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農家のラッキー(梅雨)

ラッキーは和田山農家で可愛がられているキャバリア犬。

私は竹田家具で有名な和田山の農家の一員です。
おじいちゃんとおばあちゃん、ご主人様と
奥様とお兄さんと、サンダー父ちゃんと
エルザ母ちゃんと私の、5人+3匹の大家族。
田んぼと畑があって、農業のメインはおじいちゃんと
おばあちゃんと奥様だ。
ご主人様は、地元の佃煮・煮豆工場に勤めている。
工場がお休みの日と農繁期(田植えや収穫時)は、
ご主人様が力仕事で大黒柱として活躍。
今日は6月中旬の梅雨の日曜日。
いよいよ田植えのシーズンです。
こんな家族のひとときをこれからご紹介します。
毎日がハッピーな自然流。

6月は、シトシトと雨が降る蒸し暑い朝でスタートだ。
いつも通り奥様を先頭に朝の行事が始まるよ。
私もいつも通り一回起きた後、ウトウトウト。
天気の日の朝はポストレディの仕事があるんだけど、
6月はほとんどお呼び無し。
サンダー父ちゃんのお腹を足置きにして、エルザ
母ちゃんのお腹を枕にしたすごいスタイルで
寝ている場合が結構多いよ。奥様がご主人様に
「ラッキーのいびきはすごいわよ。親の名前の
サンダー(雷)を引き継いじゃったみたい」と
話していたよ。これは自慢してよいものやら。
まあ。似ていないって言われるよりもいいけどね。
毎日がハッピーな自然流。

今日は日曜日。たいていの日曜日は奥様だけが
ちょっと遅目の起床で始まるんだけど、今日は
いつも通りの早朝起床ラッパで活動開始。
奥様のいつものルート66号線のウォームアップも
終了して、味噌汁の具材をまな板の上でトントン
切っているリズミカルな音で、なんとお兄さんまで
起きてきた。これじゃ、雨が降るはずだ。
さあって。今日は何がはじまるのかな。
エルザ母ちゃんもサンダー父ちゃんもすでに
起きている。まだ高いびき状態は私だけ。
お兄さんが、私の頭をなでなでしてくれたので、
夢の世界から現実の世界へ戻ってきたよ。
毎日がハッピーな自然流。

今日は5人+3匹の全員集合での朝ご飯。
いつもは時差を活用した食事なので、朝ご飯が
夕ご飯の時のよう。なにかワクワクしちゃうな。
ご飯の食べ方はいつものスタイルでマイウェイ。
私はたらの干物とキーウィ入りヨーグルト。
おじいちゃんは食後の一服をテレビを見ながら
楽しんでいる。おばあちゃんは、いつも通りお茶に
梅干を入れて、同じくテレビを見ているよ。
お兄さんはテレビの内容が合わないので、いま一番
気になっているバイクの雑誌に集中。
ご主人様は日経新聞の難しい記事をチェック中。
奥様は桃の皮をむきながら、パックン中。
毎日がハッピーな自然流。

「さあて。今日は長い一日になるぞ。」
「さっそく準備開始しようか。」のおじいちゃんの
一言でみんな食卓を離れ出した。
いつもは、一番ゆっくりしているおばあちゃんを
選択するんだけど、今日はエルザ母ちゃんの
そばで様子眺めに決定。
エルザ母ちゃんにこっそり聞いてみると、
今日は田植えの日なんだって。
サンダー父ちゃんもエルザ母ちゃんも田んぼに
行くんだって。やった~。今日はラッキー一家の
大遠足。かけっこにどろ遊び、鳥を追っかけたり
知らないあぜ道の大探検。楽しみだな~。
毎日がハッピーな自然流。

奥様は朝食の後片付けをお兄さんと一緒にやって
いる。ご主人様は、おじいちゃんと一緒の作業服の
上にカッパと長靴のスタイルでミニトラクターの
後ろに田植え装置をつないでいる。
おばあちゃんは恒例のもんぺにはきかえて、お兄さん
と後片付けをバトンタッチ。お兄さんもおばあちゃん
にバトンタッチした後、ジャージに着替えて、ご主人
様とおじいちゃんのところへやってきた。
玄関先で長靴をはいてカッパをはおってから、
軽トラックに、苗床で育った苗を積んでいる。
奥様とおばあちゃんは、片付けが済むと、休憩やお昼
用のお茶やおにぎりやデザートの準備に入ったよ。
毎日がハッピーな自然流。

