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札幌のラッキー(4月)

ラッキーは札幌で可愛がられているキャバリア犬。

私のご主人様は札幌に住んでるコンピュータ技術者。
奥様は美人のどさんこ娘。
住まいは手稲山の麓のマンションの5階。
ベランダから手稲スキー場が見渡せる。
ご主人様はコンピュータ相手の仕事なので変則勤務。
通常の日中勤務や、夜中の勤務、休日出勤などがあり
いつも体調維持に気をつかっている。
私は神戸のラッキーのお母さんの娘です。
神戸のご主人様と札幌のご主人様は昔の仕事仲間。
このご縁で札幌に養子縁組が決定してやってきた。
今は6ヶ月のやんちゃ娘。
しかしご主人様と奥様に可愛がられている幸せ者。
この一年のハプニングを日記帳でご披露するね。
毎日がハッピーな自然流。

冬のご主人様の日課のマンション前のラッセルも
4月に入ってからはなくなった。
真冬の起床時間からスプリングタイムになって
1時間体内時計が遅くなっている。
今日のご主人様の勤務は通常勤務。
奥様の味噌汁の具をきざむトントントンという音で
ご主人様が起きてきた。
私もストーブの前で手足伸ばしてストレッチ。
ご主人様は新聞受けから新聞を持ってきて
先ずはチラシの仕分けを開始。
スーパー・車・住宅メーカー・娯楽等に分類した後、
おもむろに新聞のヘッドラインから読み出した。
私の出番は奥様が食卓に朝食を運び出した時。
ただいまスタートラインで待機中。
毎日がハッピーな自然流。

ご飯の炊き上がったいい匂いがプ~ンと
私の鼻レーダーを刺激しだしたよ。
今までの経験値ではこの匂いの10分後に
奥様が朝食を食卓に運んでくる。
フライングしてキッチンに飛び込むと
「ラッキーだめ!」と怒られる。
ここはグッと我慢して食卓の脇で伏せのポーズ。
ご主人様の読んでいる新聞が
テレビ番組の最終ページになったので
そろそろ10分経過。
そのとたんに奥様がキッチンから
お茶碗やお箸や湯のみを運んできた。
次にお味噌汁や納豆や漬物等を運んできて
最後はポットと自動炊飯器を運んできた。
いよいよ私の出番。
奥様がいすに座った瞬間に
前足キックで私の朝食を催促。
毎日がハッピーな自然流。

奥様もなれたもので
前足キックをしたとたんに
手品師のように私の朝食をサッとだしてくれた。
今日の朝食は
PHコントロールドッグフードと玄米フレーク。
PHコントロールドッグフードはもうひとつだけど
神戸のラッキー母さんも同じものを食べているんだ。
私も我慢して食べて
母さんラッキーのように美犬になるんだもん。
最近は私の食べたい量の半分くらい
しかくれないから、アッと言う間に終了。
またまた前足キックで奥様に不満をアッピール。
すると手品師奥様が食卓の隅から
サッとキーウイ入りヨーグルトをだしてくれた。
やっぱし、我が家の奥様は手品師に違いない。
いやいや「奥様は可愛い魔女だったのです」
古いテレビ番組の見すぎかな?
毎日がハッピーな自然流。

私がトレードマークの耳に
ヨーグルトをつけながらデザートを食べていると
奥様がご主人様に
「今日は千歳にいる
学生時代の友達のところに行ってきます。
ひょっとしたら晩御飯までには帰って来れないかも。
おねが~い。
その時は晩御飯は一人で食べていてね」と
いつものおねだりポーズ。
甘~いご主人様は
「いいよ、ゆっくり楽しんでおいで」と寛大なお言葉。
「ところで、ラッキーは連れて行くのかい?」とご質問。
奥様はラッキーの事はコロッとお忘れだったようで
「あら、そうだわ。ラッキーがいたんだっけ。どうしようかな?
まだ子犬だから丸一日置いておく訳にもいかないわね」
ヤッタ!今日はお出かけだ。万歳。
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様がお出かけになった後
奥様は千歳のお友達に電話。
私を連れて行っていいかの確認みたい。
電話を切った後、ニコニコ顔で私を抱き上げて
「ラッキーは女神ね。ラッキーのことを言ったら
車で迎えに来てくれることになっちゃった。
ラッキー様々ね」
と言いながらキスされちゃった。
お友達が迎えにくる前に
食事の後片付けと洗濯とお掃除と大忙し。
いつもは午前中一杯を使ってする分量を
2時間ぐらいでしなくてはならないので
私がお邪魔虫にならにように
ストーブの前でウトウトウトと
朝寝する事に自分で決定。
奥様の作業が終了して化粧が終了する
グッドタイミングでお友達がやってきた。
毎日がハッピーな自然流。

