育休取得時の社会保険料等免除

先日の投稿では育休取得を申請する決意は固めたものの横やりが入ることが危惧されたのでその前に自分の考えを整理してみた。

今回の記事では俗に言う【抜け道】のところの部分だけを掘り下げて自分なりに考察したいと思う。

社会保険料免除の要件である「月末日を含んでいること」というのがキモだ。
育休取得者としてはこれを利用して(見る人から見ると逆手にとって)月末日だけもしくはその日を含めて数日だけを育休取得日とする人が一定数いる。その行為(申請)に対して(これまた見る人から見ると)本来の育休取得の主旨から外れているのではないかという指摘がある。
これが社会保険料免除の抜け道と言われるものだ。
※ちなみにだが社会保険料免除の恩恵を受けたとて社会保険の仕組み(医療費自己負担3割などの社会保険のサービス)を使う権利が無くなる訳では無いことを申し添えておく。また、免除の恩恵は取得者自身だけでなく事業主も受けられる。

自分が当事者になってみて思うことではあるが、結論から言うと抜け道でもなんでもないと思っている。悪い言い方をすれば法の欠陥とでも言うべきものではないかと思う。想像力が欠如しているがために起きることだと思っている。
めちゃくちゃ乱暴な言い方をすると、法律で決まった日に休んで手取りが増えるなら誰だって休むよ!という話。

どういうことか。

前提として社会保険料等は月収(を元にした標準報酬)で決まる。
おおよその計算で総支給額x13%〜15%程度になる。
自分の場合もそうだが20代で子育て、育休取得の権利を主張できる状況になった。
その20代の平均年収400万(ネット上の色々な記事からこれくらいが妥当かと)
月収だと33万円(400/12ヶ月)
※便宜上賞与は無いものとして試算
社会保険料等支払額は約45,000円程度になる
(月収の約13%)

さてここで読者の皆さんに質問
この質問についてはひとまずの所、育休かどうかは忘れて欲しいのだが
月内である1日(法律で決まった1日)を休めば月収が100%貰えます。
(=社会保険料等免除にします。上の例で言うとその月の手取りが45,000円増えます。ただし、そのサービスは継続して受けていただけます。)
あなたはどうする?
①その日を休む
②休まない

申し訳ないが①一択である。どう考えても①だ。
②と答える人には頭が下がる。どうか今後も社会保険制度の維持のためよろしくお願いしますと言ったところだ。
(②とする人はよっぽど休みを取りづらい人か社会保険料免除されてるのにそのサービスを受けることに罪悪感を感じてしまうような生真面目な人なんだろうと推測する)

では①を選んだ人に対して【社会保険料免除されるからってその1日を含んで休むなんておかしいじゃないか】【そんな損得勘定で選ぶなんてずるいじゃないか】という指摘を誰かがしたとする。

①を選んだ人はどう思うか。
【えーっと法律で決まった事をやっているだけなんですが、なぜ咎められるんでしょうか…?】
こうなるのではないか。

話を育休に戻すが、育休取得時に①を選択する人がたくさんいて、抜け道だなんて言われて問題になっている。
取得者からすれば、ルールに則ってやっていることに対して、こちらを悪者にして、育休取得を妨げようとしているのでは?なんて邪推すらしてしまう。
それにそのような形で社会保険料免除の恩恵を受け、手取りを増やすのは本来の主旨に反するというような指摘もある。ルールの範囲内でやっているにも関わらず、だ。

これも全く的外れと思っている。
社会保険料免除の主旨は育休取得者の経済的支援だと考えて疑いはない。
この指摘をする人には、本来の主旨ってなんだとお考えですか?育児にはお金が必要なので恩恵を受けようとしているのに主旨から外れるとはどういうことですか?とお伺いしたい。
指摘の内容は社会保険料免除が目的か育児することが目的かということなのだろうが、どちらなのかを断定することなど不可能で、他人から受けるこの指摘はそれこそ推測にほかならない。それに大前提として法律で認められているということを忘れないで頂きたい。
また、社会保険料免除の主旨が取得者の経済的支援であるということに異論がないのであれば、誤解を恐れず言うと社会保険料免除が目的になっていたって問題ないと思う。
(そのお金を私利私欲に使うことが明白とかならまあ話はちょっと違うけど子供の為に使うのであれば普通にアリだと思っている。)
例えば上記のように月収33万円に対する45,000円と月収50万円の人にとっての45,000円は(感覚として)同じ負担ではないということをもっと配慮すべきと思う。(ここが想像力の欠如の部分)

社会保険料が十分に回収できなくなり、健保の運営が難しくなりサービスの維持が出来なくなり…みたいなことは展開としては想像できる。それによって今13〜15%の支払いで済んでいるのが20%にしないと運営出来ないという時代が来るかもしれない。
でも考えてもみてほしい。
それは育休取得者が月内で決まった1日を休んだことによって1ヶ月分回収できなかった社会保険料の積み重ねのせいでそうなったのか。
自分はそれは違うと思う。

そんなことなら、現行、育休取得時の社会保険料免除は事業主も免除となっているが、事業主からは回収します。というように法律を変えれば半額は回収できる。(まあ異論は出るんだろうけど)

目の前に叩ける相手(抜け道を使う人)がいれば叩きたくなるのが人間の性なのだろうか。本当に叩くべき相手が誰なのかよく考えていただきたいと心底思う。
寂しい社会だなとつくづく痛感する。
(そんなことをいちいち育休取得者に話してくるんだとしたら、もしかしたら社会ではなく【会社】の間違いかもしれない。社会から抜け道使ってずるい!なんて言われること多分ないもんね。上の質問で①を選ぶ人圧倒的に多いと信じてるけど、②が多かった場合ここまで主張は全部なかったことにしたい。)

子育ての当事者になってみて初めて考えること勉強になることが本当に多い。






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