エルザ母ちゃんに「私達はこれからどうするの」と
聞いたら、「そうね。雨も少し降っているし、奥様が
出発するときにサンダー父ちゃんと田んぼに行くよ」。
ちぇ。大人はのんびりしてるんだ。
やっぱし、ちょっとでも早く田んぼに行きたいな。
こういう時は、お兄さんにごろにゃんするしかない。
玄関は荷物の出し入れのために開いているぞ。
手足伸ばしてストレッチ。あくび一発・ダッシュ。
お兄さんが苗床を積みこんでいる軽トラックの
そばで乗っけてコールの耳振りダンスでアッピール。
お兄さんも呆れ顔で苗床を置いてから、軽トラックの
開いている窓から私を助手席に座らせてくれた。
毎日がハッピーな自然流。

ミニトラに田植え装置の接続もすんだよ。
軽トラに苗床の積みこみもすんだよ。
鋤きやくわなどの道具も軽トラに積みこんで出発だ。
ミニトラはおじいちゃんがいつも通り超低速安全
運転で、先ずは出発だ。軽トラはご主人様が運転だ。
二人乗りの軽トラなので、私はお兄さんの膝の上で
出発進行。家の前の道路でミニトラを追い越して
即、田んぼに到着だ。お兄さんに軽トラから下して
もらったら、すぐにトイレがしたくなっちゃった。
さっそく田んぼのあぜ道のちょっと広いところで
グルグル右まわりのあとトイレを済ましてすっきり。
お兄さんは軽トラ内でラジオを聞いている。
毎日がハッピーな自然流。

トイレも済んですっきりしたので、ミニトラ到着前に
田んぼの状態をこっそり見に行こうっと。
水のはった田んぼにこっそり入ると、お腹が時々水に
浸かって結構冷たいよ。
足元はなんかヌルヌルして4輪駆動の私でも油断
すると滑りそうになっちゃう。
そうしていると、おじいちゃんが運転するミニトラの
到着だ。あ。お兄さんがなにか叫んでいる。
「ミニトラを田んぼに入れるのであぶないから
戻っておいで」。
そうだ。いつもおじいちゃんに言われていたっけ。
おじいちゃんに怒られる前に戻らなくっちゃ。
毎日がハッピーな自然流。

田んぼから戻ると、ご主人様とおじいちゃんが何か
相談しているよ。
お兄さんに田植えをやらせてみるかどうかみたいだ。
あ。お兄さんが呼ばれたよ。
やった。お兄さんがミニトラを運転するんだ。
しかし、ご主人様が運転席に乗っていったよ。
おじいちゃんが私を抱っこしてお兄さんと田んぼに
歩いていった.。ご主人様が馴れた手つきでミニトラ
を田んぼに降ろしてきた。
田んぼの端っこでミニトラを止めて、お兄さんに
説明している。そうか。これからがお兄さんの出番
なんだ。
毎日がハッピーな自然流。

私はおじいちゃんとあぜ道からお兄さんのデビュー
を応援することに決定。
先ずは、苗をセットせずにミニトラをまっすぐ動かす
練習だ。また、田んぼの端っこで田植え装置をリフト
アップして180度Uターンする練習も一通り実施。
最初ななかなか上手くいかなかったけど、30分も
すると上手くいくようになった。我が家のご意見番の
おじちゃんからOKサインがご主人様に出されたよ。
おじいちゃんも私を膝から下ろして、ご主人様と一緒
に苗を機械にセットする。
さあて。お兄さんの運転するミニトラが出発だ。
ちょっと蛇行しているが、まずまずの出だしだよ。
毎日がハッピーな自然流。

2年前までは、今の田んぼの3倍の広さがあったと
サンダー父ちゃんがいっていたよ。
しかし、おじいちゃんも歳をとってきたので、自分の
家で食べる分+αの田んぼの広さだけ残して、後は
売ってしまったんだって。だから、ちょっとぐらい
失敗しても大丈夫。おじいちゃんもお兄さんが
田植えをしてくれることがうれしいみたい。
私が見ているあぜ道に戻ってきて、「やっと後継者が
できたな」って私の頭をなぜながら、うれしそうに
ミニトラの姿を眺めている。
おじちゃんのうれしい時のボデーランゲージはあれ
しかない。そうそう・ピースの一服だ。プハ~。
毎日がハッピーな自然流。

