未来にはあらゆる可能性がある。2019年の物語の終幕を飾り、大海へのプロローグを始めよう。2019 J1リーグ第34節マリノスVSFC東京 プレビュー

『THE BIG FINAL』
いわゆる、グランドフィナーレ。
今年のマリノスを見られるのは、これで最後。今シーズンの私のプレビューも、これで最後。チームも、プレビューも、来年は来年の形を持つ事になるります。最終戦で何があろうと、シーズンが終わった瞬間に、もう次の物語が始まり、船は大海へと進み始めます。
だからこそ、今年の物語を勝って締めくくるのです。

さて、今年最後の対戦相手はFC東京。前半戦の最終戦にして、大一番であった17節のアウェイ首位攻防戦で敗れた相手です。あの時と今で、立場は入れ替わっています。現在、マリノスが首位で、FC東京が2位。2019年の完全なる頂上決戦。それを、俺達のホーム日産スタジアムで迎えます。

前段は短めにして、早速、前回対戦の振り返りから。

1,【17節アウェイFC東京戦の振り返り】

FC東京との前回対戦は、アウェイで4-2の敗戦。今節のプレビューは、前回対戦のプレビューの上に盛った話ですので、時間のある方は、前回のプレビューを読んでいただけると、より理解が増します。という事で、前回対戦のプレビューはこちら。

東京がまず行ってきたのは、前から当てはめるように行うプレス。CF2枚と中盤4枚の6枚でプレスを行ってきました。

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これにより東京は何度か、ショートカウンターを実行しますが、徐々にポジションチェンジなどで、マリノスがSHの裏、CHの脇を使えるようになり、先制点が生まれます。

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当てはめプレスにサンホが遅れて、その遅れたサンホの裏を喜田が使い、テルにボールを出して、4バック対3トップ+マルコスを実現。

この先制を機に、試合が動き始めます。やや、押せ押せ状態になったマリノス。先制から2分後、マリノスCBのマークの甘さを見逃さず、東京GKの林が、競り合いに弱い和田を目がけてロングボールを入れます。完全に狙っていた形。

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後手の守備でふわっとしたまま守備をしてしまい、パギのブラインドとなったコースに、サンホの振りの速いシュートが飛び、パギは押さえられずに同点。
形は東京の狙い通りですが、パギの準備不足という指摘もその通りです。でも、冷静に形を実行した林と、素晴らしいシュートを放ったサンホを称えるべきです。スーパーゴールと同価値のゴール。

このゴールで同点に追いついた東京は、プレスのリスクを感じ取り、DFラインを下げ、ブロック主体に切り替わります。
縦横圧縮のゾーンディフェンスで中央を封鎖。東京としてはやる事が整理されたので、受けて奪ってカウンターというやり方に完全シフト。

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こうなると、攻めるマリノス、カウンターで応戦する東京という構図。
この構図でもある程度やれていたマリノスですが、CBが最終ラインで不在になるCKから、カウンターを成功され逆転されます。

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この方法も、東京は狙っていたでしょう。このまま前半終了。
後半も構図は変わらず、なんならマリノスが、サイドを重視した攻めをし過ぎて、東京に中央をより固められました。もう点を取らなくても良いスコアになった事が、東京の守備固めに拍車をかけていました。
以降の失点は簡単に。3失点目はSBとポジションチェンジをしたケイタが、固い守備の中央に、低い位置から入ったところを奪われ失点。4失点目は、常々狙われていた和田のフィジカルを突かれ失点。

ただ、これで終わらないマリノス。交代策によって2点目を奪います。三好とのコンビネーションで抜け出したケイタが、ファーサイドのテルへクロス。ゴール。

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前回対戦のプレビューにも書いた、縦横圧縮の弱点になるファーサイドへのクロスと、ゾーンディフェンスが故に、ボールウォッチをしやすい東京に対して、ピンポン玉の様な早いパス回しを、局地でする事を意識し始めたマリノスのやり方が、結実したゴールでした。
東京がボールウォッチになるのは、クロス対応だけではないという事です。

