絡む因縁を絆に変えて~2部最新更新分感想~
ッッカーーーーーーー
満月の日の次の朝。
陽の光に起き、スマホ持ち上げ、まほやくを開き、ホームのネロの『新しい物語が追加されたみたいだな』の声を聞き、メインストーリーに『new』のマークが付いているのを確認した時の充足感たるや。
昨晩の自分、育成お疲れ様。
今日の自分、心の準備は出来てるか。
そうか……
では、いざ行かん!!!
んんんん〜〜〜???
賢者びっくりしちゃったな?
賢者びっくりしちゃった。
誰も信じずに一人で完結して生きていくことを決めているはずなのに、人を、カインを誰よりも信じて、裏切りを侮蔑する。
そんなオーエンに触れてたじろぐカイン。
カインは、失望は信頼が前提にあってこそ生まれるものだと分かっているのだろうか。
仮に今、それが理解出来ないとしても、いつか必ず理解する日は来るのだろう。
そして。
オーエン……
この、因縁のある二人の因縁の形が確実に変わり始めているのが分かった瞬間でした。
友達みたいな顔をしたオーエンは多分、この瞬間心から安堵したのだと思います
いつの間にか信頼していた騎士様が、信じた通りの信念を持ったひとだったから。
嬉しくて、取り越し苦労した自分がちょっと恥ずかしくて。そんな綻ぶような苦笑い。
まさに、友人同士のちょっとしたすれ違いの末に見せる、そんな表情だったのだと思います
一周年ストーリー(1.5部)からこの場面へと繋がった『置いていかない』というワードは多分、物語が終章に向かうにつれてカインの、そしてオーエンにも枷となるんだろうと思います。
それでも、初めに友人になりたいと賢者に手を差し伸べてくれた心優しい彼なら、きっと、どんな結末を迎えようとも一度掴んだ手を離すことは無い、それだけは断言出来ます。
そう、アーサーが絡んでいない限りは。
カインにとって、オーエンとはたった少しの期間しかまだ人生が交わっていない相手にも関わらず、人生最大の屈辱を味わされ、なのにどうしてか心の底から憎むことが、恐れることが出来なくなって、そしていつしかもっと知りたいと思っていた相手になって、と、彼が初めて知る多くの感情を与えた魔法使いだと私は思います。
だからカインにとって、もっと知りたい相手になったという終着点だけでなく、その過程を経たことも含めてオーエンは『特別』なんだろうと。
でも、アーサーは。
カインは騎士で、アーサーは主君です
どんな時でも守るべき相手であると同時に、魔法使いで騎士というカインの苦悩を一番初めに理解して寄り添ってくれた友人でもあります
一度も崩れたことの無い瑞々しい信頼関係には他者が入り込む隙のない絆があるのでしょう。
ではもしも、オーエンを置いていかなければアーサーを守ることが出来ない状況になったら?
カインは何を選択し、何を捨てるのか。
願ったものを意のままに両方を取れる程の強さを持つのが北の魔法使いなんだと思います。
しかしそんな繊細な取捨選択を迫られるのは、大抵穏やかで他人本意な中央の魔法使いです。
多分きっとカインが選ぶのは、
それでも賢者は、貴方を信じたい。
―――
オーエンの友達みたいな笑みに漏れたのが黄色い歓声ならこのシーンでは賢者は脚色無しに発狂しました
危うく失神するところでした。
アーサー、自分の余命を予期してるんですよね
これ、初めに読んだ時は衝撃的すぎてただただ読んで字のごとく何となくそう感じてるだけだと思ってたんですが、よくよく考えると自分の死期を悟れるのって魔法使いとしての『強さ』に比例するんですよね
アーサーは多分、オズが言う程生まれつき魔力量が多いから、微量ながらも何かを感じ取れているんじゃないかと思うと、失神しかなくない……?
どうか、生きて欲しい。
世界最強の魔王の、世界とたったひとりの中央の国の王子を天秤にかけた時、選ぶものは分かりきっているので。
どうか運命が決まってしまうその日まで、逃避でも、ハリボテの平和でも何でもいいから一日でも長く魔法使いたちが笑顔で手を取り合っていられますように。
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