奥様は自分の持ち物と
私の散歩用一式を入れた袋を両脇に抱えて
玄関でじっとしていない私に
散歩用の紐をつけようと悪戦苦闘。
お友達が見かねて
奥様の両脇の荷物を預かってくれたので
やっと出発準備が完了だ。
奥様がマンションの入り口のかぎをかけて
「フ~ッ」と一息ついたのをお友達が見ていて
「まりっぺは学生時代とちっとも変わっていないね。
だって、男の子の扱いは下手だったもんね」
とクスクス笑っている。
奥様は最初は意味がわからなかったみたいで
きょとんとしていたけど、急に大きな声で笑って
「リー。残念で~した。ラッキーは女の子。
旦那はきっちりコントロールできてるわよ」とウインク。
毎日がハッピーな自然流。

奥様のお友達の愛称は「リー」さんか。
今日一日お付き合いしないといけないので
お家に着くまでじっくり観察しなくっちゃ。
先ずは明るい性格みたいなので一安心。
マンションの前に行くと
かわいい真っ赤なジープが止まっている。
リーさんがドアを開けてくれて
奥様が助手席に座ったあと
リーさんが私を抱きかかえて奥様にバトンタッチ。
リーさんも運転席に座って出発進行。
4月にはいったので道路に雪はな~し。
しかし手稲山のスキー場はまだまだ真っ白で
4月の陽光でキラキラ輝いている。
リーさんの運転はちょっとだけ荒っぽいけど
テクニックはバッチリみたい。
毎日がハッピーな自然流。

車の中では昔の学生時代の話で
大変な盛り上がりだ。
奥様もリーさんもキャッキャッ言いながら
エンドレスの話の世界に突入。
私は最初は奥様とリーさんを
交互に見ながら愛想してたけど
これは無意味みたいとわかってからは
私は奥様のひざの上で寝ることに決~めた。
お休みなさ~い。
こういう時は私のような垂れ耳は便利だよ。
奥様とリーさんの60フォーン以上の騒音も
垂れ耳でしっかりカバーすると安眠可能状態の
20フォーン以下にできちゃうよ。
ちょっとウトウトしていると、途中のスーパーの
駐車場に真っ赤なジープを滑り込ませた。
あれ!トイレタイムかな?
毎日がハッピーな自然流。

リーさんが奥様に
「ちょっと待っててね。お昼のランチ買ってくるから」
と言ってスーパーに入っていっちゃった。
車が止まってドアが開いたから
外のまだまだ冷たい空気が車内に滑り込んできた。
この空気に触れたとたん
私も急におしっこがしたくなっちゃった。
奥様のひざの上でぐるぐる回っておしっこサイン。
奥様もすぐに気がついて
あわててジープから脱出して近くの草むらに突進。
草むらに着くやいなやトイレ開始。
奥様もこの光景を見て
やれやれセーフといった感じの安堵した顔で
ニコニコしながら私を見ている。
ついでに奥様もストレッチがわりに
私をつれて駐車場を一周してジープにご帰還。
毎日がハッピーな自然流。

奥様とジープにたどり着いてしばらくすると
リーさんが大きなスーパーの袋を
2つぶら下げて帰ってきた。
袋を後ろの席に置いて出発進行。
走り出すと奥様とリーさんの間から
後ろに置いたスーパーの袋から
いい匂いが私の鼻レーダーを刺激。
後ろをむいて鼻レーダーをクンクンさせていると
「ラッキー、今はおあずけね。
家に着いたらみんなで食べようね」
とリーさんがニコニコしながら奥様にウインク。
今度は奥様がこの様子を見ていて
「リーはやっぱし男の子の扱い方も上手だし
同性の付き合い方も慣れたもんね」
とウインクのお返し。
「そんなことないわよ。
やっぱしラッキーのほんわか癒し系の顔と
しぐさのおかげじゃない」と一言。
毎日がハッピーな自然流。

またまた奥様とリーさんとの
昔話バトルの後半戦の開始。
私は前半戦と同様に耳ふた作戦でお休みなさい。
小一時間ほどの後半戦が終了したのは
リーさんのお家の駐車場にジープを入れて
サイドブレーキを引いたときだった。
リーさんのお家は庭付きの一戸建て。
奥様はジープから降りて先ずは庭の観察だ。
奥様は私をうまく誘導して庭先へ。
リーさんが
「まりっぺ。早く上がってきたら」
と玄関から呼んでいる。
奥様も「ラッキーが庭を気に入ったから
もう少ししたら行きま~す。」
とうまく理由付け。
私も
「庭があったら紐なしでいっぱい走れるのにな」
と、庭を端から端まで走り回っちゃった。満足!
毎日がハッピーな自然流。

