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北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第2章 (全8章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 後編)』

 
第1話
「ここまできて欠航!」
 ここに至るまでの苦労を思うと頭の中が真っ白になりました。
 しかし、フライフィッシングをするためにはここでくじけてなんかいられません。
 計画を根本から練り直す必要があります。
 代替案としては、このまま家に戻り、明日から兵庫県か鳥取県の川へ行くというのが妥当なようです。
 そうなると、まずは北海道のレンタカー店やバンガローにキャンセルの電話を入れて・・・などと考えていると、ANAから振替便の放送がありました。
 そんな方法があったのか!
 救いの手を差し伸べられた気がしました。
 しかし、その振替便とは、関空からの便でした。今から船に乗って関空。すでに現在午後4時20分。いったい何時の便だ。
 よく聞くと、その便は午後7時発のようです。それでは到着が遅過ぎます。

 「そんな急に振替便なんて都合のいい話はないわけだ。」
 搭乗受付では、さすがのベテラン達もあきらめモードです。

 私にはもうなすすべがありませんでした。


第2話
 かと言ってこのまますごすごと帰る気にもなれず、搭乗ロビーに残ったまま先程考えていた代替案の続きを練ることにしました。
 しばらくして大事なことを思い出しました。
「まずは、北海道のレンタカー店とバンガローへキャンセルの連絡しないと!」
急いでスマホを取り出したとき、アナウンスが流れました。

 周囲を見渡すと、たくさんいた搭乗待ちの人達も関空へ向かったのか本日の搭乗をあきらめたのか、まばらになっています。
 そのアナウンスによると、スカイマークが乗せてくれるというのです。北海道へ。この神戸空港から。しかも、午後5時半の便にです。
 耳を疑いました。お義父さんも驚いています。

 信じられない思いでANAの係員に案内されるまま1階ANA搭乗手続きカウンターへ行きました。また振り出しに戻ったような気分でした。
 私達のようにあきらめきれず、藁をもすがる思いで残っていた人は20名ほどでした。


第3話
 ここまで気をもんできた身としては、これから1時間もしないうちに飛行機の中にいる、ということに現実味はありません。またどんなハードルが待ち構えているか分かりません。
 今からどんな手続きが始まるの分かりませんが、兎に角午後5時半の搭乗に間に合うこと。これが最重要課題です。
 さて、今からてきぱきと手続きを済ませ、搭乗するとして、あと50分ほどです。
 なのに、受付はたった一人で対応しています。しかも、一人目の手続きにかなり長い時間がかかっています。
「おいっ!こんなペースで20人もの手続きが間に合うのか。絶対に無理だろう。」
 だんだん怒りがこみ上げてきました。
 私は、今、手続きを終えた一人目の人をつかまえて、何の手続きをしていたのか聞いてみました。


第4話
 その人の話によると、スカイマークのチケットを買うためのお金をANAが用立ててくれるとのことでした。

 どうやらそのままANAからスカイマークにスライドするのではないようです。スカイマークに乗るにはスカイマークのチケットを買わなければならない。そのお金の持ち合わせがない人も当然いるだろうから、ANAが返金してそのお金でスカイマークのチケットを買うということらしいでのです。
「それにしても、このもたつきぶりはなんだ。間に合わんじゃないか。早よせんかい!」
 かなり苛立ってきました。
 しかし、私の思いが通じたのか、係員は3名に増えました。2倍より3倍です。
 たちどころに私の番になり、2万数千円が戻ってきました。現金なもので、お金をもらったとたん、焦り・怒り・不安という感情はいっぺんに吹き飛んでしまいました。

 こうしてすったもんだで北海道のバンガローに着いたのは午後10時半を回った頃でした。

 「あきらめない限り困難は乗り越えられる」ということをしみじみとかみしめた夜でした。


第2/9章 『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 後編)』完


 



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