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パルデアの思い出をモザイクアートにしてレポートとして提出した話

 2023年9月。ポケモン公式から、宝探しのレポートと題する特別映像が公開されました。

 この動画は、パルデアの地を旅した様々なトレーナーの視点から書かれたレポートを交えた、ストーリーをざっくりと振り返るダイジェスト動画だったのですが、その最後に気になるお知らせがありました。

 それは、要約すると「あなたのレポートを提出しよう」という内容のものでした。

先ほどの動画の3:23~

 ちょうどいいことに、ポケモンSVをプレーする時にはセーブとしてのレポートとは別に、行動のログ兼個人的な日記としてのリアルレポートをつけていました。その量74日分(プレー時間にして約245時間)

リアルレポートのラストの方
短めの日記を書きつつ、プレー時間を把握するため、出来事ごとにスクショを撮影し、
その撮影時刻の差から区間タイムや累積タイムを計測していた

 せっかくこれだけの物量のあるリアルレポートがあるので、これを活かしたレポートを提出したいなと考えた結果、「パルデアの思い出を一纏めにしたモザイクアートを添えたレポート」を提出するに至りました。

 リアルレポートを書いたりモザイクアートを作ったりする中で、色々と面白い気づきがあったりしたので、この記事として残します。いわばこの記事は、レポートから作ったレポートに関するレポートです。



そもそもリアルレポートを書いていた訳

・リアルレポートはセルフ足跡モード

 ポケモンSVをプレーするにあたって「リアルレポートを書く」というのは発売前から決めていました。

 というのも、今作のポケモンはオープンワールドで、ジムなどの巡る順番が自由になっています。なので、プレーヤーごとにパルデアを旅するルートが違っていくので、その違いを楽しむためにも「どのようにして自分の旅のルートが出来上がったのか」を残しておくと面白いだろうと考え、リアルレポートの作成をすることにしたのでした。

 また、ゲームのプレースタイルが超じっくり探索派なので、同じプレー時間だと周りの友人より進捗が遅れる傾向にありました。そのため迂闊に友人と話すとネタバレを踏む恐れがありました。一方で、全部クリアして周りの進捗に追いつくまで自分のプレー体験を隅から隅まで覚えておくのも大変なので、負担を減らすためにも何かに残すという形が合っていたという理由もありました。結果的にプレー時間と変わらないくらいリアルレポートの作成時間がかかったので負担が減ったか怪しいところではありますが……。

12月ごろに友人たちとそれぞれのパルデアの旅のルートについて話していた時の予定ルート
実際はやや違うものになったが、概ね当初考えていた「パルデアぐるぐる2周ルート」で巡った
当時話していたメンバーのルートが見事にバラバラで予想通り面白かった


・リアルレポートの完走を目指して

 ポケモンSVのリアルレポートを書くにあたって、掲げていた目標がありました。それは、「旅の最後まで書き切る」というものでした。

 ポケモンのリアルレポートを残すのは、以前『Pokémon LEGENDS アルセウス』で行っていました。しかしその時は、ガッツリとした日記の形式で書いていたため、実質的な1周目クリアであるエンディングまでは書いていたのですが、その後の完全クリアであるアルセウス捕獲まではダレたこともあり書き上げることを諦めました。

ヒスイ当時のリアルレポート
この書き方でクリア後ストーリーの序盤までおよそ80000字の記載をしていた

 このこともあり、ポケモンSVのリアルレポートでは「最後まで書き上げやすい方法」を用意して完成のリベンジを目指すことにしました。

 今回のリアルレポートでは、「出来事ごとに短めのレポートを記載し、合わせてその出来事の通過時刻を記載することで、区間タイムや累積プレー時間を自動集計する」という形にしました。表形式にしたことで、途中で見つけた新たに集計したいもの(十景や杭の進捗)について、情報列を追加できたりと思っていた以上に便利だったので、無事にクリア後ストーリーの完遂や全レシピ回収にパルデア図鑑の完成と、埋めたい要素を100%埋めきるという旅の最後まで書き切ることができました。
 区間タイムを集計することにしたことで、改めて読み返した時にどういうところに時間をかけているのかを客観的に眺められるのは面白いところでした。また、黒い杭を発見地も含めて記録していたおかげで、終盤で未発見の場所を推理して実際に見つけることもできたという、プレーとしてありがたいおまけもついてきました。

パルデアのリアルレポートの編集用画面
時間や進捗の処理だけでなく、印刷用の整形版シートの作成をほぼ自動で行ってくれる

 内容の書き方自体はシンプルになったのですが、プレーの内容自体がとても長いものになったので、結果的にこのリアルレポートは74日分・印刷用レイアウトだとA4で29ページという物量になったのでした。そして、このリアルレポートを作成するために撮影していた自撮り・ピクニックの様子・諸々の会話・ムービーの決めポーズなどのスクショは13000枚強とこちらも凄い量となり、この物量が提出レポートに活きることになるのでした。


