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【農家のラッキー(夏)】

<<<農家のラッキー(夏シリーズ)>>>

ラッキーは和田山農家で可愛がられているキャバリア犬。

私は竹田家具で有名な和田山の農家の一員です。
おじいちゃんとおばあちゃん、ご主人様と
奥様とお兄さんと、サンダー父ちゃんと
エルザ母ちゃんと私の、5人+3匹の大家族。
田んぼと畑があって、農業のメインはおじいちゃんと
おばあちゃんと奥様だ。
ご主人様は、地元の佃煮・煮豆工場に勤めている。
工場がお休みの日と農繁期(田植えや収穫時)は、
ご主人様が力仕事で大黒柱として活躍。
今日は8月中旬のお盆休み。
神戸からけんちゃん家族とお友達が夏休みで集合中。
楽しい楽しいお盆休みの一時を紹介します。
毎日がハッピーな自然流。

今日は神戸からけんちゃん一家がやってくる日だ。
けんちゃんはご主人様の弟さんのお子さんだ。
毎年お盆と正月はけんちゃん一家がやってくる。
私はけんちゃんと会うのは今回で2回目だ。
1回目は今年の正月にやってきた。
けんちゃんは一人っ子の小学5年生。
お兄さんとはちょっと歳が離れているので、
ラッキー一家が総出でお相手したのを思い出すよ。
しかし、私は生まれて半年ぐらいだったので、
しっかりと覚えていないんだ。
しかし、馴れてきたら結構レスリングごっこなんか
させられたのを思い出しちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

いつものように奥様の早朝起床で始まった。
外はすでに明るくなっている。
私も、野生本能で今日から2日間の楽しい集団生活の
始まりを感じて早起きしちゃったよ。
なにかうきうきしちゃうんだ。
奥様が玄関にいったぞ。よ~し。今日は郵便配達を
率先実行しちゃうぞ。660ccの軽自動車だけど
ターボチャージャー全開でダッシュ!
奥様は私の足音を聞いて、びっくり顔で振り向いた。
「ラッキー。今日は早起きね。はい、新聞よ。」
パクっと新聞を加えて忍者のようにスタスタスタ。
実際はちょっとファットな体をドタドタドタ。
毎日がハッピーな自然流。

おっと。新聞を咥えてお茶の間に行ったけど、
肝心のご主人様はまだ夢の中。
しかたがないので新聞を座布団の上に置いといて、
エルザ母ちゃんとサンダー父ちゃんの間に逆戻り。
エルザ母ちゃんのお腹に顔を埋めたとたんに
催眠術にかかっちゃったみたい。
上まぶたと下まぶたが握手しだしちゃった。
やっぱし、本物の犬毛枕は最高だ。
うとうとしていると急に枕が動いて頭がゴトン。
薄目を開けて状況確認すると、エルザ母ちゃんと
サンダー父ちゃんが食事の時の所定場所に移動中。
えらいこっちゃ。急がないとラマダンになっちゃうよ。
毎日がハッピーな自然流。

ちょっとだけウトウトしたのかと思ったけれど、
結構寝てたみたい。すでに全員集合状態だ。
寝ぼけ眼でトコトコおばあちゃんの横の所定の
場所に到着して、大あくび一発。
おばあちゃんが「ラッキーはいつもおねむ状態だね」
と、頭をなぜなぜしながらお爺ちゃんにぼそぼそ。
それを聞いた奥様が「今日はラッキーすごく早く
起きてきて新聞配達したからしかたないね」って
ニコッと笑いながらフォローしてくれた。
ご主人様も「そうか。座布団の上の新聞はラッキーが
とってくれたんだね。これからも頼むよ」。
いつもは低い鼻がちょっとだけ高くなっちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

朝ご飯が済むとご主人様が一言。
「今日、神戸のおじさん達がお昼前にくるよ。
今年はけんちゃんの友達もくるので、みんな
お相手と準備作業たのむよ。」
さっそく担当作業の配分だ。
奥様とおばあちゃんはいつもどおり炊事当番。
お兄さんは夜の花火担当。おじいちゃんは畑の
収穫手助け担当。ご主人様はたんぼの体験作業の
担当。そして、ラッキー一家は全てのシーンで
登場するけんちゃん達のシークレットサービス。
今日もお外は快晴だ。油蝉がやかましく鳴いている。
さ~て。暑いけど、がんばらなくっちゃ。
毎日がハッピーな自然流。

