エピファネイア 早熟論

お初にお目にかかります、「r」です。
呼び方はお好きにどうぞ。
現在25歳、介護福祉士として働きながら週末は趣味の競馬に没頭中の独身です。
競馬にハマったキッカケは父親の持っていた「ダビつく 4」をプレイしたときからで、中学校1年生頃でした。
リアル競馬を見始めたのはストロングリターンが勝利した安田記念です。
ものすっごい末脚の馬が突っ込んできたと思って見入っていたら競馬中継が終わってしまっていたことを覚えています。

血統に興味が湧いたのもその頃で、当時はゴールドシップの血統表を眺めながら青春時代を過ごしていました。

時は流れて2022年ですが、私の好きな馬でもあるデアリングタクトが繋靭帯炎から復帰してターフでの走りがもう一度見られるとあって期待と怪我への不安が入り混じった感情を抱きながら秋競馬を迎えました。
結果としてはオールカマー、エリザベス女王杯共に6着に終わりました。
無事に走り抜けてくれたことにまず感謝するとともに、この結果は繋靭帯炎の影響によるものなのかという疑問も湧いてきました。
確かに繋靭帯炎を発症した馬の復帰後の戦績は芳しくないことが多いです。
人間でもそうですが、患部を庇うことによってトップスピードが出なくなったりフォームが崩れたりという事は確かに事実として存在します。
ただ、競馬はブラッドスポーツとしての側面も持ち合わせています。
中長距離を駆け抜けたキタサンブラックの母父がトップスプリンターであるサクラバクシンオーであるという事実も血の意外性、その面白さであるという証明でもあります。
では、デアリングタクトはどうでしょうか。
今回は、デアリングタクトとその父エピファネイアについて独り言を書き連ねていこうと思います。

血統から見るデアリングタクト

まずはデアリングタクト自身の血統から見ていきましょう。


デアリングタクト 五代配合表
(引用元 netkeiba.com)

父 エピファネイア 母 デアリングバード 母父 キングカメハメハ 母母父 サンデーサイレンス 母母母父 Danzig となっています。
代々重ねられているのは名馬ばかりという豪華な血統となっています。
母系では、母母 デアリングハート が2005年NHKマイルカップ2着、2006年クイーンステークス、2006年、2007年府中牝馬ステークス連覇(当時はG3)という素晴らしい実績があり、尚且つそのきょうだいには2004年武蔵野ステークス、2005年アンタレスステークスの勝ち馬 ピットファイター (父 Pulpit)や、1999年のスーパーダービー(米G1 現在はG3)の勝ち馬 Ecton Park (父 フォーティナイナー)がいるという良血です。
母系の活躍馬には息の長い活躍を見せる馬もおり、成長力のある血脈と言っても差し支えないでしょう。
勿論父 エピファネイア に関しても3歳時に菊花賞を勝ち、古馬になってからジャパンカップを制するなどトップステージで活躍を続けた名馬です。
一見母系の後押しもあり、トップサイアーを重ねられたこの血統に抜け目など無いように見えますが、どうしても抜け出せない血の落とし穴があります。
それが、「隔世遺伝」です。

ロベルトとシアトルスルーの影響力

エピファネイアは日米オークス制覇を果たした名牝 シーザリオ と天皇賞(秋)連覇、有馬記念連覇の名馬 シンボリクリスエス の間に生まれ、きょうだいに2015年の2歳チャンピオン リオンディーズ (父 キングカメハメハ)、2019年に無敗で皐月賞を制した サートゥルナーリア (父 ロードカナロア)がいるという超良血です。
問題などどこにも無いように見えるこのファミリーですが、やはり競馬に絶対は無く、この名血にも弱点があります。
それこそが、ロベルトとシアトルスルーの隔世遺伝です。
隔世遺伝とは、血統内のどこにいても影響力を発揮する遺伝力を持った血のことで、良い遺伝もあれば悪い遺伝も存在します。
デアリングタクトの父父父父が、1頭目の隔世遺伝の持ち主で1972年のエプソムダービー馬にして同年のベンソン&ヘッジズゴールドカップ(現在の英G1 イギリスインターナショナルステークス)で当時のイギリス最強馬 Brigadier Gerard を破るという波乱を演じた ロベルト です。
ロベルトは自身に続くエプソムダービー馬を出すには至らなかったものの、英愛セントレジャーの勝ち馬 Touching Wood やフロリダダービー馬にして日本でロベルトの血を広めた ブライアンズタイム 、アメリカ芝戦線で活躍した Sunshine Forever 、その他にはステークス競争には勝てなかったものの、種牡馬として活躍を果たした馬を数多く輩出しており、社台ファームを支えた名種牡馬 リアルシャダイ 、ケンタッキーダービー馬 Barbaro など欧米で多数のステークスウイナーを輩出した Dynafomer 、1997年のエプソムダービー馬 Benny the Dip や、日本で活躍した グラスワンダー などを輩出した Silver Hawk 、アメリカで繋用されている中で多数のブリーダーズカップ競争の勝ち馬に加えて日本のシンボリクリスエス、2003年のエプソムダービー馬 Kris Kin を輩出した Kris S. 、2005年のイギリスインターナショナルステークスで日本の ゼンノロブロイ を破ったイタリア最後の名馬 Electrocutionist などを輩出した Red Ransom などの名種牡馬を何頭も送り出しており、現役時代の成績が見劣りするわけではないのですが、それを圧倒的に凌駕する素晴らしい種牡馬実績の持ち主で、種牡馬の父としての地位を確立している名馬です。
ロベルトの血を引く馬たちには若くして活躍する産駒が数多くおり、距離適性も中距離を中心として万遍なくこなせる産駒ばかりの為、世界の大競争で活躍を見せました。

