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札幌のラッキー(12月)

ラッキーは札幌で可愛がられているキャバリア犬。

私のご主人様は札幌に住んでるコンピュータ技術者。
奥様は美人のどさんこ娘。
住まいは手稲山の麓のマンションの5階。
ベランダから手稲スキー場が見渡せる。
ご主人様はコンピュータ相手の仕事なので変則勤務。
通常の日中勤務や、夜中の勤務、休日出勤などがあり
いつも体調維持に気をつかっている。
私は神戸のラッキーのお母さんの娘です。
神戸のご主人様と札幌のご主人様は昔の仕事仲間。
このご縁で札幌に養子縁組が決定してやってきた。
今は6ヶ月のやんちゃ娘。
しかし、ご主人様と奥様に可愛がられている幸せ者。
この一年のハプニングを日記帳でご披露するね。
毎日がハッピーな自然流。

今日は12月21日の土曜日。
ご主人様は夜勤から日勤に変更するため
今日から3連休。
夜勤明けから帰ってきて朝風呂に入った後
いつものように奥様がセットした
軽い食事とホット梅酒を飲んで
夢の中に入っていっちゃった。
奥様はご主人様の安眠の妨げにならないように
テレビを見ながら編物を開始。
テレビから、今開催している
《ホワイト・イルミネーション》の
昨夜のきれいな情景が流れてきた。
奥様は編物の手を止めて
赤や黄色にライトアップされたツリーを見ていたら
うつらうつらしている私を急にだっこして
「ラッキー、明日
《ホワイト・イルミネーション》を見に行こうね」
と私の大きな瞳に向かって独り言。
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様がいつものように
遅い昼食タイムに起きてきた。
ご主人様の今日のお昼はカレーライスだ。
ご主人様はちょっと辛めのカレーが大好きだ。
私はカレーが苦手。
ちょっと前にあんまりお腹がすいたので
カレーライスを食べているご主人様に
キック攻撃でカレーライスをおねだりした。
ちょっとだけカレーを私の器に入れてもらってぱくつくと
口の中が大火事状態になっちゃった。
あわてて、お水をペロペロしたんだけど
しばらく味覚レーダーが故障状態になっちゃった。
これがきっちりDNAに書き込まれちゃったので
カレーの匂いを鼻レーダーが感知したら
自然と拒否DNAが働くようになっちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

奥様はイギリス風に紅茶を飲みながら
チーズを乗っけたクラッカーをパクッ。
私は奥様をターゲットに
瞳作戦やキック作戦を開始。
しかし、最近の奥様は
難攻不落の堅固な要塞状態。
完全に無視されちゃった。
こうなればミサイル攻撃しか無~し。
ミサイル攻撃って?
それはワ~~ンと吼えること。
さすがの奥様も
私のなんとも言えない吼え方が
哀れをさそったよう。
「これだけよ」と言いながら
チーズの乗ったクラッカーを半分に割ってくれた。
やっぱし、イギリス生まれの私には最高の味。
きっと本場のキャバリアンは
3時のティータイムには
こんなお茶うけのおこぼれを
もらっているんだろうな。
うらやましいなあ。
毎日がハッピーな自然流。

この後は、私のアッピール勝ちで
玄米フレークとヨーグルトもゲット。
私と奥様のバトルが終了して
ちょっと静かになったところで
「ねえ。明日何か予定あるの?」っと
例のちょっと上目使いのおねだりポーズで
奥様がご主人様にお伺い。
「いいや、明日は3連休の中日だから
何にも予定していないなあ」
と、ちょっと不安げなご主人様。
「それじゃ《ホワイト・イルミネーション》観に行かない?」
と、明るい声と私に似た大きな瞳でアッピール。
ご主人様が考えていたおねだり内容と違ったのか
ホッとしたような感じで
「《ホワイト・イルミネーション》か。
きれいだろうな。いいねえ、行こうか」
とOKサイン。
毎日がハッピーな自然流。