さっそく炊事当番が活動開始。先ずはお昼ご飯。
やっぱし姫路に近いので「揖保の糸」で有名な
そうめんだ。普通は氷を入れたガラスの器に入れる
のだけど、けんちゃんとお友達のために「そうめん
流し」をするんだって。
この仕掛けのためにおじいちゃんとお兄さんが隣の
竹やぶから竹をもらって帰ってきた。
竹を半分に割って、間の節をノミでとっちゃった。
両側に大きめのおなべと中くらいのおなべを針金で
くくりつけてセット完了。さっそくテスト開始。
大きめのおなべ側からお水と一緒にゆでたそうめん
を流してみた。ゆっくりと流れてバッチリOK。
毎日がハッピーな自然流。

1ラインのテストが済んだので、完了したラインの
横に、もう1ライン増設した。なるほど、友達の分
を追加して鉄道の複線化完了。
やっぱし真夏なので、おじいちゃんもお兄さんも
汗びっしょり。おじいちゃんは顔を洗った後、大好物
のピースで一服。お兄さんはテストで使った氷を
ガリゴリほおばっている。私も見ているだけで暑く
なったので、お兄さんに前足キックでおこぼれサイン。
お兄さんも私の暑がりを熟知しているので即OK。
二人でガリゴリ、口の中でのかき氷サウンド。
奥様もこれを見て、横からヒョイと氷のつまみ食い。
トリオでガリゴリ、まるで筑波山ろく合唱団
毎日がハッピーな自然流。

あ、玄関先でクラクションが遠慮気味になったよ。
けんちゃん達がやってきたのかも。
サンダー父ちゃんもエルザ母ちゃんもスクランブル
発進。私もアフターバーナー全開で急発進。
見なれないワゴンカーがお庭に入っている。
ご主人様がなつかしそうにおじさんと話してる。
1ヵ所の窓からけんちゃんとお友達が首を出してる。
おばさんはさっそく後のドアを跳ね上げて荷物を
とりだしている。サンダー父ちゃんがご挨拶の
一声・ワンに答えてけんちゃんとお友達が降りてきた。
私は早速お友達にご挨拶。こわごわ頭を撫ででくれた
ので、目一杯尻尾を振ってご返礼。大丈夫みたい。
毎日がハッピーな自然流。

奥様とおばあちゃんもおばさんと挨拶中。
お友達が「この犬なんて言うの」とけんちゃんに
たずねている。けんちゃんがラッキー一家を紹介。
まるで自分の愛犬のように性格の解説付きだ。
サンダー父ちゃんは「力持ちで賢くて頼りになる犬
だけど、お腹をさわるとかまれるかもしれないよ」。
エルザ母ちゃんは「やさしい犬だからたいていの事
ではおこらないよ。翔はエルザと遊んだらいいよ」。
ラッキーは「こいつはぼくの子分みたいなやつや。
前の正月にレスリングしたりして遊んでやった」と
説明付き。そうかな。でも、大好きなけんちゃんと
遊べるならしかたないか。この説明、合格!
毎日がハッピーな自然流。

お友達は「翔」君といってけんちゃんのクラス
メート。お兄さんも手伝ってけんちゃん一家の
荷物をお家に移動中。けんちゃんと翔君は田舎の
雰囲気を味わいたいと、今は使っていない納屋の
2階で今晩寝るんだって。おじさんとおばさんは
お家の2階で寝る予定。さて、ラッキー一家は
どこに寝るはめになるのでしょうか?
まあ。夏だからどこでもOKだけどね。
荷物の搬入が無事終了。けんちゃんは早速探検開始。
翔君と一緒に庭の井戸を見つけた。ロープの先に
バケツが結んであって、水を上手くすくって引っ張り
上げると、冷たい水が上がってきておおはしゃぎ。
毎日がハッピーな自然流。

