ピンクと水色の薄暗いショッピングモール...謎の音楽作品群「薔薇綺麗躊躇網羅就職痙攣蝋燭鷹麟」とは？
こんにちは。先日Bandcampを見ていたらこんな作品を見つけました。
「薔薇綺麗躊躇網羅就職痙攣蝋燭鷹麟」というタイトルのこの奇妙な作品群は、中国人のアーティストの鬱さんによって2019年にリリースされました。
今回はこれらを紹介していこうと思います。
構成
全14作品は、アルバムカバーの色によってPinkとBlueの2つに分けられています。
各色のアルバムを一枚にまとめたものが2020年にリリースされており、
Pink版のタイトルは「薔薇綺麗躊躇網羅就職痙攣蝋燭鷹麟爨齉馕龘爨齉龘」(薔薇、綺麗、躊躇、網羅、就職、痙攣、蝋燭、以下不明）で、
Blue版のタイトルは「過世的購物中心蕭條導瀉檔案完畢世界」（死、モール、鬱病、アーカイブ、カタルシス、終わり、世界）となっています。
この２枚は「生と死の音楽のコレクション」というコンセプトのネットレーベル「Geometric Lullaby」からリリースされました。
次に、各作品について見ていきます。
全14枚のうち、Pinkシリーズは９枚、Blueシリーズは５枚で、それぞれの１枚目は空のアルバム（曲が入っていない）です。
タイトルは先ほどのまとめ版と同じです。
概要欄には漢字の間に英単語が書かれており、
Pinkシリーズは
(rose beautiful hesitation inclusion searching seizure candle giraffe)
(バラ、綺麗、躊躇、包含、探し、発作、蝋燭、キリン）
(oven nose dragon bread cook stoppage flight)
(オーブン、鼻、ドラゴン、パン、料理、停止便)
Blueシリーズは
(dead mall depression archive catharsis end world)
(死、モール、鬱病、アーカイブ、カタルシス、終わり、世界）
となっています。
次に、２枚目以降の作品を見ていきます。
作品タイトルのつけ方には以下のような規則性があります。
Pinkシリーズ
・２枚目以降のタイトルは、１枚目のタイトルの末尾７文字を並べ替えたものの前後に「・」をつける。
・５枚目までは「・」が１つずつ増えていく。
・「・」は４つまで増やすことができる。
・６枚目以降のタイトルは、１枚目のタイトルの最初から1６文字の前後に「・」をつける。
・６枚目以降は「・」が１つずつ減っていく。
Blueシリーズ
・２枚目以降のタイトルは、１枚目のタイトルの前後に「・」をつける。
「・」は４つまで増やすことができる。
また、曲名のつけ方にも規則性があります。
Pinkシリーズ・Blueシリーズ共通
・アルバムタイトルを1～３単語に区切ったものの最初と最後に、アルバムタイトルについている数だけ「・」をつける
Pinkシリーズ２～５枚目
・同じタイトルの曲が２曲ずつある(内容は違う)
さらに、リリース日にも特徴があります。
これらの作品がBandcampに投稿されたのは2019年３月12日～13日の間ですが、個々の作品ページには1990年10月31日または1992年10月31日リリースと記載されています。
次に、肝心の音楽について見ていきます。
音楽
これらの音楽は、Vaporwaveのサブジャンルである「mallsoft」だと思われます。
mallsoftについてはすでに良い記事を書いている方がいたので引用させてていただきます↓
mallsoftとはその名の通りショッピングモールをイメージした音楽で、遠くで鳴っていてリバーブの効いたBGMに館内アナウンス、人の雑踏音が追加されて"まるでショッピングモールにいるかのような"体験をすることができます。
アイコンとして人気のない施設、観葉植物などの適度な緑、エスカレーターや階段....etcがよく使われています。
何曲か聴いてみましたが、昔のショッピングモールで流れてそうな音楽をサンプリングしているものが多いです。
また、かなりガサガサした加工をしているのもVaporwave系の特徴に当てはまります。(本作は少し極端な気もしますが）
さらに、Blue版のページの下に記載されている英単語にも「mall」が含まれています。
（余談ですが、Pink/Blueまとめ版をリリースしたネットレーベル「Geometric Lullaby」には、mallsoftの代表的なアーティストの猫シ Corp.さんが所属しています。）
次に、ビジュアルの考察をしていきます。
ビジュアル
Mallsoftはビジュアルアートのジャンルを指す言葉でもあります。
Mallsoftのビジュアルは主に以下の２つに分けられます。
①モールの黄金時代(買い物をする顧客でいっぱい）
②閉鎖の危機に瀕しているモールの状態
この作品は②に当てはまります。
また、写真が暗く、人がいないことから、After Hours(通常は人々でにぎわっている場所が空っぽで見捨てられていること）や、Liminal Space(大きくて空っぽでありながら、不気味で不安な雰囲気を運ぶ部屋や廊下）の要素もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これらの作品は全てBandcampから無料または値段を決めてダウンロードできるので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
それではまた～～
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