プラネテスと修羅

PHASE1「屑星の空」を読んで、しばらく先に進むことができませんでした。
SF作品としても、物語としてもあまりにも完成度が高く、2、3日その余韻に浸り、後は、4巻最後まで一気読みです。
短編作品が連なり一つの世界を構築する物語だと思っていたのですが、良い意味で期待を裏切られました。

ハチとロックスミスは求道者としては同じです。
ロックスミスを最初に評価したハチの父、五郎もまた同じく。
その時点でのハチはまだ未熟で、ロックスミスはおろか、五郎にも大きく後塵を拝していましたが、求めるところは彼らと同じです。
しかし、目指した先は等しくとも、ハチがたどり着いたその場所はまた別の境地。それはタナベによって導かれた世界。

愛を叫び、テロリストさえ救おうとするタナベ。
犠牲を払ってでも全人類の幸福を目指すロックスミス。
優れた才を持ちながら、祖国の為、テロ行為も辞さないハキム。
木星から愛し合うことを叫んだハチ。

彼らは皆、宮沢賢治の子供たちです。

善良な童話作家として語られがちな宮沢賢治ですが、彼には熱心な日蓮信奉者であったという側面があります。
上京して、日蓮の教えとアジア主義を足して何倍も過激になった国柱会という団体に入れてもらおうとするも、病弱を理由として断られてしまいます。
この時、入会を承諾されていたら、宮沢賢治はテロリストとして名を残していたかもしれません。

29才の時、『世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない』
と、大上段に振りかざした宮沢賢治も、死を前にして病床から元教え子に宛てた手紙には、思想の変化が見られます。それは変節ではなく、より大きな進化に思えます。

わたしにはまだ、プラネテスも宮沢賢治も大きすぎて、きちんと消化できていません。

それでもプラネテスは一級品の作品だと思います。

エスパー

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