お昼になったので冷やしそうめんでランチタイム。
おばあちゃんとお兄さんでそうめん流しの開始。
けんちゃんと翔君は縁側の特設ステージで準備完了。
おばあちゃんが流す役。ゆがいたそうめんを
少しずつ2連の竹製パイプに流していく。けんちゃん
と翔君はお箸をパイプの中ほどにセットして
すくっていく。失敗したのは下のおなべにたまるので
それをお兄さんが金魚すくいの網のようなもので
救いとっておばあちゃんに渡していく。
何回か行ったところでお兄さんからストップサイン。
下のなべに水が一杯になったので、計量カップで
お庭にすてるため。
毎日がハッピーな自然流。

そうめんのお昼ご飯が終了したので、これから
けんちゃんと翔君は夏休みの宿題用に田んぼの
薬撒きに挑戦するんだって。
このメイン担当はご主人様、今は小さな田んぼになっ
たのと、ほとんどが自家使用として栽培しているので、
無農薬で育てているんだけど、今回は昔使っていた
散布機を使って体験してもらうんだって。
軽トラックの荷台に散布機とけんちゃんと翔君、
それにラッキー一家が乗っていざ出発。
こんなところを警官に見つかったら定員オーバーで
えらいことになっちゃうよ。しかし、けんちゃんや
翔君は荷台に初めて乗ったので大ご機嫌。
毎日がハッピーな自然流。

ほんのちょっとのオープンカードライブが終了して、
たんぼの端に到着だ。サンダー父ちゃんとエルザ
母ちゃんはひょいと荷台から飛び降りた。
ぼくも飛ぼうと思ったけど、ご主人様の高所恐怖症を
引き次いちゃって、やっぱし怖い。
荷台の上でうろうろしていると、けんちゃんが
「怖がりラッキーやな。おいで」って言って
降ろしてくれた。やれやれ。無事に地球上に到着だ。
ご主人様は荷台から散布機を降ろして準備中。
今回はけんちゃん達に体験さすのが目的なので、
散布機の中に、水道水だけをセット。
これでどじっても怪我や農薬中毒になる事がない。
毎日がハッピーな自然流。

さあて、いよいよ体験農業の始まりだ。
先ずはご主人様が散布機の使い方のお手本を披露。
散布機を背負って、腰のあたりのポンプノズルを
上下にポンピング。すると、左手に持っている消火
ノズルみたいなホースの先から霧状の水が噴出した。
本当は、水のかわりに農薬が噴出すのだけど。
さあて、いよいよ本番だ。先ずはけんちゃんがトライ。
ご主人様が本当の農薬散布と同じにするために、
けんちゃんに大き目のメガネとマスクをさせて、
頭にはこれも大き目の麦わら帽子をかぶらせる。
又、風の方向をけんちゃんに教えて、風上の方から
撒くように指導。けんちゃんの農薬散布が始動した。
毎日がハッピーな自然流。

さあて、シークレットサービスのラッキー一家と
しては、それぞれの担当をきめた。ぼくは当然
けんちゃん。エルザ母ちゃんは翔君。サンダー
父ちゃんは両方だ。早速サンダー父ちゃんとぼくが
けんちゃんの後をすけさん・かくさんよろしくお伴。
けんちゃんの様子を見てると結構しんどそう。
田んぼの右の端から左の端まで行ったら、ご主人様
のところに戻っていった。マスクを取って一言。
「おじさん、暑いし重たいし、田んぼに足取られるし、
ごっついしんどい。翔、交代や。」
おじさんは「そうやで。結構しんどいやろ。しんどい
事がわかってくれたら万万歳や。次は翔君行こうか」。
毎日がハッピーな自然流。

