5ヤーダー

“あるときローズウォーターがビリーにおもしろいことをいった。SFではないが、これも本の話である。人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこうつけ加えた、
「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ」”

カート・ヴォネガット・ジュニア
『スローターハウス5』


坂口安吾のエッセイに「文学のふるさと」という名高い話があります。
その中で安吾はシャルル・ペロオの童話「赤頭巾」を引きこう論じています。

 愛くるしくて、心が優しくて、すべて美徳ばかりで悪さというものが何もない可憐な少女が、森のお婆さんの病気を見舞に行って、お婆さんに化けている狼にムシャムシャ食べられてしまう。
 私達はいきなりそこで突き放されて、何か約束が違ったような感じで戸惑いしながら、然し、思わず目を打たれて、プツンとちょん切られた空しい余白に、非常に静かな、しかも透明な、ひとつの切ない「ふるさと」を見ないでしょうか。

いったいなんの話だオレたちのアメフットはどこへいったとお思いでしょうが、わたしは5ヤーダーを最後まで読んでこの「ふるさと」を感じたのです。
それは真に5ヤーダーと向き合い、なにやら評判のよくない全国大会決勝戦の刑事ドラマにも素直に感動し、限りなく燃ゆるものそれが青春と心に刻みつけたればこそ。

毒にも薬にもならない漫画が溢れる昨今。この5ヤーダーは間違いなく猛毒です。だからこそ是非とも多く人に読んでほしい。読破した後の何か、氷を抱きしめたような、切ない悲しさ、美しさを体感していただきたい。

〜24時間後〜

 上記の文を書いてからすこし冷静になって考えてみるとアメフット地獄の犠牲者を増やすだけのような気もしてきたので自己責任で読んでください。

 世の中には二種類の人間がいる。『5ヤーダー』を読破したことのある人と、読破したことのない人だ。


エスパー

ここの収入はお店でもスタッフでもなく、自分だけのために使います!使っちゃいます!使ってやるんだからぁぁぁ〜!!本買ったり、文房具買ったり、美味しいもの食べたりします!!します!!それでまた、note書きます。支援すごく嬉しいです。(とか言いながらお店に使ったらゴメン)