庭の観察が終了して玄関からお家の中に。
奥様に庭で走り回ってついた泥を拭ってもらって
応接間にはいると部屋中が暖かい。
暖炉風になったところにある大きな灯油ストーブが
赤々と暖かい遠赤外線を放出している。
リーさんが紅茶セットを持ってきたスタイルは
Tシャツにジーンズ。
4月といっても北海道は結構寒いけど
お部屋の中はTシャツで十分の暖かさ。
奥様もブラウスだけの軽装になっている。
私の本皮コートは脱げないけど
結構寒がりなのでストーブの前の
じゅうたんの一等地を確保。
さ~て、これからどうなるのかな。
延長バトルトークかお昼ごはん?
できたらお昼ご飯でありますように。
毎日がハッピーな自然流。

やはり、紅茶を飲みながらのペチャペチャタイム。
私は暖炉の前の一等地で寝ようかなと思ったけど
やっぱし暖炉の前は熱過ぎる。
温度的にいうと
奥様の座っているソファーの横がいいかも。
ちょっと遠慮がちに奥様の座っている
ソファーの横に座ると、リーさんが私をみて
「ラッキーがホットドッグにならないように
こちらにやってきたね」と奥様にコメント。
「そうみたいね。
次はきっとこのクラッカーとチーズの匂いで
私の前にお座りするわよ」と奥様のコメント。
奥様の予想は大的中。
鼻レーダーの匂いにつられて我慢できないよ。
私にもくださいなと奥様の前でお座りしちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

「さすがに飼い主ね。それであげるの?」
とリーさんのご質問。
「そうね。あげないと吼えるし
一度あげると止まらないしね」と奥様は思案顔。
「それじゃ、1個だけあげて
すぐにお昼にしちゃいましょう」と言って
リーさんはすぐにお昼の準備にとりかかる。
お昼の準備といっても
スーパーで買ってきたお寿司の盛り合わせと
赤だしとてんぷら盛り合わせを食卓に並べだした。
奥様は私にチーズとクラッカーを食べさせて
持参のラッキーのえさを
これまた持参の器に入れて準備OK。
リーさんと奥様が食卓についてお寿司を
食べ出したので得意の前足で催促キックをすると
先ほど準備した器をサッとだされて私の負け。
毎日がハッピーな自然流。

私の分はすぐに食べちゃったので
奥様に前足キックで催促。
しかし、奥様はしらん顔してリーさんとお話中
(いやいやお食事中)。
しかたがないのでリーさんにアタックしてみよう。
先ずはリーさんの足元に座って
熱~い視線の力でアッピール。
奥様だったら最近は効き目なし。
しかし、リーさんには効果あり。
「ところで、まりっぺ。
ラッキーにてんぷらあげてもいいかしら。
熱~い視線を感じて催眠術にかかったみたい」
と困った顔。
「いいわよ。そうなるかもしれないと思って
えさはいつもの半分程度にしたからね」と私にウインク。
な~んだ。奥様はこの事を察知してたんだね。
毎日がハッピーな自然流。

てんぷらをゲットした勢いで
リーさんに今度はお寿司をおねだりの
熱~い視線の催眠術を実行。
しかし、リーさんは奥様と昔話バトルに没頭中で
催眠術の効き目なし。
恐るべし昔話バトルパワー。
それではもう一段効き目アップの前足キック作戦だ。
ご主人様同様左利きのため
左前足でリーさんの足をキック。
これにはさすがのリーさんも反応。
「まりっぺ。今度はキック攻撃がきちゃったわ。
どうしようか?」と奥様にご相談。
「そうね、もうちょっとおなか一杯になると寝ちゃうから
私からドッグフードをあげるわ」と言って
器にドッグフードと玄米フレークを入れて私の前に。
残念、お寿司を食べてみたかったけどこれで我慢だ。
毎日がハッピーな自然流。

私はおなかが一杯になったので
奥様のご推察どおりソファーのところに行って
前足をあご置きにして安眠の世界に
ス~ッと入っていっちゃった。
ちょっと寝たかなと思ったら
奥様から「ラッキー、そろそろお邪魔するから
起きてちょうだい」と起床コールがかかったよ。
実際は大分寝たみたい。
ちょっと寝ぼけ眼で周りを見渡すと
リーさんが「ラッキー、ずいぶん長い間
熟睡してたね。いびきもかいていたよ。
おばさんのお家が気に入ったら
ずっといてもいいよ」
とありがたいお言葉を頂戴。
お庭やだんろも魅力的だけど
やっぱしご主人様に悪いので奥様と帰ろうっと。
帰りもリーさんの真っ赤なジープの送迎付きで
すばらしい一日が終了。
毎日がハッピーな自然流。

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