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「豪雨の予感」第1話(線状降水帯の発生と100mm/時を超える豪雨予報)

大阪市城東区に住む長濱夫妻が内水氾濫に遭遇するまでのストーリーの連載を始めます。

「…関西地方に停滞している梅雨前線の影響で1週間前から雨の日が続いていますが、先週発生した台風5号が四国から関西方面に向かって北上してきており、湿った空気が梅雨前線に流れ込む影響で今日6月30日は昼過ぎから雨足が強まる見込みです…」

大阪市城東区の一軒家に住む長濱健太郎(ながはまけんたろう)は消防署に勤務しており、日勤の朝はいつもこの番組のお天気コーナーをみてから出勤するのがルーティンになっていた。今年から新しくお天気コーナーの担当を始めた気象予報士 松前悠(まつまえゆう)は健太郎と同じ城東区で暮らす幼馴染である。

「…ところによっては1時間に100mmを超えるような激しい雨になるおそれもあり、さらに線状降水帯が発生し長く停滞するようなことになれば、それ以上の猛烈な雨量になることもあります。まもなく通勤通学が始まる時間ですが、突然の天候の変化にはくれぐれもご注意いただき早め早めの行動をとるようにしてください。そして交通機関への影響ですが、今のところはJR私鉄各線は正常に運行されて計画運休の発表はありませんが…」

松前の天気予報では視聴者へのアドバイスも好評だった

「今日の悠さんの天気予報はいつもよりも力がこもってる気しない?線状降水帯が発生して長い時間停滞するって大阪ではあんまりなかったし、なんかすこし大袈裟かな?って思った」

健太郎の妻みおは、松前が健太郎の幼馴染ということもあって、毎日欠かさずお天気コーナーを見ている。洗濯物を外に干せるかどうかの的確なアドバイスにはとても助かっているし、松前はいつも余裕のある話し方をするので、なおさら視聴者からの信頼も厚いんだろうなと分析していた。しかし今日の松前の語り口にはいつもと違ってどこか焦りの雰囲気があり、みおにとっては今日の豪雨予報に少し違和感を感じざるをえなかった。

今朝は健太郎が少し早く目が覚めたのでだし巻き卵を焼いてくれていた。みおはその焼ける匂いで目が覚めた。今日の朝食はそのだし巻き卵をおかずにご飯と味噌汁である。

「そうだな、今まで大阪でそんな雨が降ったって記憶はないな。この前の台風のときでも線状降水帯が発生して大雨が降ったときは、あれは奈良と和歌山でやったんかな、山沿いで大雨になって、奈良あたりで降った大雨の影響で一級河川の大和川でも危険水位になってたな、大和川に架かる鉄道の橋梁の下数十センチまで水面がきていた動画がYouTubeで閲覧件数が伸びていた、JRと阪堺電車は止まったけど南海電鉄は動いていて…」

第二話に続く
(このストーリーはフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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