その一方で、ロベルトの血を持つ産駒には早枯れ傾向が強く出る馬が目立ったのです。
勿論古馬になってから大レースを勝ったことがある産駒が出なかった訳ではありませんが、傾向としてロベルトの血には早熟・早枯れ傾向があるという認識が広まっていきました。

ここで1つ注意点があります。
「早熟」と「早枯れ」の違いです。
早熟とは、早期からレースで活躍する馬を指す言葉ではありますが、ウイニングポストやダビスタの様に早々にピークが終わる馬のことでは無く、早期のピークがある程度持続する馬のことを指します。
対して早枯れは総じてピークが短く、馬が変わったようにパッタリと走らなくなることを指します。
この認識のギャップは競馬ゲームから競馬にのめり込んだ人に多く、私自身も早熟馬を早枯れと認識していました。
しかし、サンデーサイレンスやディープインパクトの産駒のように2歳時から重賞戦線で活躍し、古馬になってからも息の長い活躍をする馬を見て、早熟と早枯れの違いを改めて実感しました。

本題に戻ります。
ロベルト産駒やその血を持つ馬は、本当にある日突然走らなくなるなることがあります。
私自身一口馬主として所有したロベルトを持っている愛馬の戦績を見ると、本当に怪我や病気などのイレギュラーがないにも関わらず、走らなくなっていました。
能力が急に衰えるのか気持ちが切れてしまったのかはわかりませんが、つい先月まで好走していた愛馬が突然凡走する姿は見るに堪えませんでした。
ロベルトは父系母系問わずどこにいてもロベルトという名前があるだけで早枯れしてしまうという厄介な種牡馬でもあるという事を学びました。

そして、ロベルトと同じくらい早枯れの遺伝力がある種牡馬がアメリカ史上初の無敗の三冠馬 シアトルスルー です。
1984年の北米二冠馬 Swale 、種牡馬としても北米リーディングサイアーに輝くなどの活躍を見せた A.P. Indy 、2022年の日本ダービー馬ドウデュースの母父であり2002年の北米2歳チャンピオン Vindication 等の数多くのステークスウイナーを輩出している名馬シアトルスルーですが、この馬に関しても早枯れ傾向がある種牡馬です。
但し、シアトルスルーはシアトルスルー自体というよりかは同馬の母父である Poker が原因であると言われています。
そのため、シアトルスルーだけではなくそのきょうだいの1983年のイギリス2000ギニー馬 Lomond や第1回のNHKマイルカップの勝ち馬 タイキフォーチュン の父 Seattle dancer を血統内に持つ馬に関しても早枯れの危険性があると言われています。

そして、もう一度エピファネイアの血統を見返してみましょう。
エピファネイアの父シンボリクリスエスが父父ロベルト、母父父がシアトルスルーという血統になっています。
勿論全てのロベルト持ちシアトルスルー持ちの馬が早枯れであるということではありません。
傾向は所詮傾向なだけであり、例外が存在することもまた可能性として当然あります。
ですが、デアリングタクトほどの一流馬が強かった頃と同じ位置どりでレースを進めて伸びてこない。
牝馬は産気づくと走らなくなるとも言われていますし、一概には言えませんが……

皆さんはどうお考えでしょうか?
血統、怪我、気持ち等、色んな要素が考えられます。
それでも、史上初の無敗の三冠牝馬がこのまま終わるのはあまりにも幕切れとしては悲しいと思っています。
ですが、牝馬には血を繋いでいくという大事な役目もあります。
まずは無事に現役生活を走り抜けてくれることを願っています。

あとがき

エリザベス女王杯終わったあとに書き始めて気がついたらマイルチャンピオンシップ終わってましたwww
遅すぎるってw
セリフォスおめでとう!
てか来週もうジャパンカップやん…ハヤスギィw
武豊推しとしてはエアロロノア同様の上手い手綱捌きでハーツイストワールを優勝に導いてくれると信じてます。
デアリングタクトも復活してほしいなぁとは思っていますが…
無理してレース中に故障でもしたら最悪なので無理せずね…
デアリングタクトの産駒も見てみたいし

最後になりますが見てくださってありがとうございます。
ウマ娘ブームとかでリアル競馬に興味を持った人で血統とかわかんないって人は何時でも聞いてください。
答えられる範囲で答えます。(僕で良ければ…ですが)
次も早枯れ種牡馬について書こうかなと思っています。
ウットマンについて書こうかな~(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?