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「豪雨の予感」第21話(水害被害ストーリー)

時刻は午前11時になろうとしている。愛子がいる大手前高校は15分ほど前から再び線状降水帯による激しい豪雨に覆われていた。お天気アプリの雨雲レーダーによると、現在吹田市あたりから大阪市住吉区あたりまで伸びる南北に長い線状降水帯がえんじ色の細長い帯で表示されている。地図の下にあるスライドバーを横に動かすとそのえんじ色の帯は少しずつ東に進んでいくが、そのえんじ色の帯を追いかけるように絶え間なく同じえんじ色の帯が発生している。つまりこの後数時間は愛子の現在地を線状降水帯が通る予報ということだ。

「ちょっと見て、これ!ずっと豪雨やん、夕方までこの豪雨止まへんで」
「うわっ!ほんまや!まだ全然帰れそうにないやん」

愛子がお天気アプリを見ながら呟いていると、愛子の持っているスマホが振動した。

大雨特別警報、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報
警戒レベル4:避難指示の発令

✳︎避難指示が発令されていない場所であっても河川の水位情報などで自ら避難の判断を行ってください

「え!まって!佳奈!4やって!」

愛子はスマホに表示された特別警報のポップアップニュースをみながら驚いた様子で、隣の席の佳奈に声をかけた。

「え、愛ちゃんどういうこと!?」
「避難指示の発令!大雨特別警報、氾濫危険情報。やばない?うちら避難してるし安全な場所やからいいけど、、なあ、あっこ見て!」

愛子は窓の外から微かに見える内堀を目を凝らしながら言った

「お城の内堀の水が今まで見たことないくらいまで上がって来てる!これってもうすぐ溢れそうやってことなんちゃうん!?」
「え、どこどこ?雨めっちゃ降ってるから全然見えへんわ、愛ちゃん視力いいねんな!暗くてよく分からんわ、溢れそうなん!」
「え、佳奈、今日コンタクトつけてないん?」

「そうやねん、朝起きれんかってな、急いでバーって準備してバーって家出てきたからコンタクトするの忘れてな。それに天気予報も見れんくて傘も忘れてきたってこと。お母さんおしえてくれたらよかったのに、、もー、、笑」

第22話に続く
(このストーリーは実話を下にしたフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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