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仙台の異空間喫茶店 - 時を超えた映画体験

  1. はじめに:異世界体験の紹介

  2. 仙台観光と予想外の展開

  3. 不思議な喫茶店との遭遇

  4. 謎めいた店主と奇妙な出来事

  5. 時空を超えた映画館体験

  6. 現実世界への突然の帰還

  7. 残された疑問と読者への問いかけ


1、はじめに:異世界体験紹介

みなさん、こんばんは‼ SF作家の海田陽介です。今回も皆様に心躍る異世界体験をお届けします。なお、今回ご紹介する話は、「ナナフシギ」さんのYoutubeチャンネルでご紹介されていたものになります。それでは、日常のすぐそこに存在しているかもしれない異世界へ早速参りましょう‼

2、仙台観光と予想外の展開

今からおよそ20年前、智子さん(仮名)は父親と共に仙台へ観光に訪れました。メインの観光地を巡った翌日、二人は当時大ヒットしていた「千と千尋の神隠し」を映画館で観ようと計画していました。しかし、お盆休みの混雑で映画館に入ることができず、代わりに仙台名物の牛タンを食べに行くことにしました。

ところが、牛タン店も長蛇の列。結局、喫茶店でひと休みすることにした二人は、商店街から少し外れた路地を歩き始めました。そこで智子さんは、不思議な魅力を感じる路地を見つけ、父親に告げずに奥へと進んでいったのです。

3、不思議な喫茶店との遭遇

路地の突き当たりに、智子さんは古めかしい喫茶店を発見しました。まるで誘われるように、彼女はその店に足を踏み入れました。店内には初老の背の高い男性がいて、智子さんを見るなり「おや? 目図しい」と、普通の挨拶とは異なる言葉を投げかけました。

智子さんが営業しているのかと尋ねると、店主は「営業していることは営業している」という謎めいた返事をしました。この時点で、智子さんは何か違和感を覚え始めていました。

4、謎めいた店主と奇妙な出来事

智子さんが父親を呼びに行くと言うと、店主は鈴のようなものを鳴らしました。

すると不思議なことに、すぐに父親が店に入ってきたのです。父親は不機嫌そうに、なぜ自分で呼びに来なかったのかと智子さんを責めました。彼曰く、店の方と思しき女性が、彼のことを呼びに来たというのです。お父さんとしては、娘が父親を店のひとに呼びに行かせたという行為が許させなかったようでした。

しかし、智子さんには父親を呼びに行かせた記憶などありません。思い当たる節があるとすれば、店主が鳴らした鈴なのですが、しかし、そのことを説明しても父親に上手く伝わらないだろうと思ったので、智子さんは特に反論はしないでおくことにしました。

と、智子さんとお父さんがそんなやり取りをしていると、店主は二人のテーブルに飲み物を運んできました。ふたりはまだ飲み物を注文する前だったのですが、店主が運んできたものは、正確にふたりの好みを反映したものでした。この光景を目にして、智子さんはまたしても不可解に思うことになりました。どうしてこのひとは、自分たちが何も話していないにもかかわらず、自分たちの好みを完璧に把握することができるのだろう、と。

不思議なことは更に続きます。智子さんとお父さんが食べたかった牛タンが食べられなかった旨を告げると、店主は「じゃあ、似たものを用意しましょう」と言って、一瞬厨房らしき場所へ姿を消したあと、牛タンに似た料理をふたりが腰かけているテーブルへ運んできたのです。仮に厨房に作り置きのものがおいてあったとしても、あまりにも早く店主が料理を運んできたので、智子さんは唖然としてしまうことになったそうです。なお、口にした料理はとても美味しかったそうなのですが、それは牛タンというものを知らない人間が、与えられた情報をもとに作り出した創作料理のように智子さんには感じられたということです。

5、時空を超えた映画館体験

喫茶店には智子さんたちしかいなかったので、智子さんは店主と雑談をすることになったそうなのですが、その過程で智子さんたちは『千と千尋の神隠し』が見たかったのに見れなかった旨の会話をすることになりました。

