愛しのギターとの奇跡の再会:    Martin 00-18G(1949年製)の側板に穴が…

1948年製 Martin 00-18G

 ギターは始めた中学生くらいの頃から、いつの日か大人になって金銭的な余裕ができたらMartinのギターを買おうと思っていた自分にとって憧れの的でした。20年前くらいでしょうか、アメリカへ出張の際に休みの日を利用して、サンフランシスコのギターショップ巡りに出かけました。

サンフランシスコの街角にある、人目を引かない倉庫のようなショップで、運命的な出会いを果たしました。そこには、ギタリストなら誰もが羨むような名器が並んでいました。いろいろ見せてもらって、または試奏した結果で選んだのがこのギターです。1949年に製作された珍しいMartin 00-18G(ガットギター)でした。経年によって熟成された木が放つ音は、たまらなく心地良いのです。

そ のギターは、大切に扱い、時間をかけて手入れをしてきたおかげで、外観も音質も年月を経るごとに良くなっていきました。しかし、ある日、大切なギターに思いもよらない悲劇が訪れました。練習後、ギターをスタンドに戻そうとした瞬間、私は何かがおかしいことに気づきました。信じられないことに、ギターの側板には穴が開いていたのです。

ダメージを受けた跡

落としたり倒したりした記憶はなく、自分は一人暮らしなので、ほかの人にやられたことも考えられない・・・
このショックな出来事は、自分の心に深く刻まれ、日常のあらゆる瞬間に突然思い出されるようになりました。テレビを見ながら笑顔の後、食事の最中、いつでもその惨事が頭をよぎりました。しかし、このまま持っていてもどうしようもないし、修理はできるのか・・・ 修理したとて、どこまで回復できるのか・・・近所のリペアショップ(Studio GREAM)に相談し、修理を依頼することにしました。

 数か月の時間を経て、ゴールデンウィーク後に修理が完了しました。修理されたギターは、期待をはるかに超える仕上がりでした。

修理後のギター 

凄くないですか?
裏から薄いスプルースの板を当てて穴を塞ぎ、見た目にも音質にも影響を与えないように丁寧に仕上げられていました。よく見ると、修理されていない部分は経年により塗装にクラックが入っていますが、修理されたところには新しくなっている違いがあるけど、これも時間がたてばクラックが入ってきて、違いはわからなくなるそうです。この見事な技術によって、私は長い間の悪夢から解放されました。

そして、この一連の出来事から私が学んだ教訓は、大切なものは常に大切に扱うべきだということです。そして、私のギターにダメージを与えた犯人が明らかになりました。それは、毎日掃除をしてくれるルンバでした。
この度の教訓:大切なギターはハードケースにしっかりと収めることを心がけましょう。


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