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サマクラ・ウィンター攻略法〜学歴・GPAがないロー生の唯一の生存戦略〜


はじめに

はじめまして、慶應ロー2年のドンチャンです。
私はこれまで、ロースクールで司法試験の勉強をしながら、サマークラークやウィンタークラークなどのインターンに参加してきました。

現状、ネット上にあるインターンの成功体験談は、元々のスペックが非常に高かったり、特殊な強い経歴を持っている方が非常に多いように思います。また、その中でも内定者の数が多い五大の体験記が特に多く、100人以下の中小事務所の体験記は極めて少ないと感じています。

そこで今回は、高GPAではなく、特段高学歴でもなく、留学経験など目立った経験もない就活生が、無理なく実行できるような、特に中小事務所就活での立ち回りについて、私の具体的な経験に即した記事を執筆しました。

筆者は、2つの事務所でサマークラークとスプリングクラークの両方に参加しています。サマークラークでの印象が悪くなかったため、スプリングクラークにも呼ばれているといえます。その他の事務所でも夏以降に個別に面接する機会をいただいたりもしました。そのため、インターンでの立ち回りに関しては間違えていないと考えています。

本記事ではESからインターンでの課題、さらに懇親会やお礼メールについてもまとめています。ぜひご覧ください。

学歴・GPAがないロー生の唯一の生存戦略

早速ですが、学歴・GPAがないロー生の唯一の生存戦略とは「正しく就活と向き合う」ことです。
身も蓋もないように感じるかもしれませんが、法律事務所における就活ではこれができていない就活生が意外にも多いのです。そこで、これこそが学歴やGPAなどの差を詰めるための唯一の手段であると考えます。

正しく就活と向き合うためのポイントは大きく分けて二つあります。それはESでの準備インターン当日の動きです。
どちらも準備さえすれば誰でも再現できるものだと思います。以下ではこの2点について、私なりの経験を元に詳しく攻略法をお伝えします。

ESについて

たくさんESを出しましょう

まずは、サマークラークに参加しなければ就活は何も始まりません。ここで1番大切なことはたくさんESを出すということです。学部学歴が強くない場合や、GPAがそれほど高くない場合は、数多くエントリーしないと全落ちということもあり得ます。僕自身、25個以上のエントリーシートを提出して、通過したのは5事務所でした。

ESは、書くたびに洗練されていき、また、各事務所の特色も掴めるようになってきます。
さらに、色々な事務所を見ることは、就活において最も大切なことである自分のキャリアの軸を固めることにも役立ちます。そのため、ESは妥協せずにたくさん出しましょう。

ESをしっかり書くのには相当な時間がかかります。ロースクールに入学してすぐ(あるいは入学前の3月)にサマークラークの応募が始まりますが、入学後は授業の予習復習などの新生活に慣れるのと並行してESを書かなければなりません。そこで、4月にロースクール入学を控える方は、春休みのうちにある程度業界研究をして、自分の強みや経験を文章化しておくことをおすすめします。

事務所研究をする・大部分をコピペで使い回さない

ESの大部分をコピペで大量に使い回した場合でもESが通過することはあると思います。しかし、それは高学歴・高GPA、早期卒業、予備試験などの強みがある場合に限られます。それ以外の人はESで自分の強みや志望理由をしっかり書きましょう。

説得的な志望理由を書くためには、まず、事務所のHPをしっかり読むことが大切です。事務所研究をして書いたESとそうでないESとでは歴然の差が生まれます。中小事務所は採用人数が多くないことから、特に志望度の高い人に来てもらいたい場合が多く、しっかりとESにも目を通していると思われます。手を抜かずに自分の言葉でESを書くべきです。

例えば私の場合、事務所HPに理念が全面に出ている場合は、それに引きつけて自身の経験や興味を書きました。
組織性を重視している事務所では、自身のチームプレーをした経験を書いたり、自由を重視している事務所では、主体的に自分で考えながら行動できる点をアピールしました。また、地方の事務所に応募する場合は、なぜその地方で働きたいのかを説得的に書けるとより通過する可能性が高いと思います。

また、HP以外でも事務所説明会に参加したなら、そこでの先生方の発言を引用しても良いかもしれません。その場合は、どの先生が何を言っていたのかをしっかり覚えておきましょう。「先生がこういうことを言っていた、自分はこういうことができる、だから自分はこの事務所に合うと考える。」と、構造的に文章に落とし込めると説得的です。

形式上のミスに気をつける

自分で履歴書を作成して提出する事務所の場合、一部だけフォントや文字の大きさが変わっているなどの形式上のミスに気をつけましょう。こういったミスはコピペのESに一部だけ変更を加えたことを推認させるため、志望度が低いと思われてしまいます。当然ですが、誤字脱字(特に事務所名は要注意)にも気をつけて、何回もチェックした上で、ESを提出しましょう。

証明写真にはこだわる

ESに添付する証明写真にはこだわりましょう。筆者は髪型も美容室でセットしてもらい、写真館で撮影しました。家での自撮りや、私服で撮影した写真を使う就活生もいると聞きますが、印象は良くないそうです。最悪、証明写真機でも良いので、髪と眉はしっかり整えて、スーツで撮りましょう。

