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カレンブーケドールについて語りたい【名馬解説シリーズ】

 ようこそ皆様LT_1E0でございます。皆さんは「シルバーコレクター」と聞いてどの馬を思い浮かべますか?ステイゴールド、メイショウドトウ、シーキングザダイヤ、最近ではサウンズオブアース、エタリオウ…そんな「シルバーコレクター」の中でも令和最初のシルコレと言っても過言ではない、相手が強くても勝たないけど上位、一番人気でも勝たないけど上位というまさに「善戦」という言葉が似合う馬。ゆえにファンから愛され、ぬいぐるみも販売されたカレンブーケドールについて解説します。ぬいぐるみは買いました。

♢基本情報

馬名:カレンブーケドール(冠名+黄金の花束)
父:ディープインパクト・母:ソラリア
母父:スキャットダディ
生産:社台ファーム
馬主:鈴木隆司氏(冠名…カレン)
2016.4.23生まれ(バナナマン設楽さん、バイきんぐ西村さん、森山直太朗さん、馬ではレガシーワールド、サニーブライアンと同日)
戦績:17戦2勝
獲得賞金:4億5805万7000円
主な勝ち鞍:スイートピーステークス

♢デビュー~スイートピーステークス

 前年に管理するアーモンドアイが三冠を達成した国枝栄厩舎からデビュー。アーモンドアイに加え、アパパネも国枝厩舎で、牝馬のイメージが強い調教師。そんなカレンブーケドールは2歳10月、秋の東京開催最初の週にデビューしました。芝1800mのレース、鞍上は北村宏司騎手。上り3F33.0というメンバー最速のタイムで勝ち馬とタイム差なし2着。勝ったのはクラシックやマイル路線で活躍した安田記念の勝ち馬ダノンキングリーでした。ちなみに私はダノンキングリーも好きな馬です。
 2戦目は同じコースで3着。すでに惜敗が続きますが、デビュー3戦目で初勝利。中山マイルの舞台、鞍上は2戦乗った北村宏司から乗り替わったオイシン・マーフィー騎手。
 そして4戦目は重賞初挑戦となるクイーンカップ。このレースは戸崎圭太騎手が騎乗し4着で、賞金加算が出来なかったこともあり桜花賞はパス。この年のクイーンC、勝ったのは後の年度代表馬クロノジェネシス。運がない。
 そして、5戦目のスイートピーSで初コンビの津村明秀騎手を背に勝利。まさかこれが最後の勝利になるとは。ともあれオークスの出走権を手にし、このあとは、そのオークスへと向かいます。

♢惜敗の始まり

オークスは単勝12番人気と低評価。レースは最内枠のジョディーがスタートからの1000mを59.1とやや速めのペースで運び、カレンブーケドールは好位4番手外を追走。4コーナー手前から仕掛けに入るロングスパートで直線入り口に先頭へ。ジリジリと迫る内クロノジェネシスとコントラチェック、外はシャドウディーヴァにダノンファンタジー。やや広がった競り合いになりましたがここで外から強襲無敗馬ラヴズオンリーユー。残り100の地点で一気に先頭に立ちました。ここでカレンブーケドールは突き放されず食い下がりますが及ばずラヴズオンリーユーに軍配。カレンブーケドールクビ差及ばずの2着で、津村騎手の初GI制覇とはなりませんでした。この段階ではもちろんシルバーコレクターなんて誰も思っておらず、ただGIで穴を開けた津村の馬というのが大方の印象でした。しかし、ここから勝ちきれないレースが続いていきます。
 秋初戦の紫苑ステークスはGI2着の実積を評価され一番人気。良いスタートを切り道中は2番手を追走。4コーナーで堂々先頭に立ちますが、ここで外からパッシングスルー、内からはフェアリーポルカが追ってきて結果的に3着。
 秋華賞は道中中団やや前のインというポジションを進み、4コーナーで追い出し馬群を捌いて伸びますが、一緒になって追い込んだクロノジェネシスに及ばずここも2着。クロノジェネシスやオークスのラヴズオンリーユーはあの後活躍しているだけに、運が無いなと。