「しかし、今年はラッキーがいるから
雪祭りのようにかごに入れていくかな。
しかし、ラッキーも大きくなっちゃったから
サイズ的にも無理があるなあ。
しかたないから、またお母さんに来てもらって
お相手たのもうかな」
とご主人様は思案顔。
「ねえ、あなた。レンタカー借りて行きましょうか」
と奥様からの新提案。
「数時間の為にレンタカーもちょっと辛いな。
タクシーだと結構かかりそうだし」
とご主人様は私の頭をなぜなぜしながら
またまた思案中。
ちょっと暗い沈黙の時間が過ぎた時
「ねえねえ、私のおじさん、個人タクシーしているから
親戚価格で頼めるかも?」
と奥様が私の方を向いてウインク。
毎日がハッピーな自然流。

「しかし、明日はクリスマス前の
3連休の日曜日だから
おじさんも稼ぎが落ちちゃうから
いやがるかもしれないよ」
とご主人様は尻込み状態。
「おじさんのお子さん3人とも男の子だから
いつも私を娘さんのように可愛がってくれてるの。
今でも私の頼みなら聞いてくれると思うわ」
と言いながら電話帳のメモを繰っている。
「それはそうだろうけど無理強いしてはだめだよ」
とご主人様は奥様の暴走だけは止めようとしている。
「OK、無理強いはしないのでご安心くださ~い」
と言いながら、奥様は電話番号がわかったので
さっそくおじさんに電話。
私は奥様の神通力が発揮できるように
100万ボルトの瞳パワーを
電話器に向かって発射!
毎日がハッピーな自然流。

電話がつながって
長いイントロが終わったところで
いよいよ本題に入ったみたい。
奥様のいつものトーンから
ちょっとハイトーンに切り替わって
かつ、ちょと甘~い声でおねだりしている。
しばらくするとこちらを振り向いてOKサイン。
その後、ご主人様は奥様とバトンタッチして
頭をかきながらフォロー。
やっと電話を切ってご主人様は
やれやれといった感じで私の頭をなぜなぜ。
奥様は私を高い高いした後
恒例のキッスをしてくれた。
往復の手段が確定したので
ご主人様はさっそくご自慢の
IMACとインターネット回線で
《ホワイト・イルミネーション》の情報検索。
さっぽろ大通公園の
1丁目~8丁目までの見所をメモっている。
毎日がハッピーな自然流。

奥様はラッキーの寒さ対策を検討しはじめた。
やっぱし冬の夜なので雪祭り以上に寒い。
そこで、以前買っていたフリースの茶色の生地で
ラッキーのコートをつくることに決定。
ともかく簡単に作らないと
明日の夜までに間に合わなくなっちゃうから。
ソファーで寝ている私を起こすために
わざとかりんとうをポリポリかじりだした。
この作戦が大当たり。
私の鼻レーダーが緊急作動。
かりんとうゲットの指令が脳に到達した瞬間に
起床ラッパが鳴り出した。
もうとまりません。
奥様の足元にサッとお座り。
奥様はニコニコしながら
かりんとうをすんなりくれちゃった。
アレッ、いつもはゲット難しいかりんとうなんだけど?
毎日がハッピーな自然流。

そのかわり、かりんとうを食べている間
首や胴の回りや首から尻尾までの長さを
メジャーで測られちゃった。
しかし、かりんとうには代えられません。
もっと頂戴サインのしっぽを
目一杯振ってアッピールしても
測った後はいつもの堅固な要塞に変貌。
「しまったな。こういう事だったら
いやいやポーズでもっと時間引き延ばし作戦を
実行すればよかったんだ」
しかし、なんとかかりんとう3個ゲットできたから
後は特技の寝るだけだ。
おやすみなさい。
奥様は、この後測定した寸法に今後の成長を考えて
プラスαしたサイズでフリースをカット。
カットしたところはバイアステープであて布をして
胸元2ヶ所にマジックテープで
止められるようにして完成。
毎日がハッピーな自然流。