参考記事:受験生・修習生必見‼ビジネススーツの着こなし 【vol.1 入門】

インターンについて

実務課題

多くのインターンでは、課題に取り組むことになります。課題は、先生方がインターン用の課題を用意してくれる場合と、実際に現在先生が取り組んでいる案件を割り振られる場合があります。また、インターン生全員が共通の問題を解く場合と個別にバラバラの課題を解く場合があります。共通問題を解く場合は特に、周りのインターン生と比べられているという意識を持ちましょう。

フィードバックで質問することを準備する

課題を提出した後に、先生からフィードバックを貰うタイミングがあると思います。課題の出来ももちろん重要ですが、それ以上に重要だと思うのがこのフィードバックの時間です。思考の柔軟性や人柄をアピールするチャンスだからです。
課題は事務所によりますが、実務的な知識を求められる場合が多いため、難易度が高いです。事務所側としても完璧な解答を求めているわけではなく、どういった思考方法でこのような結論に至ったかを確認したいのだと思います。
つまり、リーガルマインドをしっかり持っているかを確認したいわけです。そのため、フィードバックの時間までに自分はどこまでわかったかを明確にし、わからなかったとこは先生に聞けるように、しっかり質問事項をまとめておきましょう。

ランチ・懇親会

原則黙ることは禁止と考えましょう。先生とご飯を食べながら密にコミュニケーションをとれる貴重な時間ですので、いろいろ質問したり、質問されたら自分の言葉で積極的にコミュニケーションをとりましょう。もっとも、自分が喋ることに一生懸命になりすぎて、他の人が喋る機会を奪うようなことは絶対にやめましょう。人の話を遮ってまで、自分の話をしようというのは協調性の無さをアピールすることになってしまいます。他の人が質問したり、受け答えしてる時間も勉強の時間だと思って、聞き役に徹してください。筆者は1事務所につき、大体20個くらいは質問を用意していました。

夜に行われる懇親会ではお酒も交えてコミュニケーションをとることができます。筆者はお酒が大好きなので、どの懇親会でもお酒を飲んでいましたが、飲みすぎることは絶対にやめましょう。お酒を飲んで余計なことを言ったりする人は特に注意してください。

フランクな話と真面目な話

懇親会ではフランクな話と真面目な話を半分ずつくらいしていました。フランクな話の例としては「先生お酒お好きなんですか」とか「お休みの日は何されてますか」などを聞いて、話を膨らませて会話を楽しみました。
真面目な話としては、懇親会に参加される先生方は、採用担当の先生であることが多いため「どういった弁護士を求めているのか」なども聞いて、今後の採用活動に向けての情報収集も行いました。

お酒を飲んでいると気分が良くなり、ついつい報酬や勤務時間について聞きたくなることもあると思います。筆者の個人的な意見としては聞かない方が良いのかなと思います。確かに報酬や勤務時間は、入所する事務所選びをする点で絶対に聞くべき項目なのは間違いありません。しかしながら、インターンの懇親会で聞くことを避けるべきであって、個別訪問や個別で食事に誘われた場合に聞けば足りることだと考えています。事務所や先生によっては好意的に開示してくれる場合もありますが、全部が全部そうではないため、懇親会の空気を悪くしないためにも先生が答えにくそうな質問は避けるべきだと思います。

また、細かい点ですが、瓶ビールが運ばれてきた時は積極的に先生方や他のインターン生にお酒を注いで、グラスが空になれば追加で注文もしたりしました。このような一般的なマナーは、市販されているマナー本をどれか1冊購入して軽く目を通してからインターンに参加した方が良いと思います。すべてのマナーを絶対に守る必要はありませんが、知らずにやってしまうのと、知っていてやらないのとでは、差は歴然です。

他のインターン生との関係

他のインターン生と仲良くなりましょう。たしかに、同じタームのインターン生はその事務所の採用との関係ではライバルです。しかし、インターンに参加する学生は、就活意識も高く、また自分とは別のロースクール出身である場合も多いので、会話の中で他事務所の評判や就活で意識していることを聞くチャンスでもあります。そして、何より数日間を共に過ごした仲間でもあるため、インターンの思い出話をすることがとても楽しかったです。インターンはこういった交流を楽しむ機会でもあるため、ぜひ積極的にコミュニケーションを取ってみてください。筆者は懇親会後に学生だけの二次会なども積極的に企画して交流していました。

お礼メール

お礼メールに関しては課題のフィードバックを貰った先生や懇親会でお話をした先生に送っていました。できればインターン最終日の翌日、翌日が土曜日である場合は週の始めに送っていました。名前を覚えてくれていない場合もあるので、先生との具体的なエピソードもつけてお礼を伝えるとより良いと思います。

おわりに

以上が、筆者が個人的にインターンで意識していた点です。
特に中小事務所は大量採用をしないため、大規模事務所よりもミスマッチを避ける必要性が強くあります。もちろん、学歴や成績も重要ではありますが、それ以上に人との信頼関係が重要だと思います。ESが通過しさえすれば、最低基準のスペックはあると認められたも同然です。自信を持ってインターンに参加し、お互いがマッチするかを確かめる場にしてください。

上記の立ち回りはあくまで私の一例です。自分なりに納得のいくインターンを過ごしてください。

 

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