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久保寛子個展「鉄骨のゴッデス」

金沢市民芸術村で開催された個展

久保寛子さんというと、KAMU KANAZAWAで、香林坊東急109の屋上で展示されていた「泥足」が強烈な印象。

その後、今度はMROの裏手の本多の森広場での展示もあった。

青い網目のネットで作られた大きな人の足首から先の部分、その中に人が入ることもできるし、暗い時は照明が入ってとっても幻想的になってた。

そして、昨年秋の「GO FOR KOGEI」では富山の灌水公園に大きな犬というか狼犬の作品が展示されていた。


ちょっと私の中では注目している作家さんです。市民芸術村で無料展示ということで、風雨が結構厳しい日、行ってきました~!


この日は展覧会最終日ということで作家さんも在廊されてました。

この市民芸術村のアート工房の空間はとてもおもしろいし、いろんなワークショップにも使われることも多いです。私も息子たちが幼稚園や小学生の頃、「秘密基地を作ろう」というワークショップに連れていって、いろいろ楽しかったな~

広い天井の高い空間に階段状のスペースがあったり、いろいろ挑戦できるような空間ですね。


久保寛子さんは、農業用シート、鉄骨、軍手、コンクリートパネルなど、建築で構造を支えるものとか、作業で使用される道具を素材として扱っていると。要するに、主役じゃないが、なくてはならないものを作品の素材として使ってる。

 そして久保さんの作品には、どこか「土着の宗教」みたいなイメージを受けるんですよね。神の化身とされる動物であったり、守り神であったり・・・

洗練された・・・・という言葉より、「骨太」という言葉が似合う・・・でももちろん、作品そのものは繊細で丁寧に制作されたという印象を受けます。


 今回の「鉄骨のゴッデス」展は、まさに「骨太」な展覧会でした。

小さい作品も多いですが、鉄骨を使った作品や鉄板の作品は、とても細くて繊細なのに強い!という印象を放っています。精一杯手を伸ばした四つん這いで立ってる・・・というイメージのテーブルみたいな作品、指先の先っぽで接地してる、ほんとに点で自立してるっていう危うさと、鉄のもつ強さが二律背反するようだけど、繊細でたおやかに見えるが実は強い・・・というのが、「ゴッデス」、つまり女神という言葉に集約されていくのかな。


久保寛子さんもいらっしゃったので少しお話しできました。

若い方ですが、今回の能登半島地震に対する想い・・・「心の用」という言葉を用いて、自然災害の前に、人は「祈り」から始まって技術を積み重ねてきた。これまで人類が歴史が始まったときから積み重ねてきた技術・・・火を使い土を焼き、鉄を使って、土器や鉄器から始まり現在の高層ビルや地下鉄、人工衛星にまでつなげてきた技術・・・それは「自然」に対して、対抗し、適応し、祈ってきた「人類の生きてきた証」だと。


どこまで耐えられるか、どこまで対抗できるか・・・という挑戦とともに、どうか、どうか・・・と祈ってきたのが我々、人類のあゆみではないのか・・・と。


展示エリアの一番高みに、下ではなく、はるか遠くを見据える「ゴッデス」

すごく心に残る展示でした。


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