さあて、翌朝は快晴だ。
お休みの日は私が一番早起きだ。
いつものようにご主人様と奥様の間から
ごそごそと這い出した。
居間で前足と後ろ足を目一杯伸ばして
ストレッチした後大きなあくびをするのが日課。
その後は、眠気がとれない日は
ソファーの一等地でもう一度お休み。
おしっこしたい時は
ベランダの戸を前足キックでガリゴリサイン。
これでもダメならワンと一声吼えるしかない。
だって、こればっかりは止めるわけにはいかないものね。
今日はお休みモードだから
ソファーの上でご主人様か奥様が起きてくるまで
お寝んねすることに決定。
ソファーのかどにあごをのっけて
今晩見る《ホワイト・イルミネーション》の夢を見ようっと。
毎日がハッピーな自然流。

朝から夕方まではいつものパターンで進行。
当然、私とご主人様のモーニングデートも
いつもどおり完了だ。
ご主人様は《ホワイト・イルミネーション》の
光のページェントを記録するため
デジカメのバッテリーとメモリーの空き状況を確認中。
奥様は魔法瓶にホットレモンティを入れたり
サンドイッチを包んだりしている。
そうこうしていると、プルルンと電話の呼び出し音。
奥様が慌てて受話器をとるとおじさんからだった。
ちょっと早かったけど入り口にきちゃったって。
ご主人様は撮影セットとインターネットから得た資料を
奥様は私のお散歩セットと魔法瓶と携帯電話と
サンドイッチの入ったデイパックを背負って出発進行。
毎日がハッピーな自然流。

マンションの入り口に着くと
黄色のタクシーが止まっている。
私たちがタクシーに近づくと
笑顔一杯のおじさんが運転席から降りて来た。
「よう、まりっぺ。元気みたいだな。
こいつがうわさのラッキー君か。
なかなか男前やね」
と私の頭をなぜなぜしながら奥様にご挨拶。
「おじさん、この前言ったでしょ。
ラッキーは女の子だよ。忘れないでね」
と、ちょっとふくれた顔をしてから
私の頭をなぜなぜ。
おじさんは「すまん、すまん。
ラッキーは女の子だったね。
そういえば、まりっぺと同じでかわいい顔してるね」
と大きな顔を私の顔の前に突き出して
一生懸命フォローしているよ。
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様とはまともなご挨拶をして
タクシーに乗り込んだ。
いつもは料金メーターが見えるんだけど
今日は貸切のカバーがかぶっている。
私と奥様はリアシート
ご主人様は助手席に座って出発だ。
札幌までは約10km。
おじさんはプロドライバーで腕前はピカイチなんだけど
私のために揺れないようにゆっくり運転してくれた。
札幌に着くまで
おじさんはご主人様に奥様の小さいころの
おてんば状態を克明にご紹介。
奥様は私を抱っこしているので
ところどころでピクッと反応していることが
伝わってくる。
その時はたいてい奥様の
男勝りのおてんば紀行を
おじさんが自慢げに話しているときだ。
毎日がハッピーな自然流。

30分ほど走ったら北海道庁前に到着。
ご主人様がおじさんにお礼を言って降りた後
奥様が
「おじさん、私の武勇伝しゃべり過ぎよ。
帰りは私の可愛い仕草を主人に披露してね」
とウインク。
おじさんも了解サイン代わりにウインク後
「そうそう、まりっぺは携帯電話持って来たかい?
一応9時にここで待っているけど
時間変更したかったらここに電話しておくれ。
お客さんを乗っけていなかったら
すぐにここにくるからね」
とありがたいサービス。
おじさんのタクシーから降りたら
めちゃ冷たい外気が私を襲ってきた。
くしゃみが2つもでちゃったのを見て
ペロッと舌をだして
「ごめん、ラッキーに
コート着せてあげるの忘れてた」と一言。
毎日がハッピーな自然流。

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