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夢の中。

私は深い闇の中で漂っていた…目が痛くなる程の闇と、耳鳴りがしそうな無音の世界。

嫌だと、怖いと思うが「助けて」と叫ぶがパクパクと魚みたいに口を開くだけで声は出ない。

そんな私の前に淡い光が見えた。

ボウっと浮かび上がる淡いピンク色の珊瑚の森が見えた時、この闇と無音の世界が海底だった事を知る。

美しい珊瑚の森の中の岩に美しい獣人が座りながら私を見つめていた。

珊瑚と同じ色の髪に鳶色の瞳をした綺麗な毛並みの獣人は、どこか古めかしくも懐かしい気がして私はホッと息を吐く。

私を眺める優しい鳶色の瞳…彼なのか彼女なのかは分からない獣人が口を開き、不思議な声で「愛していた」と告げた。

涙が溢れ出す。

そして意識は遠ざかる…夢、だったのだ。

完全に覚醒したら、散り散りに砕けて忘れるだろう夢を忘れたくは無いと願いながら目を覚ました。

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