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人間社会に溶け込む猿の話

数年前からたまに猿を見かけるようになった。コンビニやスーパー、職場や飲食店などでだ。

ついさっきも、コンビニに行ったのだが、店内のゴミ箱に巣から持ってきたのだろうか、ゴミがパンパンに詰まった小袋5個ほどを捨てていた猿(人間の30代位のオス)に店員さんが人の幼児に話しかける口調で注意していたのだが、「あぁ!?」と声を発して睨み付けていた。

見た目は人間とまったく変わらないし、外にいた綺麗なメスとは日本語で話していたので、かなり頭がいい猿なのだろう。メスの方は恋人か飼い主なのかは解らない。ちなみにオスの方は人間でいうところの、男性韓流アイドルのような服を来ており、見た目はカッコよかったのが残念でならなかった。人間ならメスにモテていただろう。

他にも、夕方の人が夕食の買い出しをしている時間帯のスーパーでも、猿を見掛ける、レジ待ちの列に、人間社会のルールを知らない猿が列に割り込んでいるのをたまに目撃する。大抵の人はその猿を注意せずに、慈愛の精神(猿なのだからしょうがない)で黙っているのだが、ごくたまに、注意する猛者もいて、その猿はビックリして逃げるか、日本語で言い返したりしている。やはり頭はいいのだろう。

私が直に接したケースでいうと、会社で同僚に「おはようございます」と挨拶をすると、千と千尋の神隠しのカオナシのようなか細い声で、ぁぁっと鳴いたり、「アレッてどこに置きましたか?」と言ってくる。

私は驚いた。この猿達はどうやって面接をすり抜けてしまったのかと。

しかし、この猿達には共通点があった。自分の上司や可愛い異性にたいしてはちゃんと「おはようございます」と返せることと、仕事があまり出来ないのことであった。まぁ猿だから仕方ないのだが。

何年もしないうちに、大抵は会社を辞めていくか、異動していった。猿達が無下に扱った大勢の同僚達から、本人が解らないように攻撃されてしまって。


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