♢牡馬との戦いと終わらない2着

 その後はジャパンカップで牡馬と初対戦。世界に通用するかと言いたいところですがこのときは外国馬無しの年。ムーア、フランキー、スミヨン、マーフィー、ビュイック、そしてユタカさんとなんかもう凄いメンツが集まった。レースは、前年まで三連覇中と縁起の良い1枠1番で、道中は好位インを追走。直線へ向くと逃げたダイワキャグニーを追っていきます。私は現地観戦してましたが、お、勝ったんじゃね?なんて思っていました。残り250の辺りで先頭に立って「これは…!」と思った直後、ダイワキャグニーの内、ラチ沿いから抜け出したのは若き天才オイシン・マーフィーとスワーヴリチャード。逃げたダイワキャグニーが食い下がり、外からはワグネリアンが追い込んで来ましたがスワーヴリチャードとカレンブーケドールとの一騎討ち。しかしスワーヴリチャードに競り落とされカレンブーケドールは2着。この辺でシルコレ臭がしてきました。
 年明け、ドバイを目標に京都記念から始動。また1枠1番を引き当てたカレンブーケドールは、五分のスタートから道中は9頭立てとはいえ後方から2頭目を追走。4コーナーで一気に外から進出開始、足を伸ばすも先に抜け出した同世代の秋華賞馬クロノジェネシスを捕らえらず2着。この頃にはさすがにシルコレ認定されてましたね。
 そして、ドバイへと向かいますが渡航後にこの頃流行り出した新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止に。渡航してからレースもできずに帰国。アドマイヤマーズなど、あの後調子を崩してしまった馬もいました。カレンブーケドールは秋まで休養。
 約半年振りの実戦となったオールカマー。一番人気こそミッキースワローに譲りましたが、正直このメンバーなら勝てると思ってた。道中はいつも通り好位。4コーナーで手応え十分に先頭へ。これは勝った。良かった。津村さんGIIすら勝ってないんよな。良かったよ。ミッキースワローも伸びないし、因縁のクロノジェネシスもいないんだ。ドバイからの帰国で調子が心配だったけど、秋や年明け、GI勝てるかな。よ~し勝って良かセンテリュオォォォ!!差しきられ負け。不運のハナ差負け。奇跡の4連続2着。

♢評価すべき2戦がある

 デアリングタクトが史上初の無敗牝馬三冠達成、その翌週にコントレイルが史上初の父子牡馬三冠達成、そのまた翌週に史上初の芝GI8勝。エグい3週間があり競馬界は大盛り上がり。そしてその3頭がジャパンカップに参戦。アーモンドアイももちろん三冠馬なので、三冠馬3頭が相見える史上初の事態に。もちろん人気は3頭に集中。その一方で密かにこんな声が上がる。「カレンブーケドールがまた2着になる可能性もあるんじゃね…?」普通に考えてこの3頭のワンツースリーフィニッシュの可能性は高い。しかし、カレンブーケドールはスイートピーSから7戦連続で馬券内。キャリア11戦で馬券外は1度(しかも4着)相手が強くても安定した成績を残す。このメンバーでも普通に走るのでは。しかも二年連続1枠1番の神引き。単勝25倍近くあるのに複勝は頑張っても4倍しか付かない。三強、グローリーヴェイズに次ぐ5番人気ながら普通にアーモンドアイと国枝厩舎ワンツーがあると思ってた。
 レースでは注目の馬がもう1頭現れた。みんな大好き(というかこのレースでファンを増やした感もあるが)キセキくんです。スタートではトーラスジェミニ、ヨシオも迫りながらキセキが先手。枠的にまあキセキが逃げて、トーラスジェミニやグローリーヴェイズ、そしてアーモンドアイにカレンブーケドールあたりが番手かと思ってたのよ。いや、馬順はあってんのよ。キセキが行って、上に書いた4頭とヨシオ、クレッシェンドラヴが先団。でもキセキがあんな1000m57.9で行くなんて思わんやん()とにもかくにもキセキが10馬身以上の大逃げ。4コーナーでも止まってたけど「これ届く…?」なんて思ってた。2番手以降を見ると、4コーナーでカレンブーケドールがすっと外に出した。多分グローリーヴェイズが通ってた辺りが1番馬場が良くてコースロスがない場所。逃げたキセキはまだしも他の馬は馬場のいいところじゃないと普通にとどかにゃい。みんなフラフラだったから追い出す進路を作ったのは好騎乗。グローリーヴェイズが2番手、外からアーモンドアイとさらに外でカレンブーケドール。コントレイルは中団馬群の一番外、デアリングタクトに至っては馬群の中。キセキは多分止まると信じて、「これグローリーヴェイズ・コントレイル・デアリングタクトのうち2頭飛べばカレンブーケドールあるぞ!」と思ってた。あ、アーモンドアイは勝ちそうだったね。残り200でキセキは後退、変わってアーモンドアイが抜け出し、内でグローリーヴェイズはやや苦しい。コントレイルは来てるけどデアリングタクトは厳しい!ブーケドール3着ある!ある!あるぞ!わーデアタクきたー!え、どっちだ…アーモンドアイ勝ったな、ルメールのガッツポーズ良いな~。コントレイルは牡馬の意地。2着は確保。問題は3着だ。カレンブーケドールには勝ってほしいが、正直三冠馬と互角に戦った時点で歴史的名馬だ。でもどうせなら3着に入って、名を知らしめてやろう。さあ、判定写真は、どれどれ…