試合はこのまま終了しましたが、こうして振り返ると、1失点目はスーパーゴール、2失点目は現在のショートコーナーを主体にするマリノスでは起きない事象。
3失点目は、攻めなければならない状況に追い込まれた故の痛みであり、今節を考えると攻めなければならないのは東京。
そのため、プレスに来れば、マリノスの1得点目の様な形が多くなりますし、ブロックで来ても、2点目の様にどうすれば点を取れるか、チームとして考えて結果に繋げた経験は大きい試合でした。
決して悪くない敗戦です。2点目は、のちの4バック攻略に役立っている部分もありますし、何よりも、この最終節に活きる試合でしょう。

という事で、やり返すための材料はチームに揃っているはずです。では、現在の東京の話に移りましょう。

2,【FC東京の守備】

まず、FC東京の守備ですが、基本は変わっていません。中央を崩させない堅牢な縦横圧縮のゾーンディフェンスブロックと、6枚でのプレッシングを主体にしています。
私の考えでは、最初はプレスで来ると思いますが、早めにブロックに変わるはずです。要は、見せプレス。

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ここで点を取れればラッキー!という位で来るでしょう。ずっとプレスが出来るチームではありません。点が奪えていなければ、後半に突貫してくる事はあり得ますが、前半から最後まではあり得ません。攻撃的なチームでないならば、ハイプレスを実行し続けると、キックの精度から思考の判断まで、徐々に体をむしばんでいきます。

プレスで来た時は、前回対戦と同じくCH脇を突けば良いです。ライン間が間延びしやすいのも含め、攻略法の特徴はなにも変わっていませんでした。

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ではブロックはどのように行うか。東京側からすれば、いつもより少し高い位置を取ろうとすると思われますが、結果的に、コンパクトさを保ったゾーンを上げ下げして、様子を見る方法になると思います。

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ブロックの場合、サイドは間違いなく空けてくれます。前回対戦では、サイド深くにボールが入ると、CHが落ちて5バック気味になるとプレビューで記載しましたが、変わってはいません。

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スペースを潰す守備でCHは空いたチャンネルを生めるというのが、約束事になっています。

この様になれば、空いたバイタルをシンプルに使って、マイナスクロスからのミドルを行うかでしょう。

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図はナベちゃんだけど、喜田に決めて欲しい展開。

また、横圧縮のため、前回対戦の2点目の様に、ファーサイドへのクロスは狙いたいところです。もちろん、サイドチェンジも有効です。

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事実、失点するパターンにファーサイドクロスは多いです。バイタルからのミドルでの失点も多いです。というか堅いから、これくらいしか失点する方法がないとも言えます。また、前述したようにボールウォッチになりやすい東京。

是非、広島戦の失点の仕方を見ていただきたいのです。単純なチャンネル広げてハーフスペース攻略でやられているのですが、この時ラインは押し込まれ、綺麗にライン間がペナ内に入っています。一見守備ブロックとしては堅そう。しかし、たった二人に崩されています。これは、マリノス向きな攻略方法です。

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広島戦では、東京側からすると、右SHのポジショニングにも問題があった試合だったのですが、釣られたSBとSH以外の6人は空いたスペースを意識せず、スライドもしませんでした。ここまで縦横圧縮でブロック作ったので、選手間の距離は狭く、故に安心しちゃったかなというのと、持ち場ではないという思い込みが見えます。 

これを利用しない手はない。まず、3人で4人を崩す意識。SB、WG、そしてトップ下で、ブロックの左右どちらかの半分を崩す事が可能です。

この形は、そこそこマリノスの試合の中で見えるので、ありえるシチュエーションです。東京は、川崎戦でも目線を変えさせられるボールに、動きを止められています。人数が揃っているブロック守備にも有効な方法です。