すると、店主は驚くべき発言をしたのです。実は個人的な映画館も営んでおり、ここでも『千と千尋の神隠し』を観ることができるというのです。智子さんとお父さんは、果たしてそんな上手い話があるものだろうかと思いながらも、見たかった映画を見ることができるのであれば、それに越したことはないと思い、店主の提案に飛びつくことにしたようです。

店主はふたりが映画を見せてくださいと言うと、店の奥のドアを開け、狭い通路を五十メートルばかり進んだ先に映画館があると教えてくれました。

ふたりは店主の言葉に頷くと、ドアを開けた先に存在している狭い通路を歩き始めたのですが、違和感を覚えることになりました。というのも、ふたりがいた喫茶店は路地の突き当り奥に存在しており、そんな場所にこのような通路が存在しているはずがないのです。

にもかかわらず、なぜこのような通路が存在しているのか―――と、そんなことを思っているうちに、再びドアが現れ、そのドアを開くと、そこにはちょっとしたロビーのような空間が存在しており、二十代後半くらいの青年が立っていたということです。


そこで智子さんたちが店主に謂われてここへ来た旨を告げると、ロビーの奥にある両開きのドアを示し、そこに映画館があるので空いている席に腰かけて上映がはじまるのをお待ちくださいと答えたそうです。なお、このとき、青年は奇妙な注意をしました。というのも、映画館に入ってからは、たとえ何があっても声を発しないでくださいというのです。

智子さんはどうしてそんな注意をするのだろうと不可解に思いながらも、映画館のなかへ入って行き、空いている席にお父さんと並んで腰かけたということです。

と、そこで智子さんは自分たちがいる映画館はちょっと普通ではないという気が付くことになったそうです。というのも、劇場内には現代人の格好とは明らかに異なった服装をしたひとたちが大勢いたそうなのです。平安時代の恰好をしたひとや、鎌倉時代や、江戸時代のような恰好をしたひと。

これは一体どうなっているんだと智子さんたちは思いましたが、しかし、映画が始まると、智子さんたちはすぐにその面白さに夢中になり、周囲の違和感については忘れてしまうことになったそうです。

6、現実世界への突然の帰還

しかし、智子さんのお父さんが映画の上映中、驚いて思わず声を上げてしまいます。すると、その瞬間、空間が揺れ動き、智子さんは激しい眩暈を感じることになったそうです。

そして気がつくと、二人は宿泊していたホテルの部屋にいたということです。智子さんが映画館のことを尋ねると、父親は「町に出かけたけど混んでいたからコンビニで弁当を買って帰ってきた」と、全く異なる記憶を持っていたそうです。

しかし、その父親の言葉を裏付けるようなものは、なにひとつとして存在していなかったということです。父親はついさっき食べたはずのコンビニ弁当がそこのテーブルの上にあるはずだといいましたが、そこには何もなく、コンビニで買い物をしたときにもらったというレシートも存在していなかったのです。

と、ここまで確認してから父親も事態を察することになります。というのも、彼は智子さんが昔から奇妙なものを見たり、聞いたする人間だということを承知していからです。つまり、自分たちはあの瞬間、現実世界と異なる、べつの世界に迷い込んでいたということを、彼も察することになったのです。

7、残された疑問と読者への問いかけ



翌日、喫茶店があったはずの場所を智子さんたちが訪れてみると、そこには小さな神社が建っていたそうです。智子さんたちは一体何を体験したのでしょうか?神様が創った別の空間に迷い込んでしまったのでしょうか?

皆さんはこの不思議な体験をどう解釈されますか? 時空を超えた異世界体験なのか、それとも単なる夢や幻覚だったのでしょうか? ぜひコメント欄で皆さんの感想やご意見をお聞かせください。

ちなみに、私はこのような不思議な体験をヒントに小説を執筆しています。もしこのような物語に興味を持たれた方は、下記のリンクから私の作品をお読みいただければ幸いです。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!不思議な世界の扉は、いつも私たちの身近にあるのかもしれません。日常の中に潜む異世界の入り口を、皆さんも探してみてはいかがでしょうか?

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