見出し画像

「かみがみの森」展 by柴田あゆみ

切り絵・・・というと、私の世代だと、滝平二朗さんの名前が真っ先に浮かぶ。
「斎藤隆介」さんの童話「モチモチの木」とか「ベロだしちょんま」とか「八郎」とか、秋田・東北地方が舞台の童話・・・父が買ってくれた本をつい最近まで持っていたけど、その挿絵が滝平二朗さんの切り絵で、黒い紙を切っての切り絵で、細かいというよりは、その人物の表情が、どこか、「青森のねぶた」の感じに似ていて、無骨な印象も受ける・・・でも、そこから伝わる「人情」とか「生」と「死」とか、貧しい厳しい暮らしの人々を描いていて、力強さも素朴さも伝わってくる切り絵だった。

ところが、この柴田あゆみさんの切り絵は、白い紙がメイン・・・
光を当てて、その光が白い紙を何枚も通ってくる中で柔らかく、優しく伝わってくる。
その切り絵の技巧はほんとに細かくて、美しくて、「切り絵」というか、もう、これは「彫刻」や「工芸」といった、立体感がある世界・・・だ。

  斎藤隆介さんの童話にも「神」を感じるものがあって、でも、それは、ちょっと「怖い存在」、高みから見下ろされている・・・みたいな印象の存在だった。
 でも、柴田あゆみさんの「かみがみの森」では、優しく見つめている「神」の存在を意識する・・・そんな「包まれる」感覚を受けた。

そうだ・・・紙って「何かを包む」役割をもってるよな・・・
チラシの写真のように、望めるなら、あの、切り絵の森の中にそっと腰を下ろしていつまでも時間を過ごしていたい・・・
そんな気持ちになりました。

土日など、行列ができるほどに混むけど、敢えて月曜日に行ってよかった。空いてたし、とても静かで豊かな時間を過ごせたなぁと。
ビンの中に収められた作品など、ガラスとの相性も素敵でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?