3着争い

あかんじゃん あかんじゃん 関東生まれ関西育ち(キモ~)いや本当にあかんじゃん。マジで数センチの差だ。いや~でもデアリングタクトはキツイと思ったけどな~。終わってみれば三強で決着。でもこの馬達と互角に戦って、本当に立派だね。評価すべきレース其の其の壱です。え~、私の思いが文字としていっぱい出てきたジャパンカップでした()
 そして次走には有馬記念を選択。しかしここで、少し残念なお知らせが。鞍上は池添さんで行くみたい。あら、津村さん別でお手馬いるのか。いや、いるわけないか(失礼)う~ん、決してやらかしてたわけじゃあないが、勝てなかったことがやっぱりダメだったみたい。有馬記念男・カレンチャンの旦那IKZE騎手が騎乗ということで、普通に考えたらプラスに捉えていい気もしますが、どうしても自分は納得というか、悔しかった。津村さんとGI勝ちが見たかった。実は私、津村さんからサインを貰ったことがある(え)コロナで無観客になる直前。多分東京新聞杯の日。京都記念の前の週か。てことで、凄い好きな馬なのよ。馬というか、カレンブーケドール×津村が好きだったのよ。という感じで、有馬記念はカレンブーケドールは応援できず。勝ったのは因縁のクロノジェネシス()
 年明け、松山騎手を背に日経賞で始動。久々に一番人気に推されました。まだ納得できず道中はやっぱり好位。しかし、どうやら斜行があったらしく、松山さんは騎乗停止食らったね。また直線ではラチ沿いから前を追うも前を行くウインマリリンに届かず2着。また2着。
 そして、評価されるべきレース其の弐は天皇賞(春)。大阪杯ではなく、ヴィクトリアマイルでもなく3200mの天皇賞(春)を選択。さすがに2着どころか馬券内、なんなら掲示板すら厳しいのではと思われていた。鞍上はまた乗り替わりとなり戸崎さん。クイーンCで乗ってますね。テン乗りではないと。正直阪神では戸崎さんダメとかも思ってる方は多かったでしょう。そしてこの距離。マイナスだらけで、単勝は割れていましたが4番人気。ちなみに私は初めて好きになった騎手が戸崎さんなので、許せました()レースではシルヴァーソニックが落馬…あ、それ違う年や()気を取り直して、レースはディアスティマの逃げ、2番手じゃ困るジャコマル(by岡安譲)、その後3番手にカレンブーケドールとその後ろにシロニイ(by岡安譲)。2周目4コーナーで一気に先頭へ並びかけるとお得意ロングスパートで突き放しにかかります。しかし、3000m超のレースで実積があるディアスティマの粘り、外からディープボンドとワールドプレミアの追い込み。その背後からアリストテレスも詰め寄る。ここは長距離の経験が物を言い、ワールドプレミアとディープボンドには先着を許すも、3着を確保。牝馬の天皇賞(春)馬券内はどうやら1955年のセカイイチという馬以来らしいよ(セカイイチは2着)牝馬が春天で馬券内は評価ポイント。
 この後は宝塚記念4着、天皇賞(秋)で初の掲示板外となる12着。その後ジャパンカップを目指すも繋靭帯炎で引退。通算成績は17戦2勝で、[2-7-3-3-1-1]でわかるように、安定した成績を残しました。勝てなかったけどね()

♢ファンから愛された証

 ところで、いっちばん最初にも書きましたがこの馬はぬいぐるみ化されています。しかし、普通ならGI2勝orダービー勝ちor有馬記念勝ちがぬいぐるみ化の条件です。ですが、京都競馬場主催の「アイドルホースオーディション」(解説の記事上げてます)で選ばれました。ほぼすべての馬→10頭→5頭と絞っていくのですが、10頭に絞るところでは7位だったにも関わらず、最終投票で5位に滑り込みました。ファンから愛され名馬を抑え5着と掲示板入り。凄いですね…私も迷わず買いました。

ということで、今回は以上となります。名馬解説シリーズの第一回は、一番好きなカレンブーケドールを選びましたが、これからも個性派をたくさん語っていきます。集中しないと普通に書くのに1ヶ月とかかかる。集中したらまあ1~2時間くらいで書けそうだけど。では、この記事をいいと思った方、またこれからもこのシリーズを続けてほしいという方は♥️とフォローをよろしくお願いします。投稿の励みになります。ありがとうございました!それではまた。

【この記事のどうでもいいクイズ】

この記事で、「2着」という単語は何回出てきたでしょうか?(↑は入れないで)

答え合わせは次回で!(1ヶ月後やん)

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