがいなくなったスペースをCBがスライドしてCHが落ちるというスライドをしてきます。

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セレッソはシーズン序盤に5バックをやっていましたが、その時の意識が常にある感じですね。

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また、水沼が食いついた時に、2トップの1人が落ちて、前4枚がスライドするという事もしてきます。

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この常にスぺ―スを埋める意識が厄介なのですが、でもね、縦の移動はバランスが崩れる瞬間でもあるのですよ。のんびりせず、可変する前に攻め切ってしまえば良いわけで、素早く段階的ビルドアップの第3フェイズに移行したいのです。そのためには、上手くピン止めするポジショニングを取りたいので、ハーフレーンに選手を配置してみましょう。

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はい、崩せそうです。この図解の場合、ティーラトンはもっと中に入って木本を引き連れると、畠中からマルコスへ縦パスを入れられる状態です。この『水沼オラオラ問題』は積極的に使いたいです。

他にもトピックスとしては、後半になるとCKの後はオープンになりやすく、トランジションも落ちるので、前半にどれだけ消耗させるかを狙ってもよいと思います。今節の暑さは、マリノスに味方しそうな気がします。
また、セレッソ大阪の引き続きの弱点として、サイドチェンジでの揺さぶりに弱いというのが挙げられるのですが、さて、明日のメンバーでは、どれだけサイドチェンジが出来るか。注目してみましょう。

3,【セレッソ大阪の攻撃】

次に、セレッソ大阪の攻撃です。基本構造は、SHが絞る442型の攻撃です。中央に人を集めてからのクロスは変わらず。最終ラインからのビルドアップの形は大まかに3パターン。

①CH藤田が落ちる3枚ビルドアップ

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3142的になり、ロティーナの中ではかなり攻撃的。右サイドは水沼が外に張る傾向があり、松田はインナーラップをしてきます。もちろん中外のポジションを入れ替える事もします。左サイドは清武が中に入るのですが、代わりにSBの丸橋が幅をとります。ずれを作ってチャンネルを攻めたい感じはマリノスに似ているます。ただ、ロティーナさんなので、大胆なやり方はしません。偽SBとか絶対やりません。でも、セレッソにしては、攻撃的なビルドアップパターンなので、カウンターを成功させるにはこの時に奪いたいです。奪うなら清武。

②右SB松田が居残る3枚ビルドアップ

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水沼と丸橋が完全に大外に張る3232ぽい形。後ろにも重心があるので、自然とこうなっている事が多いかなと思います。バランス型ですね。

③244でのオーソドックスビルドアップ

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前線4枚のポジショニングで崩してくるので、これはこれで厄介。4VS4の状況は作りたくない。

と、どのパターンでも共通している事が、2つあります。

1つ目は、清武が自由である事。好きにポジショニングします。他の選手がスペースを上手く埋めているので、彼だけはチームの中でも特別なのでしょう。

2つ目は、2トップが2人とも同サイドに寄って、絞ったSHと、相手のSBの裏や、チャンネル、HSを狙う意識が強いです。

この時、クロスに合わせるために、逆サイドは必ず中に絞る約束があります。SBは幅をとり、サイドチェンジに備えます。

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また、2トップの1人である奥埜はとても頭がよく、前回対戦ではCHだったのに、CFも出来ちゃいます。前線でのポジションニングがよく分かっており、ビルドアップのヘルプをするために、トップの位置から落ちる事も出来ます。

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この一連の2トップの動きは、SHが中に絞る約束があるので出来る動きであり、CFとSHの役割が交換されるという事でもあります。このため、SHが初期配置で意識しているのはハーフレーンです。中と外を繋ぐレーンにいて、SHとCFの動きのどっちも出来るようにします。

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なかなかに厄介なチームですが、基本はピンポイントクロスで得点するチームです。押し込まれても焦らずに中央で跳ね返せば良いですが、マリノスにとっての問題はやはりカウンターですね。セレッソは困ったら簡単に2トップを使ってくるのですが、ビルドアップしたいチームではあるので、やはり前プレをして、ぶっ潰したいです。と同時に、最近上手くいってないオフサイドトラップのタイミングも重要になるので、最終ラインは常にセレッソのポジティブトランジションを意識したいです。杉本はパギほどエリアから飛び出さないと思うので、余計に大事ですね。

4,【最後に】

さて、スタメン。

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マリノスは出場停止の扇原の代わりに誰が入るか。天皇杯を見る限りだと渡辺皓太でしょう。楽しみ。そして、エジガルが離脱しても、マルコスシステムは変えずに来ているので、マルコスは変えず、トップはエリキを試すでしょう。練習とは違う本気の状態を見たいというのもあると思います。
また、ケイタの疲労も気になります。天皇杯の終了後の様子は、今までにない疲労感でしたので、ここにはマテウスかなぁと考えます。結論、番記者の彼と一緒になりました。

C大阪は前節先発のデサバトが累積警告で出場停止。天皇杯で、ヨニッチと奥埜を65分間ほど使っているが、それだけ核になる選手という事なので、結果、FC東京戦のメンツに戻してくるのではないかと思います。

まとめます。
マリノス攻撃時は水沼の裏を狙え、マッチアップゾーンには冷静に対処。
マリノス守備時はネガトラのしょっぱな大事、オフサイドトラップを完遂せよ。
です!

もうさ、相性なんて関係ないよ。新しい選手が出るだろうから、勝てば勢いが絶対つく試合。それが、勝ててなかった相手なら尚更。最終戦まで日産スタジアムには帰って来ない。たくさんのサポーターで、最高のテンションで集まって、最高の雰囲気ヲ作りましょう!

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方、そしてOJさんに感謝いたします。


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