ミニトラによる田植えはご主人様とお兄さんに
まかせて、おじいちゃんは苗の箱の1つを抱えて
変形のミニ田んぼの方に歩き出した。私もおじい
ちゃんの後ろからモンローウォークで付いて行く。
ミニ田んぼも田植えができるように水が張ってある。
そうか。変形の小さな田んぼなので、ミニトラが
使えないんだ。
ミニ田んぼのひとつにアンダスロー投手のように
苗を1束づつ放りこんでいくよ。
苗の根っこには土がついているので、上手い具合に
重しがついたように根っこから田んぼに着地する。
まるでお正月に遊ぶ羽子板の羽のようだ。
毎日がハッピーな自然流。

ちょうど投球が終了したときに、サンダー父ちゃんと
エルザ母ちゃんの先導で、奥様とおばあちゃんが
手押し車に食料や飲み物を一杯入れてやってきた。
おじいちゃんが「ラッキー、おばあちゃんのところに
いきな。きっとおいしいものをもらえるよ」と教えて
くれた。それはえらいこっちゃ。
トレードマークの耳をばたつかせてダッシュ。
サンダー父ちゃんとエルザ母ちゃんは、私と
入れ替わりにおじいちゃんのところへ走っていった。
あれ。おじいちゃんのところの方になにか良いことが
あるのかな?まあ。いいや。おじいちゃんの言葉を
信じておばあちゃんにおねだりしようっと。
毎日がハッピーな自然流。

奥様とおばあちゃんが軽トラの荷台のキャンバス
屋根を開いて、急ごしらえの屋台をセット。
そこに、手押し車で持ってきたポットやバスケット、
手ぬぐい、コップなどをならべている。
おばあちゃんの足元で、おねだりキックをすると、
「やっぱしラッキーが一番目のお客さんだね。
来店第一号の記念にクッキーサービスしちゃおうか」。
と言って、奥様手作りのクッキーを咥えさせてくれた。
バターの匂いがプ~ンと鼻をくすぐるよ。
やった~。おじいちゃんの言うとおりだったよ。
サンダー父ちゃんたちは、ミニ田んぼでおじいちゃん
のお手伝い(お邪魔虫)をしているよ。
毎日がハッピーな自然流。

奥様とおばあちゃんの手作り屋台が完成。
朝からの雨もほとんどあがってきた。
おばあちゃんが田んぼの方を指差して奥様になにか
言ってるよ。「ほら、みてごらん。お兄ちゃんが
トラクターを運転しているよ。上手いもんだね」。
奥様も最初はびっくりしたような顔で見ていたけど、
「お兄ちゃんもやっと一人前になったんだね」。って
ちょっと自慢顔に変身だ。こんなチャンスは滅多に
ないよ。奥様にもおねだりキックしてみよう。
やった。やっぱし奥様も上機嫌。私の大好きな
チーズを屋台メニューからつまんで私の口にポイ。
これもお兄さんがミニトラを運転しているおかげ。
毎日がハッピーな自然流。

ミニトラでの田植えも一段落したので、ご主人様と
お兄さんが屋台にもどってきたよ。
おじいちゃんとサンダー父ちゃん・エルザ母ちゃんも
戻ってきたよ。
さあ。これから今日一番の楽しみのお昼ご飯タイム。
軽トラに積んである蛇口付き水タンクで、顔と手を
洗ってから、それぞれ好きなものを屋台から選んで、
軽トラの運転席や荷台のはたでぱくついている。
ラッキー一家は、いつも使っている金属の器に
ドライフーズと鳥のささみを混ぜたエサを入れて
もらって、荷台のそばでぱくついている。
いつもは、お昼はダイエット中だけど、今日は特別。
毎日がハッピーな自然流。

