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ラッキーの日記帳 ラッキーの花見

【ラッキーの日記帳 ラッキーの花見】
ラッキーは神戸の団地に住んでいるキャバリア犬

ラッキーは神戸王子動物園近くの団地の
ご夫婦の家庭で可愛がられているキャバリア犬
ご主人様と奥様は2年前にご結婚
私は1年前にやってきた
今日は4月の第一日曜日
いつも日曜日はゆっくり起床の奥様が
なぜか今日は早く起きてきた
ご主人様だけの早起きはたいていゴルフ行き
お仕事だったらご主人様も一緒に起きてくる
しかし今日は奥様が早く起きてきた
奥様は着替えと洗顔、お化粧をしてキッチンに直行だ
私のDNAにはこのパターンは未登録
リビングで様子を見るしかしかたがない
毎日がハッピーな自然流。

いつもはコーヒーとトーストの香ばしい香りが
キッチンからジェットストリームのようにやってくる
しかし今日はご飯の炊きあがった蒸気がプ~ン
奥様の行動もいつもとちょっと違っている
鼻歌まじりでキッチンを楽しんでいる
私の好奇心旺盛のDNAが騒ぎ出した
キッチン探検に行ってみよう
いつもはトーストや目玉焼きをお皿に並べるのに
今日はお弁当を流しの横に出している
ヤッター、きっと今日は遠足だ
奥様の足に「ご来店の合図」の前足ゴリゴリサイン
奥様もニッコリ微笑んで「わかったサイン」のご返礼
毎日がハッピーな自然流。

奥様は私の朝ごはんの合図とちょっと勘違い
慌てて大好物の「タラの干物」を冷蔵庫から取り出した
本当は奥様にだっこしてもらって
キッチンの様子を見たかっただけなんだけど
しかし大好物を出されては「据え膳くわぬは・・・」
自然と尻尾を振ってお座りしてしまっちゃった
まあ、いいか。 食べながら見学としゃれこもう
奥様は私がおとなしくなったのを確認して作業続行
先ずはだし巻き玉子焼き
おだしと卵を溶いたのを四角いフライパンで
少しづつ焼いていく
洋菓子のバウムクーヘンの要領だ
見ているだけで生唾ゴックン、早く食べたいな
毎日がハッピーな自然流。

次は炊きあがったご飯を炊飯器から取り出した
熱さましのためにおひつに移して食卓に一時避難
次は冷蔵庫からウインナをとりだした
ウインナの端から縦に十字の切り込みを入れていく
それをフライパンで焼いていくと
タコの八ちゃん風のウインナ焼きができあがり
ついに我慢できなくなっちゃった
前足ゴリゴリサインでアッピール
奥様も味見と称してパックリしたところなので
ふうふうしてくれておこぼれゲット
もっともっと欲しそうな顔していたのかな
だし巻きたまごの端っこもいただいちゃいました
まだまだ続くキッチンバトル
毎日がハッピーな自然流。

次は骨付チキンの唐揚げだ
下味を付けた骨付チキンに片栗粉を付けていく
私はまたまた生唾ゴックン状態で
たまらず奥様の足に前足キックで催促アッピール
奥様ビックリして片栗粉の入れ物がバターン
天から雪が降ってきた状態で私は白熊に大変身
この音と奥様の悲鳴でご主人様が起きてきた
ご主人様は私の格好を見て大笑い
私もびっくりしてご主人様に助けを求めてジャンプ
ご主人様がいつもの癖で私を抱きしめてくれた
私はうれしくて体全体でブルブルブル
この一撃でご主人様も白髪老人に大変身
今度は奥様がこの光景を見て大笑い
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様と洗面所に避難。 まずはご主人様の若返り
濡れタオルで頭ごしごし、パジャマを脱いで
Tシャツとジーンズに着替えて、ハイ・ヤングマン
お次は私の順番です
ご主人様と同様に濡れタオルで頭と体をごしごし
ハイ・いっちょあがり。 ヤングレディ
私のおめかしの手伝いが済んだご主人様は
いつもの歯磨き、洗顔、ひげそりコース開始です
私はすごすごキッチンへ引き返す
奥様怒っているだろうな
こっそり顔だけキッチンにだすと奥様から一言
「ラッキー、ビックリしただけだから大丈夫よ」
ヤッター、奥様怒っていなかった
毎日がハッピーな自然流。

