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♯83 食中毒事故による謝罪会見を見て思う

飲食業界に勤める身分として、決して人事ではない事故が発生しました。

老舗お弁当「吉田屋」による食中毒事故の発生。
被害は29からの都道府県からなり、症状を発症している人数は521人に渡る。

直近で発生した食中毒事故からすると、人数も範囲も大きく、改めて食に携わる仕事のこわさを痛感しています。

決してあってはならない事故であることに間違いはありません。

そんな前提の上で、多くを考えされらることとなりました。

食中毒事故発生の影響

食中毒を発生させてしまった時の影響は多方面にインパクトを与えます。

大きくは「健康面」「金銭面」「信用面」への影響を及ぼすこととなります。

▶︎健康面
まずは被害者への救済処置がもっとも優先されます。
一般的に食中毒事故の場合、死亡に至るケースは少ないといわれています。
ただ、子どもや高齢者は重篤化しやすく、後遺症が残るケースも多く、死亡事例は高齢者や子どもに偏り、少なからずも発生しています。

抵抗力の弱い年代への健康被害は、食中毒であっても注意が必要となります。

▶︎金銭面
被害者や販売元、契約取引先への補償や損害賠償など、被害の規模は人数が多くなるほど金額は膨れ上がります。

被害者個人の対応だけでも医療費や期間中の収入補償、また後遺症が残る場合の将来的な治療費など多岐にわたります。

この辺りについては企業単位で加入している保険で、多少はカバーできるケースもあります。

ただそれ以上に、行政処分の判断により営業停止となり売上げがゼロになってしまいます。

加えて契約先との契約解消といった将来的に予測していた売上げがなくなってしまうことから、企業の存続を揺るがす事態へと発展します。

大抵、同施設内にて年間単位での、食事提供を想定している場合には企業間で契約書を取り交わすことがほとんどです。

その契約書内で契約解消の条件には必ず「行政処分を類する事象の発生」といった記載が入ります。

金銭面による影響は短期的な面と、長期的な面と多岐に渡ります。

▶︎信用の失墜
食事=安心・安全
この前提がくずれてしまうこととなる食中毒事故は、企業のブランドイメージを大きく崩すこととなります。

正直、これが最も大きい影響であると捉えています。

食中毒事故1回で、会社の存続に関わる事態となり、実際に倒産してしまう事例もあります。

人間関係の信頼関係と似たような所もあって、回復するまでには長期間の取組みが必要となります。

それでも回復するかどうか分からない。
(人も一緒ですね)

信用の重要度について少し触れておくと、今後ますます重要度を増していくことに、間違いはなさそうです。

なぜなら、ここまで情報やノウハウが共有されてしまっているため、他社や個人での差別化はますます難しくなります。

消費者からの信用を基に応援したい気持ちを裏切らない取組みを、企業も個人も大切にしていくことはひとつの勝ち筋になり得ます。

吉田屋の記者会見を見て伝わってきたこと

不祥事による記者会見は最近よく目にするようになりました。

そんな多くある記者会見の中でも、今回「吉田屋」社長が行った謝罪会見は、とにかく良かったんです。

謝罪会見をみて感動したのは初めてでした。

おそらく同業として、共感の可能性もあります。

ただ、見た後の感想は「吉田屋」が営業を再開したら必ず買いたいという応援の気持ちでした。

なんでそう思ったのかを自分なりに考えてみると、そこには理屈を超えた感情面の納得感があります。

全ての責任を認めて、お詫びを伝える姿勢は誰が見ても嘘偽りのない発言であったと伝わってきました。

そして自分が従業員であれば、社長のために頑張ろうと素直に思うことができます。

自分があの謝罪会見の当事者だとして、あんなにも温度が乗っかった発言ができるだろうか。

おそらく変なことを言っちゃいけないという浅はかな考えから、誰の納得感も得られない発言になっていると思います。

論理より感情による納得感

これまで自分の足りない何かを埋めていくために、本を読んだりアウトプットをしたりと、何かのテクニックや考え方を積み重ねてきいます。

もちろんそんな取組みも、決してムダにはならないと思います。

ただ、改めて謝罪会見を通じて思うことは人を動かしたり、深い納得感を得るためにはテクニックや論理でなくて、感情面による納得感が大きく起因していくことを考えさせられました。

どれだけ知識を蓄えようとも、社会的な立場が上がろうとも、人と何かを進めていくということに変わりません。

改めて言葉に温度を乗せる人になっていくことの重要性について、素晴らしい気づきを得ることができるきっかけとなりました。

最後までお読みいただきありがとうございます。
何かのきっかけになれば幸いです。

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