さあて。お昼タイムも終了してそれぞれの残りの
仕事の再開だ。メインの田んぼのミニトラ田植えは
終了だ。ここからはご主人様の出番だよ。
あぜ道までの間でミニトラをひっくり返して
しまうと大変だ。隣の土建屋さんのパワーシャベルで
引っ張り上げてもらわないとあがらない。
ご主人様が上手にミニトラを操縦してあげてきた。
お兄さんの仕事もこれで終了かと思ったら、
ミニトラでしっかり植えられなかったところの苗を
もう一度しっかり植えなおす作業があるので、
ご主人様と一緒にメインの田んぼにでかけたよ。
やっぱし最後は人の手がいるんだね。
毎日がハッピーな自然流。

おじいちゃんとサンダー父ちゃんとエルザ母ちゃん
は、もう一度変形ミニ田んぼにお出かけだ。
奥様とおばあちゃんも後片付けした後、変形ミニ
田んぼにおでかけだ。
私もおばあちゃんについていこうっと。
奥様もおばあちゃんも苗をなれた手つきでピョン・
ピョンとアンダースローで投げている。
しかし、投げているところはみんな違うところ。
ミニ田んぼはそれぞれ担当が決まっているんだって。
エルザ母ちゃんが、「ラッキーはどの田んぼの担当
するの」と聞いてきたので、「やっぱし、おばあ
ちゃんの田んぼ」と即答しちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

苗を投げ終わったら、長い棒をミニ田んぼに渡して
おじいちゃん、奥様・おばあちゃんの順番に一列に
なって、苗を植え出した。一列の苗が植わると両端の
おじいちゃんとおばあちゃんが長い棒を手のひら
程度後ろにずらしてまた植え出した。
ラッキー一家は、まだ田植えしていないミニ田んぼで
バチャバチャどろを跳ね上げながら鬼ごっこ開始。
これがたまらないんだな。鬼が私のときは、エルザ
母ちゃんがターゲット。サンダー父ちゃんはどろの
なかでもすばしっこいのでつかまらない。だけど、
エルザ母ちゃんはぽっちゃり型なので、どろの中
では、私といい勝負。
毎日がハッピーな自然流。

おじいちゃんとおばあちゃん担当の田植えが終了。
最後は奥様担当の田んぼの田植えが始まった。
ラッキー一家の遊び場もなくなっちゃった。
しかたがないので、次はラッキー一家で未知のあぜ道
探検にいくことにした。ここはやっぱしサンダー
父ちゃんが先頭だ。いままでのテリトリーはだいたい
半径百メートルのあぜ道だったけど、今日は三百
メートルほど先のクランの家の田んぼまで遠足だ。
クランはハスキー犬でサンダー父ちゃんの友達だ。
サンダー父ちゃんの鋭角鼻レーダーを活用して
間違いなしでクランの家の田んぼに無事到着だ。
しかし、クランのお家の田植えは終了しちゃってる。
毎日がハッピーな自然流。

しかたがないので、Uターン。帰りはエルザ母ちゃん
の先導で、私・サンダー父ちゃんの順番だ。
きっと遠くで眺めると、Mの字のようなデコボコ
トリオになっているんだろうな。
変形ミニ田んぼに到着すると、おじいちゃんも
おばあちゃんも奥様もちょうど田植えが終了した
ところで、腰をトントンたたいているところ。
さあ。みんなで軽トラの屋台に帰ろう。
ご主人様とお兄さんはすでに戻って、おいしそうに
コーヒーを飲んでいる。
おじいちゃんは手と顔を洗ったら、さっそくピース
を親指でトントンさせてから一服だ。プハ~。
毎日がハッピーな自然流。

奥様もおばあちゃんも手と顔を洗ってからおかきを
つまみながら昆布茶を飲んでいる。
ラッキー一家もどろ遊びをしたので、体中ドロだらけ。
ちょっとドロがかわいてきたので、バリバリ状態だ。
ちょっと気持ち悪いけど、やっぱしみんなと一緒に
おいしいものがたべたいな。
奥様に前足キックのおねだりコール。
「あ。そうそう。ラッキー一家もがんばったから、
今日はキーウィ入りヨーグルトを容易してるわよ」
といって、ラッキー一家分のヨーグルトをいつもの
器にセットしてくれた。
やっぱし、遊んだの後のデザートはたまりません。
毎日がハッピーな自然流。

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