翔君も完全武装でトライ。翔君はクラブで柔道を
やってるんだって。けんちゃんは今流のスリムタイプ
だけど、翔君はずんぐりむっくりで骨太タイプ。
完全武装の姿が良く似合う。今度はエルザ母ちゃんと
サンダー父ちゃんがお伴中。
翔君は2往復ぐらい出来るかな?と思っていたけど
けんちゃんと同じく右から左に一回トライして、
すぐに引き返してきた。「おじさん。やっぱし暑いし
重たいし、単純作業なので大変。ラジオかカセットで
音楽でも聞きながらでないとずっとは無理ですね。」
ご主人様もにこにこしながら、「そういえば、昔は
携帯ラジオ聞いていた。ごめん。忘れていたよ。」
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様がけんちゃんに「散布機もっとする?」と
聞くと、けんちゃんと翔君がヒソヒソ。
「おじさん。散布機体験は、これで十分です。
そばの用水路で遊んでもいいですか。」
おじさんも「そうくるやろなっと思って、バケツと
網を車に積んできたよ。ただし、田んぼ側の用水路
だけで遊ぶんだよ。道路側の用水路は深いので
危ないから。又、田んぼの中で遊ぶんだったら
おじさんの田んぼだけだよ。向こうの田んぼは
他人のだから、ごちゃごちゃにしたら怒られるよ。」
「それと、あそこに見える小学校の時計が3時に
なったら帰ってくるんだよ。」
毎日がハッピーな自然流。

ご主人様はお先に退散。さあて、ラッキー一家と
けんちゃん達は、これからが遊びの本番だ。
早速、田んぼの中に入ってげんごろうやタニシを
とったり、用水路で小さな魚をおっかけまわしたり、
石で堤防を作ってお魚用の簡易プールを作成したり。
ラッキー一家もけんちゃん達と一緒に田んぼや
用水路でおおはしゃぎ。
こっちの目的は、水遊び。暑い暑い真夏の炎天下では、
水遊びが最高の娯楽。
シークレットサービスそっちのけ。
からだはドロと水でぐちゃぐちゃ状態。けんちゃん達
もドロだらけ状態だけど、最高の笑顔で夏を満喫中。
毎日がハッピーな自然流。

そうこうしていると、小学校からチャイムの音。
けんちゃんが振り向くとジャスト3時。
「翔。約束の時間だからそろそろ帰ろうか。」
「OK。エルザ、帰るで。」
ラッキー一家もこの一言でしかたなく「ワン」
けんちゃん達は、戦利品の入ったバケツと大切な
武器の網をもって意気揚揚とご帰還だ。
ラッキー一家も全員ブルブルしぐさで体の水を
撒き散らして、シークレットサービス業スタート。
ラッキー一家だけなら、4輪駆動フルパワーで
あっという間に帰れるんだけど、けんちゃん達の
スピードに合わせて、ゆっくりゆっくりご帰還だ。
毎日がハッピーな自然流。

家に着くと奥様とおばさんが買出しに出かける所。
おばさんが「びちゃびちゃやね。2階に着替えの
入ったリュックあるから、着替えるんよ。」と一言。
奥様が「その着替えをフロ場に持って行ってシャワー
浴びてからにしたらいいよ。それと、ラッキー達は
おばあちゃんに足洗ってからでないと上がったら
駄目だよ。」ときっちり言って、車でお出かけ。
けんちゃん達は戦利品を庭の影に置いて上がって
いった。えらいこっちゃ。早くおばあちゃんに
帰ってきたことを伝えなくっちゃ。「ワンワンワン」
そうすると、なんとおじいちゃんがでてきちゃった。
おじいちゃんの洗いはきついけど「お願いしま~す。」
毎日がハッピーな自然流。

けんちゃん達はフロ場でも翔君とおおはしゃぎ。
二人でシャワーのかけあい開始。
ラッキー一家はおじいちゃんのあらっぽい足洗いと
からだをタオルで拭いてもらって縁側からご帰還だ。
冬であればこのまま縁側で日向ぼっこなんだけど、
夏はクーラーの前に一目散。
ご主人様は、ラッキー一家がクーラー陣地取りの為に
居間に飛びこんでくるのはわかっているので、
居間のドアを開けて準備万端。この準備作業を
忘れると、ドアを前足で傷だらけにされちゃうから。
特にファット気味な私は、クーラーの1等地の確保と
舌クーラーのフル活動で、体温低下に奮戦中。
毎日がハッピーな自然流。