最後に、前回対戦の2失点目の様なケースを無くすためにも、この試合こそショートコーナーですね。

3,【FC東京の攻撃】


続いて、FC東京の攻撃です。やはり、前回対戦から変わってはいません。オーソドックスな442の攻撃スタイルで、ロングカウンター主体です。ディエゴオリベイラがいないようなので、だいぶ軽減されるでしょう。ファーストDF2枚に対しては、3枚ビルドアップ。

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前線ロングボールに対して、2CFは四方八方を狙えるので、起点になり、SHを加えた前4枚で攻撃を完結させることがしばしば。

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相手が引いていれば、SHかSBが絞り、絞らなかった方の選手が、二次攻撃のクロスを狙います。ただ、クロスの上げるタイミングが分かりやすく、瀬戸際で防がれるケースが多い攻撃です。そのため、タイミングを外すアーリークロスも多めで、こっちの方が威力がある印象です。クロスのコースは柔軟で、どちらかと言えば、人を狙うという意識が多め。ディエゴだからかな。

このクロスに対して、選手が固まる事なく、適正なポジションをとるため、こぼれ球を押し込めるケースが多いです。

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このポジショニングは、即時奪回にも効果を発揮しており、東京の中で一番厄介な事象です。また、ポジショニングが落とし込まれたものなのか、選手の能力によるものなのかで、ディエゴ不在の穴の大きさが変わります。
マリノスとしては、ファーサイドクロスを徹底された方が嫌なのですが、このこぼれを東京が意識すると、自然とニアから中央を狙う事が増えます。

同時にCHがセカンド回収のためのポジションを取ります。
上手くいけば、CHやCBがミドルを狙います。まぁ、これもなかなか恐いです。

そのため、クリアする時は、逆サイドのタッチラインにクリアが最も良い選択になるでしょう。幅を取る事を意識しているわけではないので、クロスには中に入るのが逆サイドの傾向です。

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これ、出来たら感動ものです。

後はセットプレーですが、やはり注意すべきは東京の2CBになると思います。タカがいないので、ここは気がかり。とはいえ、マリノスにとってはカウンターのチャンスです。狙いたい。

最後に、これらの特徴に対して行う対策は、もう前プレですね。ボールを出させない。出させてもオフサイドにしてしまうか、キックの精度を下げさせる。要は、川崎戦とやる事は変わりませんよという事です。思考のスピードを奪うマリノスのプレスは、完全にストロングです。

4,【最後に】

さぁ、スタメン。

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マリノスは、タカが出場停止のため、ナベちゃん。東京は、ディエゴに代わり田川。室屋に代わりオ・ジェソク。田川いい選手だなぁ。

マリノスは、4点差で負けなければ優勝ではありますが、この状況で動いてくるのは、必然的に東京です。ただ、どう出てこようとも、いつもとやる事は変わりません。盛大にスピードでぶん殴る。選手は、それだけの場数を踏んで来ています。

という事で、最後だね。最後だよ。まずはいつも通り。

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

そして、アディショナル。

これにて、情報のない開幕戦以外の33節分のプレビューを、全て書き終えました。私が今シーズン、選手・クラブスタッフ・フロント・スポンサー・サポーター・ファンによって作られるマリノスという大いなる集合体に対して、出来る貢献は終了です。
9ヶ月くらいの間、ありがとうございました。

明日、戦うのは選手だけじゃなく、全てのマリノスだ。過去から繋がる全てのマリノスだ。サポーター、ファンも含めた皆が、主体性を選手と共に持ち、ここまで一緒に強くなった。俺『達』がマリノスだ。

スタジアムで出来る事は、皆それぞれあるはず。
声を出すことだけが、応援じゃないさ。ひとつひとつのプレーに歓喜しよう。最高の最終戦を楽しもう。
そして、一緒に勝ちに行こう!
共に優勝しに行こう!

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