エルデンリング考察 北欧神話との関連性

 黄金樹をみて世界樹を連想した人は多いだろう。世界樹といえば北欧神話! 北欧神話において世界樹は九界を繋ぐ存在、世界そのものとも言える。黄金樹と世界樹の相関から、影の地がどこにあるのかを探っていきたいと思う。

 影の地は北欧神話で言う死者の国・ヘルへイムではないかと思う。死のルーンを封じた時、影の地への道も閉ざされた、つまり黄金樹の影に隠されたのではないか? そうすると各地にいる神肌の使徒たちは帰り道がわからず仕方なく放浪しているということだろうか?

 影の地は「神たるマリカが、降り立った場所」、そして「マリカが神となり、黄金樹が生まれた地」である。
 マリカが神となった、つまり指に選ばれた神人である宵眼の女王との戦いに勝ち、マリカは神になったと私は考えた。(他に神人がいたかは考えないことにする)そして宵眼の女王といえば死のルーンと関わりが深い。おそらくだが宵眼の女王が死のルーンの元々の保持者だったと思われる。宵眼の女王が収めていた地が「影の地」と後々呼ばれるようになった。宵眼の女王は何かと死と関係が深い。よって影の地は北欧神話における「死者の国・ヘルへイム」に相当すると思われる。Wikipediaによると「ヘル」とはゲルマン祖語で「halja:隠された場所、冥界」といった意味合いだそうだ。黄金樹に隠されたと言う影の地との共通点が見え隠れする。
 宵眼の女王が死んだのかどうかわからないが、影の地は今はメスメルが治めていると思われる。住んでいる人がいればだが…

 影の地はどこにあるか? 北欧神話におけるヘルヘイムは諸説あるが世界樹の地下にあることは間違いない。では影の地は黄金樹の地下にあるか? 地下にあるとすればシーフラ河とエインセル河の中間あたりだろうか? だがトレーラーを見る限り地下という感じはしない。しかしもう一つ思い当たる場所がある。それはアルター平原だ。正確にいうならアルター平原全体の封牢世界だ。アルター平原を表とするなら、影の地は裏だ。
 きっかけはカーリアの逆さ像だ。その像とトレーラーに出てくる女性が似ているという。

 確かに雰囲気や服装は似てなくもない。注目したのはカーリア書院のギミックだ。天地が逆さになり、床が天井に、天井が床になる。
 我々が地面と思っているものは天であり、天だと思っているのは地であったという考えである。これはこれで面白そうだが、なんかしっくりこない。逆になる、という場所でもう一つ思いついた場所は、典礼街オルディナである。あそこのギミックは封牢世界へ入り四つの像に火を灯し、転送門を起動させるというものだった。封牢世界は街全体を覆っている。街全体だけではなく、一つの地域まるごと封牢世界に閉じ込められるとしたら?
 そこで思いついたのが、ゲルミア火山だ。あそこはメスメルとのつながりを示唆するものがいくつかある。まず蛇。トレーラの中にもメスメルの周りに蛇がまとわり(?)ついている。火山館では蛇人がおり、ライカードは大蛇と同化していた。そして炎。火山館周辺はマグマがあり、メスメルは炎を使う。私の予想では封牢世界のゲルミア火山(火山館)にメスメルはいる。
 ゲルミア火山だけでは手狭すぎる。ならばアルター高原全体に広げるとどうだろうか。もちろん王都ローデイルも含む。そうなれば影の地が黄金樹が生まれた地、そして黄金樹の影に隠された地というのも納得がいく。

 影の地がアルター平原の封牢世界という考えを下敷に考えを進めると、ミケラはオルディナのしかけを作った時点で影の地へ赴くことを画策していたことになる。影の地へは入ることも出ることもできない…通常では。ミケラの肉体に触れることで影の地へ入れると言うことは、ミケラは己の体を封牢世界の入口にした。入口がないなら作っちゃえばいいじゃない。なんとも力技である。
 ただ最初はその役割はゴッドウィンの体を使う予定だったのかもしれない。ゴッドウィンがそのことを了承していたかは定かではないが。そうするとミケラは黒き刃の陰謀に一枚噛んでいたのだろうか? ミケラは「愛するを強いることができた」らしいのでその辺の力でゴッドウィンの協力を取り付けたのだろうか?
 黄金の墓標には「兄様、兄様、正しく死んで下さいな」とある。これはゴッドウィンが正しく死ぬことで影の地へ行くための媒体にしようとしたからこそのセリフではないか。実際はゴッドウィンが死に生きるもの、と言われているように正しく死ねなかった。ミケラの計画は失敗した。自分の肉体を使おうと思ったのはモーグに攫われ肉体が死んだからこそ、なのだろうか? それとも元々の計画だったのだろうか?


 影の地が北欧神話で言うところのヘルヘイムではないかと考えたがもしかしたら他の地域も北欧神話で言うところの九界に当てはまるのではと思いついた。いろいろ試行してみたがしっくりはまらない。個人的には面白かったので載せておく。

アースガルズ → 王都ローデイル
ヴァナへイム → ファルムアズラ?
ミズガルズ(中つ国、間の国、人間の国)→ リムグレイブ
ヨトゥンへイム(巨人の国) → 巨人たちの山麓
ニザヴェッリル(小人の国) → エブレフェール?
スヴァルトアールヴへイム(黒い妖精の国) → ケイリッド?
アールヴへイム(妖精の国) → リエーニエ?
ムスペルへイム(炎の国) → ゲルミア火山
ヘルへイム(死者の国) → 影の地
ニヴルへイム(霧の国) → ノクローン・ノクステラ

 北欧神話における世界樹を調べて他に興味深かったのは四匹の鹿だ。この鹿は世界樹の樹皮を食糧としているそうだ。エルデンリングで鹿といえば祖霊と祖霊の王だ。ではあと二匹はどこへ? 
 祖霊の王のジャンプ音とトレントの二段ジャンプ音が似ているという情報を見たことがある。するとトレントも鹿の一匹だろうか? たしかにトレントには馬にはあるまじき角が生えている。かといって鹿か?と問われれば首を傾げざるおえないが。
 そして残りの一匹は、DLC制作発表で公開された絵にあったミケラが乗っていたトレントらしきものではないか? ミケラがトレントの元の主人ではないかと思ったが、似ているだけで別の個体という可能性もある。あくまで北欧神話になぞらえればの話だが。

 あとは世界樹の根を齧る蛇(ドラゴン)・ニーズヘッグ。エルデンリングの世界で蛇や竜が忌み嫌われているのは案外ニーズヘッグの設定を反映してかもしれない。

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