けんちゃん達がシャワーも着替えも終わって
さっぱり状態で居間にやってきた。
ご主人様が「冷たいものでも食べるか」と庭の方に
でていった。縁側から見ていると、井戸の中にたらし
ている紐をひっぱりあげるとスイカが上がってきた。
これと合わせて、おじいちゃんが台所から大きな
お盆とお塩とまな板と包丁を持ってきた。
ご主人様がこの包丁とまな板を使って上手にスイカ
を6等分してお盆にのっけた。けんちゃん、翔君、
おじさん、お兄さんたちはこのままパクリ。
ご主人様とおじいちゃんは、なぜかお塩をつけて
パクリ。みんな幸せ一杯の笑顔だ。
毎日がハッピーな自然流。

スイカを食べ終わるとおじいちゃんがけんちゃんに
「このスイカはおじいちゃんが作ったんだよ。
スイカのなっているところ、見たことある?」
「ううん。見たことないな。翔君もないよな」
「そうですね。実際には見たことないですね」
おじいちゃんの誘導尋問作戦の大成功。
「よっしゃ。それならおじいちゃんの自慢の畑で
スイカのなっているところ見したるわ。」と鼻高々。
ご主人様も「そうしなさい。せっかく来たんだから、
ほんま物を見て帰りなさい」とうまくリード。
ご主人様とおじいちゃんの絶妙のかけあいで
けんちゃん達はスイカ取りにでかける事に。
毎日がハッピーな自然流。

畑は庭のとなりにあるので、すぐそばだ。
ラッキー一家は、今回シークレットサービスはパス。
なぜって。だってスイカ食べれなかったもん。
けんちゃん達とおじいちゃんはスイカ畑に到着だ。
スイカは畑の畝にゴロゴロ状態でなっている。
おじいちゃんが「おいしそうと思うものを、それぞれ
決めたら教えておくれ」とけんちゃん達に言った。
「おじいちゃん。そんなん言われてもわからへん。
決め手を教えてくれへん」とけんちゃん達。
おじいちゃんはニコっと笑って、「そうやな。
教えたろか。しかし、みんなには内緒やで。
実はな。おじいちゃんも食べてみないとわからへん。」
毎日がハッピーな自然流。

けんちゃん達も、おじいちゃんの言葉にキョトン。
「なんや。おじいちゃんもわからへんのかいな。
翔君。それやったら一番重たいのがやっぱし一番と
違うかな。二人でどっちが重たいスイカを探せるか
競争しよか?」
「そうしようぜ。」と言って畑の中で大きそうな
スイカを持ち上げながら探している。
おじいちゃんはニコニコしながら、いつものように
両切りピースを親指の爪でトントンしてから、火を
つけておいしそうにスパ~ッ。
けんちゃんと翔君はやっと決めたので、おじいちゃん
がつるをナタで切り離して持ちかえった。
毎日がハッピーな自然流。

それぞれ持ちかえったスイカを水道で洗ってから、
フロ場の体重計で検量。けんちゃんは3.5kg、
翔君は3.8kgで翔君の勝利。
けんちゃんが「おじいちゃん。このスイカどうするの」
とたずねると、「せっかく二人で収穫したんやから、
お土産に持って帰り。今日と明日食べる分は、たしか
お兄さんが井戸に放りこんでくれてると思うよ」
「翔君、それならスイカに名前書いておかへん。」
「グッドアイデア。おかあさんにも自慢したいし。」
「記念なら写真撮ったろか」と、おじさんが2階から
カメラをもってきて、名前と重さと収穫日入りの
スイカを抱えたけんちゃん達をパチリ。
毎日がハッピーな自然流。

スイカを食べ終わったお兄さんは、ご主人様から
お小遣いをもらっている。
今日は月末のお小遣い日でもないのに。
そうか。今晩の花火大会用の花火購入費用だ。
早速、愛用の原付でお出かけだ。
お兄さんは、この夏休みは自動2輪に挑戦中。
取得したら、250ccのオートバイを購入予定。
その時は、私をリュックに入れてもらってドライブに
連れていってもらう予定。
おっと、話を戻さなくっちゃ。今日の花火はどんな
花火かな。ひょっとするとドカーンと上げる
打上花火があるかも。
毎日がハッピーな自然流。

