カルバノグのふきだまり(前編)


ブルアカメインストーリーVol.4の「カルバノグの兎編」一章と二章、そしてその間に挟まれた最終編での描写を見て思ったことを書きます。ずっとTwitterサークルにほぼ愚痴として垂れ流していたので今一度考えをまとめるつもりで書きます。そういう事もあってかなりネガティブに話すと思います。はい。

大前提として

私はブルアカのシナリオを「印象値を元に」見ています。つまり今ある要素から作品を評価するし、後から追加されるシナリオ次第で評価が変わることもあるということです。最終編、カルバノグ二章、4.5thPVはまだ回収されてない要素が多いので、そこらへんはバリバリ印象値で見ます。指摘に矛盾があるかもしれませんが、その場合は無視しても構いません。

カルバノグ一章

個人的にかなり評価が高い章です。雰囲気がかなり好きで、程よいシリアスとギャグの中で、ストーリーの土台作り、キャラ作り、伏線、ストーリー展開が出来ていると思います。一話ごとに何か語るほど不満はないので、個人的に悪い意味で気になった部分を述べます。

個人的に気になった点

風倉モエってどうしてSRTに入れたの?

いや勿論、本人は兵器や電子機器の取り扱いが凄腕なのは確かですし、それが評価されて入学できたのは分かるんですけど、読み返してみたら、一人だけSRTの志望理由が「兵器を扱いたいから」なんですよね。これがテロ組織とか犯罪組織なら分かりますけど、市民防衛、街の安全の為のSRTに志望する動機としてはダメっダメでしょ。サキによれば、SRTはヴァルキューレの公安局以上に規律が正しく、厳しい組織だそうですし、そうなると、そこに所属する生徒にもそれ相応の精神が求められるものでは?なのに何故、SRTはこの子を入学させたんだろう。更に言えば、無差別乱射で商店街を半壊(任務かどうかは不明だが明確な被害を出している)して、さらに市民の安全などどうでもいいと言い放つのはもう人として・・・な感じなのでは。SRTに入学するときは色々と動機を偽って入った可能性はあると思いますけど、いずれにせよ事情聴取の時にキリノの前でぶっちゃけた時点で意味ないですよね。不適格って言われましたし。

ミヤコは結局、カンナを断罪して何がしたかったの?

ミヤコはヴァルキューレの武装が強化されている事から、ヴァルキューレとカイザーとが癒着しているという推測をし、それを決定づける証拠を手に入れる為にヴァルキューレ本館に侵入、リベートの証拠を確保して脱出、結果として癒着の件は公にされました。

全体的な話の流れを簡潔に述べると、「rabbit小隊がカンナの悪事を裁いた」となるのですが、これをやったところで何も変わることがないのですね。

まず最初に、この癒着を裁いたところで、この快挙を成し遂げたrabbit小隊及びSRTの名が知れ渡る事はないです。というか「できない」です。何故なら現在は連邦生徒会長がおらず、活動することが許されていないから。カンナが指摘したように、SRTの特権がない限り、武力を用いる強行的な行為は犯罪に当たる可能性が高いです。仮にシャーレが後ろ盾にいたとしても、「シャーレの権利の元で活動するSRTの部隊」は正式的に認められたモノではないし、リンが言っていたように、危険であるとみなす者もいるSRTの生徒を、シャーレが支援していることが判明した場合、強い反発が起こります。いずれにせよ、名を公表する事はできません。つまり、我々(神視点)から見た時には快挙に見えても、世間からは「匿名からの情報でヴァルキューレの汚職が判明した」、という事実が分かったに過ぎません。実際、クロノスも「謎の集団」としか述べていません。

この事を踏まえると、癒着を暴く事でrabbit小隊が成し遂げたのはせいぜい「自分たちが公園から追い出されない為の工作」に過ぎず、また、ミヤコの自己満足となるだけです。rabbit小隊の目的であるSRT復活には一歩も近付いてはいないです。

ここでミヤコが「しかし、私達の目標であるSRTの復活には一歩も近付いていません。抗議や悪事を裁く以外にもできる事をしましょう」と言うのなら分かるのですが、「カンナの悪事を暴きました。満足満足。」で終わるのなら、そもそもSRTの復活に固執する必要性が分からないのです。

シャーレの先生を後ろ盾に自分の理想を叶えられるのなら、自分達でシャーレを責任者とした新たな組織を作るとか、シャーレの直属部隊として働くとか、そういった形でSRTが再編された方が、少なくとも公園を占拠してヴァルキューレをぶっ飛ばすデモ活動より穏便に済むでしょう。サキは規律のある厳しい環境を望む為にSRTに戻りたい、と考えていますが、それもSRTに拘るほどのことではないはずです。直属部隊としてのルールなり、新たな組織としてのルールなり、作れるはずでしょう。モエは言わずもがなですし、ミユは・・・うん、SRT以前の話ですね。はい。

ミヤコ、カンナに不法侵入した事に関する指摘を有耶無耶にしてない?