今度はいよいよ唐揚げだ。 奥様からご主人様へ
「油使うからラッキー頼みます」のご伝言
ご主人様がとんできた
「ラッキー、今度は危険だからリビングにおいで」
リビングで新聞を見ながらダジャレ一発
「前は白熊で済んだけど、今度はホットドッグに
なっちゃうからな」
関西人特有のなんでもダジャレを言わないと収まらない
キッチンからきちんとチキンの唐揚げのにおい
キッチン、きちん、チキンの掛詞
ほんとに関西人はダジャレがお好きで困ったワン
こっそり見に行くと奥様いつもの味見中
目と目が合っておこぼれまたまたゲット
毎日がハッピーな自然流。

次は食卓で冷ましていたご飯を使っておにぎり作り
1つ目は、梅干を入れたおにぎり
2つ目は、ほぐした鮭を混ぜたおにぎり
3つ目は、いかなごのくぎ煮を混ぜたおにぎり
4つ目は、わさび漬を入れたおにぎり
数はそれぞれ3個づつ。 3個の理由は
ご主人様と奥様と私の分ではないんだよ
ご主人様2個と奥様1個の分配は体重に比例です
メインディッシュの用意の後はデザートの用意
キーウィとイチゴと大きなみかん
キーウィは皮をむいて輪切りにして
イチゴは洗ってへたを取って
みかんは外皮と内皮をむいてタッパーへ
外ですぐに食べられる準備万全
毎日がハッピーな自然流。

最後は飲み物の用意です
冷たいウーロン茶をハンディ魔法瓶に移し替え
後はご主人様の一番の楽しみの酎ハイ2缶
去年までは飲み物といえばビールだったのですが
ちょっとでもダイエットのために酎ハイに変更とか
私も最近ファットになってきたので
ご主人様を見習って酎ハイにしようかな
おっと、私は犬でした
最近はご主人様と奥様に大事にされているので
「犬」を忘れていました
お昼の準備はできました
さ~て、どこへ連れていってくれるかな
場所はどこだっていいんだよ
みんなでお外に出かけられるのならね
毎日がハッピーな自然流。

奥様から準備OKのサイン
「ラッキー、散歩行くぞ」とご主人様から
いつもの散歩の時のうれしい一言
どうも遠足ではなさそうだ
しかし奥様はキッチンで作った
お弁当やら魔法瓶をバスケットに入れて
一緒に持っていくみたい
どこか知らないけど散歩に行けるんだ
グルグル回りとトレードマークの耳をばたつかせて
サンキュー気分を目いっぱいボデーランゲージ
ご主人様がドアのカギをしている隙に
団地の階段を右回りに一気に駆け下りる
1階で後ろを振り向くとご主人様と奥様が
手をつないでニコニコしながら降りてくる
毎日がハッピーな自然流。

1階で散歩の時のたすきと紐を付けてもらう
いつもは坂を上がっていくんだけど
今日は駅の方にくだっていくよ
いったいどこにいくのかな
きつい坂を下ったところに王子体育館、テニス場
王子動物園、王子陸上競技場がある
それらの施設の東側に川が流れている
その川沿いには桜が満開です
ご主人様と奥様は手をつないで川沿いを散歩
時たま立ち止まって桜をバックに写真撮影
ご主人様が写される時は
照れ隠しに必ず私を抱いて写真撮影
私もすましてハイポーズ
私のポートレートも撮ろうとご主人様は悪戦苦闘
なにせ四足でじっとしていない困ったちゃんなので
毎日がハッピーな自然流。