お兄さんと入れ替わりに奥様とおばさんが買物から
帰っていた。おばあちゃんも手伝って一杯の買物袋
を台所に運んでいったよ。
私のからだも熱がとれたので、そろそろ活動するかな。
ノコノコ台所にいくと買物袋から良い匂い。
顔を突っ込んでみると、なんと焼肉用の肉の包装が
少し破れていて、たまらない。
その破れ目に口を突っ込んで一切れいただき!
2切れ目に挑戦中に奥様に見つかっちゃった。
「これ!何してるの。」と雷が落っこちちゃった。
2切れ目を咥えたまま一目散。これを見ていた
おばさんは「ラッキーも結構やるジャン」と大笑い。
毎日がハッピーな自然流。

予定通り、焼肉パーティが終了したので、これからは
お兄さんが演出する花火大会だ。
先ずは、水をいれたバケツを用意。それからローソク
を空き缶の中にローソクのロウを少し溶かして接着。
夏の夜の必需品である蚊取り線香を6箇所にセット。
ラッキー一家も庭に降りて楽しもうとすると、
お兄さんが、ラッキー一家は縁側の上から見るように
おじいちゃんとご主人様に注意。
ラッキー一家のキャバリア犬は目が大きくて、花火
の火の粉が目に当ったら大変だからかな。
それとも、ねずみ花火のような庭を飛び跳ねる
花火があるのかな。楽しみだな。
毎日がハッピーな自然流。

今日の主役はけんちゃんと翔君。
二人が庭に降りて、お兄さんから花火の説明を
受けている。先ずはオーソドックスな前に火の粉が
飛び散るタイプ。これは鉄板溶接する時に使う
アーク溶接みたいな青白い炎がでるものや、夕焼け
のような濃いオレンジ色の炎がでるもの。
又、炎の出方もすなおにでるのやら、散弾銃のように
散らばるものやら、いろいろあって楽しいな。
次は、いよいよねずみ花火だ。これはお兄さんが
火をつけてけんちゃん達の足元にポイっと
スローイング。とたんにパチパチパチと音をたてて
庭を跳ね回る。けんちゃん達も同じように跳ね回る。
毎日がハッピーな自然流。

ねずみ花火コーナーが終了すると、今度はおとなしい
線香花火の登場だ。線香花火は如何にじっと持って
いられるかが勝負。
けんちゃんも翔君もしゃがみこんでじっとしている。
最初はパチパチと燃えた後、先っぽにオレンジ色の
火の玉ができて、そこからへびの舌のように光が
割れてピカピカと飛び散る。
又、けんちゃんと翔君は、この火の玉をくっつけて
一回り大きな火の玉にして楽しんでいる。
右手で花火を持って、左手で足をボリボリし始めた。
蚊取り線香を6箇所でたいているのに駄目みたい。
しかし、カに刺されながらの花火を結構エンジョイ。
毎日がハッピーな自然流。

大体の花火が終わったころに、奥様とおばあちゃんが
おぼんに一杯スイカをのせて持ってきた。
ご主人様は、冷蔵庫からビールとトマトを持ってきた。
「さあて。花火大会の終了行事を開始しようか」と
ご主人様がご挨拶。ご主人様はおじさんとニコニコ
しながらビールをグビグビ。ビールの肴はキリッと
冷えたトマトにちょっと塩を付けたもの。
おばあちゃん、奥様、おばさん、お兄さんと
けんちゃん、翔君はスイカに挑戦中。
お兄さんがけんちゃん達に「庭でスイカを食べる時は
種をペッペッと庭に捨てていいよ。ただし、神戸に
帰ってから同じ事をしたらダメダメ」と教育?
毎日がハッピーな自然流。

さあて。用意した花火も打上げ宴会も終了。お兄さん
がけんちゃん達に、後片付けを指示している。
「スイカの種はほったらかしても良いけど、花火の
燃えかすは全部水の入ったバケツに入れてよ。」
「火事が親父の雷より怖いからな。」とニタッと
しながら大きな声で指導中。
ご主人様もそれを聞いて「そうやで。火事が一番
怖いで。但し、息子のすねかじりも怖いけどな。」
とカウンターパンチ。この勝負・引き分け。
けんちゃん達はこのやりとりについて行けなかった
けど、大人達は大笑い。ラッキー一家はもっと
ついて行けなくて寝たふり状態で固まっちゃった。
毎日がハッピーな自然流。

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