見出し画像

読書

ことり
先日、子供のスイミングのお迎えで、1時間以上待たなければならなくて、スタバに入っても、そんな時間潰せそうにないし、同じ施設内の本屋で待ち時間に良さそうな話を探して買った本です。
昔読んだ本の再読ノートにしようと思ってたけど、3冊目で覆えす。

表紙の小鳥の写真と、ひらがなで、ことり、のバランスが自分好みで、完全にジャケ買いなんですけど、そういや帯に文部科学大臣賞受賞って書いてたなと、思いながら作者を調べてみたら博士の愛した数式の著者だった。

独自の言語しか話せない鳥好きの兄とそんな兄を支え、慕う弟の生涯を描いた物語。
多分、兄は自閉症なのかな?全ての事に、こだわりが強くて、特に鳥類への興味と執着はどんどんと彼の世界を形成し7歳頃から独自の言語を話すようになる。心配した母は色んな病院で診てもらうんだけど、頭に電流流されようが、精神薬飲まされようが、断固その言語を確立していく、二十歳位には単語、文法共に確固たる言語体系を作り上げ、完全に自分の世界を作り上げてしまった。その世界にアクセスし社会との橋渡し役になる存在が弟なんだけど、母も父も他界したあとも働かず社会と断絶した小さな行動範囲の中に閉じこもる兄を理解し、慕い、尊敬してる。むしろ、その兄の世界の一部に自分がいる事に安心し、兄と共に鳥カゴの様な小さな世界での生活を楽しんでる。
晩年皆から小鳥小父さんと呼ばれる彼の目を通して物語は進みます。
外から見ると社会には出れない兄の世話で自分の青春や恋愛、人生全てを奪われた様な生涯に見えるけど、兄の為の毎日決まった時間、決まったメニュー、決まった場所などルーティンの中に慎重さや論理的な美しさを見つけ、兄の亡くなった後もその思想と世界観を模倣し、兄の素晴らしさを確認していきます。
人は経験や成長の喜びなんかは、属している社会や世界の大きさとは関係なく。
どんな事からでも、学び成長する事が出来る、兄が鳥達から学んだ様に。

なんか博士の愛した数式と通じるところがあって、悲壮感も無く面白く読めました。

ただ、私の中では一貫してミノキ兄弟だったので、映画化されても、共感出来るか心配。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?