豚汁とさんまの塩焼き

秋の紅葉が散っていき、半袖のシャツから少しずつ服の袖を伸ばして遊歩道は黄色に染まっていく。
赤ちゃけた夕日を目掛けて小学生の僕は学校の放課後に友人と野球や手打ちなどして遊んでいた。
日が暮れると、自転車を漕いで暗くなった帰り道を辿っていく。

 私の家庭での秋の食卓の定番といえば、豚汁とさんまの塩焼きだった。
さんまといば、豚汁、豚汁といばさんまと言うふうな関係性がいまだにイコールとして頭に浮かぶ。
お母さんの豚汁も大好きだった。
椎茸と昆布といりこでとったお出汁と、ごぼう、里芋、糸蒟蒻、豆腐、にんじんtu具沢山のお味噌汁。味噌汁は基本的に肉が入ることは豚汁でしかなかったから当時は心躍らせていたものだ。
さんまはいかに骨を綺麗に獲って食べられるかで人のマナーは見られるんだよ。父はよくそういって私にサンマの綺麗な食べ方をレクチャーしてくれたものだ。香ばしい香り漂わサンマの塩焼きのために作られたみたいな長さも幅もさんmにピッタリな長皿に香ばしい香りを漂わせて運ばれてくる。
 頭に近い身を端で指すとパリッという音を立てて川が破れ中からほろほろに解けたみと湯気が立ち込めてくる。それをまずは獲って口に入れる。
 程よい脂と塩の塩梅。そして次はおろし大根と醤油をかけて食べる。おろし大根がサンマの臭みと油を中和して尚且つ醤油の香りがサンマの香ばしさを引き立ててくれる。一通り、さんまとご飯を交互に楽しむと、豚汁に進む。柚五章をお椀の淵にたっぷりとつけて少しずつ溶かしながら食べ進めていく。さんまというおかずを皿に強固にするこの豚汁たくさんん野菜の旨味と豚肉のエキスが染み渡る。少しずつ肌寒くなっていく季節を感じながら、またその肌寒さを暖かさを楽しむためのこれを助長させながらにこれを食べて秋という季節を五感を通して感じていたのかもしれない。今思えば、小学生の頃ですでにさんまと秋の食の楽しみ方を熟知していたのかもしれない。
 たまに焼き魚っが嫌いという友達がいて、その理由が魚の骨を処理するのが面倒臭いということだった。実際、それが理由で嫌いな人は多い。私の母は鮭の塩焼きを食べているときに鮭の骨が喉につっかかって病院に行ったのを覚えている。でも病院に行ったらすぐにとってくれたそうだ。骨ごときを我慢できないで魚の塩焼きを楽しもうとしているのも滑稽だが、魚の塩焼きの美味しさを味わうことよりも骨を処理することの面倒臭さが勝ってしまうというのも悲しいことだ。こうやって日本人の魚離れは進んでいくのだろう。そもそも僕は小さい頃から鯵の開きが朝ご飯の定番で、それを食べないと朝ごはんのおかずはなかったから否が応でも食べなければならなかったし、何より、美味しいし、面倒臭いと思ったこともない。
 小さい頃姉に父がさんまの塩焼きの骨をどれだけきれいに残してたべられるかはお嫁にいく際に判断材料だからねみたいなことを言ってたのを覚えている。
 豚汁はたまに家で作るし、牛丼屋に行った時に好んで注文もする。僕の好みは、新潟県と長野県の間の町で食べた、玉ねぎをたっぷりと使った豚汁が最高に美味しかったのを境に豚汁を作るときは玉ねぎをたっぷり使う。

最後、さんまの塩焼きを食べたのはいつ頃だっただろうか。
一人暮らしを始めてからさんまの塩焼きを食べた記憶がない。
振り返ると、さんまといえばスーパーマーケットで百円で売っていた。

さんまと豚汁という組み合わせは次第に僕の遠い記憶に移り変わっていく。
この前サンマをスーパーで見た時、2匹で398円だった。

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