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世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

まー約25年振りに読んでみたけど、没入感すごい、やっぱり世界観なんだろうな、ホント細かいところまで心をシンクロさせて来るからあっという間にワールドに入っちゃう。それでいてエンターテイメント。
まず(私)ハードボイルドワンダーランドのターンは、ウィスキーが好きで、ジャズが好き、ポールスチュアートでスーツをオーダー、まだ表参道にあるのかなあ?
ブルックスブラザーズのオックスボタンダウンにセンタープレスのチノパンツ、アイビールックってやつだね。料理もできて、多分、青山ベルコモンズの辺りのマンションの1LDKに一人暮らし、カッコ良さに時代は感じるけども、まぁカッコいい。
確かに自分がアパレル業界に入りたての頃、業界の上の方のおじさん達ってこんな感じだったかなー。あの人、元VANの人なんだって。へーだからいつもトラッドなんだねー、かっこいいよねーって、美味しいイタリアン知ってそーみたいな。そんなカッコ良さを追求する人達いたなー。
自分はそんな風になれなかったけど、あのおじさん達って今はどんな感じなんだろ?相変わらずカッコいいのかなー?よくわからないな。
ワイルドというよりスマート。
当時読んでたハードボイルドって、もっと不健康でヤニ臭くって、こだわりが多すぎてカッコイイとはこうゆう事だ!みたいな決めつけ感があった分、この主人公はちょっと衝撃だったな。
最後なんて埠頭でボブディランですよ。太った若い女との最後の電話のくだりとかシビれるもんね。
今だと伊坂幸太郎の小説に出てきそう。っていうか伊坂幸太郎の小説ってハードボイルドなんだな。最近読んではないけど。
洞窟?のくだりなんて、真っ暗闇の中で会話と思考だけで、結局やみくろと戦うこともなく。モンスターも出てはこないけど、太った女の足音から、みすぼらしい悪魔が話しかけてくる、くだりとかもう村上春樹すげーって思たし、今回も思った。

(僕)世界の終わりのターンも良かったなー程良いディストピア感と童話の様なぼんやりした恐ろしさ、実際に残酷な描写とかあったらやだなーっていう怖さ?それは読み手の都合か。
今だと村上春樹はそんな下品な事しませんよって安心して読めるんだけど。
当時は影が引き剥がされるシーンや門番の刃物コレクションなんかの描写に血や内臓ドローみたいなの出たらどうしよーって思ってたのを思い出しました。
優しくて、寂しくて、出てくるそれぞれのキャラクターとの関わりから謎解きロールプレイングゲームのような世界観
それが現実世界との繋がりを読者に想像させるというか、
そう、読み手の想像力がこの小説を面白くさせるんですよね。
時間軸はどうなってるんだろう?とか、意識の世界に行ってからなのか、それとも同時進行なのか?とか、キャラクターは現実世界の投影?とか集合的無意識のこととか。
でも答えは出ない。だから、また想像しちゃう。SFのような結末を期待もしてしまうけど答えは無い方が良い。
いやー面白かった!
海辺のカフカはこの続編なんだよね?当時、意識はして読まなかったけど。
また読んでみようかな。

壁に囲まれた完璧な世界。
たまに行きたくなるなー、税金も、納期も、負債も無い完璧な優しい世界。

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