先ほども言ったように、rabbit小隊(SRT)は連邦生徒会長の不在で活動する事はできませんし、後ろ盾のシャーレの先生も、支援していることが知られていないから問題になっていないだけで、もし支援していることが明るみになれば強い反発が起こるとされています。

このような非公認な構図(rabbit小隊の行動の責任を先生が負う)の上でヴァルキューレ本館に侵入する事は犯罪です。不法侵入に当たります。
そして、カンナがこの事を指摘するのですが、ミヤコはその反論としてヴァルキューレがカイザーと癒着している件についての指摘をし返しています。

カンナ(彼女だけでなくカヤのせいでもあるでしょうけれど)は確かに悪い事をしていますが、だからと言ってそれはrabbit小隊の不法侵入の免罪符にはなりません。連邦生徒会長の絶大な信頼によって成り立ったSRTの特権があるからこそ許される行為であり、基本は犯罪です。

この後の話の中で、ミヤコはカンナの正義について論じますが、そもそもどっちとも犯罪行為に手を染めている時点でミヤコに正義を語る資格はないのでは?私としては、「正義のためには手を汚さなくちゃいけないのだ」と諦観ではあるものの「悪い事をしている自覚はあるカンナ」の方がまだマシに見えます。ミヤコもまた、「正義のためにやってはならない事(不法侵入)をしている」のであって、カンナとさほど変わらないでしょう。

というかそもそも、最初の公園占拠だって「正義」とは程遠い行為なのでは?

まぁ、これは後々出てくるFox小隊(特にユキノ)にも言える事にはなりますが、「本来なら連邦生徒会長ありきで成り立っている特権で活動できた組織の部隊」が、「公園を占拠し」、「公安局や報道陣(ドローンですが)に対して銃を向ける」という、明らかにマズい行為をしてるわけですよね、rabbit小隊は。

報道陣がいる事を考えれば、間違いなくrabbit小隊の武力デモは市民にも知れ渡っていますし、「現在は活動することが許されていない暴力装置」が武装蜂起しているとなれば、当然、恐怖を覚える事になるでしょう。現実に例えるならなら、「自衛隊員が廃止された自衛隊の復活のために公園を占拠して日本警察に銃を向ける」ような

ユキノの場合、彼女はそもそも正義を失ってしまった人間なので、「SRT復活の為ならどんな行為も厭わない」という闇堕ちなスタンスで、悪事に手を染める事は理解ができます。しかし、ミヤコの場合は「正義のため」という純粋な理由なんですよね。その理由の割には、警察には迷惑かけるし報道されたせいで市民には悪い印象がつくしで、やってる事はダメじゃない?っていう(というか、読み返してて気づいたのですが、これって、二章でミヤコが憤慨した「人々の恐怖の上にSRTが成り立つ事」と程度はあれど根本は変わらないのでは?まぁ、これは後で語るかもしれません)。正義を語る割にやってる事はあまりよろしくないところが見られます。正義失ったマンをしてるユキノの方がまだ一貫してるのかな?ここら辺は。

デカルトというキャラを活かしきれてない

作中で登場する所確幸のデカルトですが、このキャラは、カルバノグ一章ではrabbit小隊の写し鏡としての存在です。「欲を捨て、必要最低限の所有だけで生きることで本当の幸せを感じることができる」という理念を掲げるのに、高級な武器で武装したり、缶詰やステーキ弁当などの贅沢品を所有していたり、理念の割にバリバリ欲望に溢れた行動をしています。

これは明らかにデカルトが間違っている事がわかりますし、先生はデカルトの矛盾に何度かツッコミを入れてます。ですが、「デカルトがrabbit小隊の写し鏡」であるというように、rabbit小隊も正義を掲げるのにも関わらず、武力を用いたデモや認められない不法侵入など、決して正義と言うことは出来ない行動に走っています。なのにも関わらず、先生が「デカルトは矛盾している、ではrabbit小隊は?」と疑問に思うことはなく、結局、ミヤコのガバのある正義がなあなあにされています。

先生、流石にrabbit小隊に肩入れしすぎなのでは?

これはあんまり大したことではないと思いますが、rabbit小隊がデモ活動によって警察や市民に迷惑をかけた事を考えれば、処罰なしで直ぐに釈放するのは余りにも寛大な処分すぎるのでは?一連のデモや警察との戦闘が報道された以上、この後の処分についても報告がなされるはずで、その場合、「公園を占拠して警察に武力抵抗をする元特殊部隊が、特に処罰が降ることがなく(保留)となって釈放された」となるわけです。その報告を見る住民や、SRTをよく思わない連邦生徒会メンバーからは強い反発があがるでしょう。学籍抹消とは言いませんが、数週間程度の懲役などの罰で済ませばよかったのでは?と思います。先生の甘さが目立つ気がします。

とまぁ、こんな風に色々と気になる点はありますが、それでも話の流れは理解しやすいですし、続編が期待できる伏線や展開ができているので、私個人としての評価は高めです。

ぶっちゃけ、私はカルバノグ一章と4.5th PVから抱き続けてきた期待が最終編とカルバノグ二章でめちゃくちゃ裏切られているので、これは序章に過ぎません。はい。

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