せっかくだから提出レポートで何かしたくなった

・リアルレポートの使い道

 パルデアの旅も終わり、リアルレポートやスクショの整理が落ち着いたころ、せっかくなのでこのレポートで何かできないのかなと考えていました。ちょうどその時あったのが、上記の公式のレポート提出のお知らせです。

 あまりにもタイミングがちょうど良く、「もうこれはリアルレポート活かしたレポートを作って提出するしかない!」と思い、提出レポートに着手することになりました。
 そして、単に提出フォーマットに則ったものを出すのではなく、何かこのリアルレポートの物量を活かしたものを作ろうと考えました。そして考えた結果、撮り溜めたスクショを使ってモザイクアートを作ることにしました。旅の記録がたくさんあるからこそこういうものが作れ、また旅の記録をひとまとめにできるというのも記録とともに旅をした自分にぴったりだなと思いついたので、モザイクアートを選びました。


・そして出来た提出レポート

 提出レポートでやりたいことも決まったので、勢いに任せてモザイクアートの作り方を調べ、提出レポートの残りの埋めるところも埋めて完成したのが、以下の提出レポートです。

自分で自由に記入可能なテンプレを利用

 決まったフォーマットの中でやりたいことをやりきれたのは、なかなかいい経験になりました。スクショを撮り溜めていたおかげで、装飾としての写真もいろいろ貼り付けられたのもあったので、リアルレポートを残しながらプレーしてほんと良かったなと思わされました。


モザイクアートを作って色の知見を得た話

・せっかくなのでモザイクアートの実装から作ってみた

 この提出レポートを作るにあたって、その核になっていたのがモザイクアートでした。ただ、モザイクアートを作るにも一枚一枚並べていくのは大変なので、何かツールを使って作ってもらう形式を選びました。そして、せっかくなのでそのモザイクアートを作るツールの実装から作ってみることにしました

 幸いにも、モザイクアートの実装を公開している人は様々いたので、それらを参考に、自分なりにカスタムしながら実装していきました。

 今回のパルデアのレポートのモザイクアートでは、「一万枚を超える旅の記録(今回実際にモザイクアートに使用したのは12100枚)」から、「旅の証となる図鑑完成などやりたい要素を100%やり切った後のプロフィール画像」を作りました。
 これを作るにあたって一つこだわりのポイントがありました。それは、「同じ画像を使わない」ということです。旅の記録が集まって、一つの大きな旅の証を構成するということを表したかったので、ここはこだわりました。

 このモザイクアートを作る実装については、別の記事にその実装と解説をまとめましたので、そちらを参照してください。


・色をどう捉えるかで仕上がりが違う

 このモザイクアートを作るツールを自作したおかげで、思わぬ副産物となる知見を得ました。それは、「モザイクアートを構成する写真が同じでも、並べる際に使う色空間が違うと仕上がりに大きな違いが出る」ということでした。

 モザイクアートを作る工程で、並べる画像をどこに並べるかを判断する際に、「置く場所に対応する元の画像の一部分と、その置きたい画像の差が小さくなる」ように並べる実装をしていました。そして自作で作っていたおかげで、この「画像の差」をどう計算するかをカスタムすることができました

 今回の実装では、「画像の差」を「ある色空間での画像の同士の距離」としました。そしてその色空間を変えてみると、仕上がりに大きな違いが出ることがわかりました。

今回用意した画像では、Lab色空間で作るのが上手くいった

 初めは、RGB色空間で実装していましたがあまりうまくいきませんでした。
 思っていたよりもノイジーな仕上がりになってしまったので、次はHSV色空間で画像の差を計算することにしました。明暗より色味が近いものを優先できるように、Hueの値の差の影響度を大きくしてみたところ、RGBよりかは輪郭がはっきりとした仕上がりとなりました。しかしながら髪色が違うものになったりと、色味重視にしたにも関わらず色味が違うということが発生してしまいました。これは後で気がついたことなのですが、Hueの差の扱い方に問題があったため、期待されるものとは違う色味が近い色味と判定されることがあるというバグが発生していたことによるものでした。
 そして、見た目ははっきりしたもののもっと綺麗にできないかと思い、Lab色空間を試してみました。こちらもどの値を重視するかカスタムしながら試したところ、Lを重視したものが良い仕上がりになったので、こちらを採用することにしました。

 このような、細かいカスタムができるというのは、実装を自作してみたからこそのもので、面白い知見を得られたいい体験となりました。


おわりに

 パルデアの旅のリアルレポートを面白そうだからとつけていたら、レポート提出企画が舞い込んできて、そこに参加する中でさらなる面白い知見を得ることができました。
 リアルレポートをつけている時に、これを活かして作ろうと思っていたものは全く違うものだったのですが、公式の企画に触発されて、予定を変更したことで、この体験をすることができたので、これはこれでよかったのだろうと思います。
 今後もこういうことが起こるかもしれないので、自分なりの面白そうな楽しみ方をいろんな場面で探し続けていきたいと思います。


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