王子陸上競技場の川沿いでは多くの人が宴会中
そうか、奥様は花見の宴の準備をしていたんだ
花見は私たちだけでするのもいいけれど
やっぱし多くの人の宴のそばで
和気あいあいと楽しむのが一番
あんまり品の良くないのも困るけど
どこかの老人クラブの宴会と思われる宴のそばに
ご主人様たちもビニールシートを広げたよ
いよいよお待ちかねのラッキー一家のお弁当タイム
ご主人様はさっそく酎ハイ缶をプシューと開けて
おいしそうに飲んでいる
左手にはつまようじに突き刺したタコ型ウインナー
奥様はおにぎりに味付け海苔を巻いてパックン
私は大好きなタラの干物にかぶりつく
毎日がハッピーな自然流。

タラの干物を一匹たいらげて上を向くと
青空をバックに白い雲が流れ
ピンクの桜の花が揺れている
突然いっぱい桜の花びらが降ってきた
振り向くと悪ガキが桜の木をゆすっている
奥様はあわててご自慢の料理に
ほこりが入らないように体で覆ったので一安心
隣のおじいちゃんが「ダメダメ」コールで一段落
隣のおばあちゃんがご主人様になにか謝っている
どうもお孫さんのようだ
ご主人様も奥様もニコニコして対応していたよ
隣のおばあちゃんが私を呼んでいる
行ってみると甘いおまめさんをたくさんくれた
これなら悪ガキにお礼をいわなくちゃ
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様のドリンクタイムが終了して
お食事タイムにスライドだ
私もランチタイムにならないかな
奥様に得意の前足ゴリゴリおねだりサイン
マリックの手品よろしくビーフジャーキー3本を
マットの下からだしてきたよ
さすがに奥様、私の行動お見通し
隣の宴会ではカラオケが始まった
さっきのおじいさんがご主人様を勧誘中
おっと、出演交渉成立だ
ご主人様の唯一のレパートリーの
「愛しのエリー」がカラオケにあったのかな
いつもは「エイコ」に歌詞を変えるのですが
さすがに今日は・・・
毎日がハッピーな自然流。

拍手喝采で意気揚々とご主人様がご帰還だ
奥様もちょっと照れながら拍手拍手
もうひと缶の酎ハイをプシューと開けて超ご機嫌
隣の悪ガキがやってきた
奥様に私の事を聞いている
「この犬なんていうの」
「ラッキーというのよ」
「かまへん」
「だいじょうぶよ」
あんがい怖がりなんだ
ちょっとおどかしてみたかったけど
頭なぜなぜの先手を打たれたので
DNAが尻尾を振っちゃった
しかし、ちょっと油断したら
トレードマークの耳を持たれて
ぎゅうぎゅう引っ張られちゃった
それでも「超かわいい」と言ってくれたので
またまた自然に尻尾を振っちゃった
毎日がハッピーな自然流。

悪ガキが隣に帰ったのでホッと一息
奥様たちもデザートタイムになっていた
私は変わった犬
デザートの中でもイチゴが大好き
奥様も心得ていて
キーウィとみかんは2包みしかないけど
イチゴは3包み用意
おにぎりと違って体重比例配分じゃないよ
私の分もいっぱい用意してくれている
しかし半分サイズしか食べないので
奥様は私の分は半分に切ってくれている
やっぱし私の奥様だ
いやいやご主人様の奥様だ
私のイチゴの包みの中に桜の花びらが舞い込んだ
イチゴと一緒に食べてみた
においは良いけれど紙を食べているみたい
やっぱし桜は観るものだ
毎日がハッピーな自然流。

デザートを食べておなか一杯になっちゃった
おなかが一杯になると催眠術のような眠気が・・・
睡魔と戦いながら奥様のひざの上になんとか到着
春のポカポカ陽だまりと奥様のぬくもりで
いっきに夢の中
ウトウトしていると何かお鼻をくすぐるいい匂
薄目を開けて確認すると
ご主人様と奥様がこっそりたこ焼きを食べてるよ
たしかキッチンでは作っていなかったと思うけど
お船のような入れ物から
ソースとかつお節で味付けした
アツアツのたこ焼きをつまようじに突き刺して
ご主人様が奥様の口に運んでいるよ
ここで起きてはダメダメ
寝たふりラッキーでいい子しよう
食べるの早く終わってね
我慢も長い時間は無理だよ
毎日がハッピーな自然流。


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